去年完結した作品ですが、短期集中連載で戻って来ました。
コロナ禍において終末医療のあり方も変わるのでしょうが、4回の集中連載で、我々にも起こり得るであろう物語を提示してくれていました。
この1年、世界は大きく変わりました。望んだ結果ではなくても、無縁でいられた人間は皆無でしょうし、大袈裟ではなく生き方や死に方に関わることでした。
コロナに関わらず、最終章では選択を突きつけられる。そのことを考える、少しだけ早いかもしれない教材かもしれませんが、きっと得るものがあるんじゃないかと思います。
今だからこそ、考えるテキストとして素晴らしいタイトルだと感じました。

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魔境斬刻録 隣り合わせの灰と青春
長い時を経て #1巻応援
魔境斬刻録 隣り合わせの灰と青春
ナベテツ
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原作小説を読んだのは中学生の頃、近所の図書館で借りたことがきっかけでした。30年後にこの作品がコミカライズされると聞かされたら、少年はどんな感想を抱いたのでしょうか。 ドラクエなどのRPGに多大な影響を与えたウィザードリィ。死亡したキャラの蘇生に失敗すると灰になり消滅してしまうというシビアな設定が、この世界を伝える物語のタイトルとなり、やがてコミックへと転生を遂げました。 版権の都合で、ウィザードリィの固有名詞は一切使えず、アイテムや呪文、固有のモンスター名などは全て変わっています(ガディは原作よりだいぶおっとりしてる気もします)し、気を抜くと先の展開のネタばらしをしてしまいそうになりますし、ここでもなるべく注意をして言葉を選びたいと思います。 昭和~平成のファンタジーのコミックも好きなタイトルはあります。ただ、令和に描かれるとやはり迫力が違うなあと感心しますし、(物語を既に知っているとはいえ)迷宮での冒険がどのように描かれるのか、展開を楽しみにしています。ペース的に、原作を描ききるには相応の話数が必要だとは思います(稲田先生はかなり丁寧にストーリーを紡いでいますし、連載の継続の一助にでもなれば、との思いでこの口コミを投稿しています)。 魅力的なキャラはこれからも沢山登場しますし、日本のファンタジーの金字塔として語り継がれるベニー松山さんの傑作を、1人でも多くの人に知って貰えれば(原作小説、紙だと高騰してるんですよねえ。電子で簡単に買えるんでまあ良い時代になったなあと思います)。 続編の「風よ、龍に届いているか」や外伝の「不死王」もコミカライズされて欲しいもんだと、古いオタクは願ってます(不死王はKindleで100円ですからほんと良い時代です。一応紙でも持ってます)。
機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還
幻獣達の物語
機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還
ナベテツ
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ジョニー・ライデンという名前を知ったのは、テレビのガンプラのCMでした。アニメには出ない、設定先行のキャラであり、知名度と実像が一致しない、謎めいた呪文のような存在でした。 ガンダムを下敷きにしたアンソロジーなどでその姿を描かれることがあり、短編は幾つか持っていますが、26巻ものサーガになるとは思ってもみませんでした(沖一さんの短編集が佳作であると思います)。 一年戦争の最中、エースパイロットを集めたジオンのキマイラ大隊。多くの謎を残したまま闇に消えた「幻獣」。エース達を率いたジョニーに関しても、様々な噂が錯綜しており、それが様々なジョニー像の由縁であると作中で語られます(この辺がアークさんの作劇の巧みなところだと思います)。 作中はZZから逆シャアの間の時期であり、他の 作品で語られて来なかった空白の時代でした。制約のある中、過去作の登場人物やMSを絡め、先行作品へのオマージュやアークさんの過去の作品との関連性もあり、宇宙世紀に描かれた新たな歴史の一篇として、この作品の完結を祝いたいと思います。宇宙世紀の物語を知らない人にはちと勧め辛い作品ではありますが、戦闘シーンの格好良さも含め、ガンダム好きに勧めたい名作です。
がんばりょんかぁ、マサコちゃん
誠実な官僚と陥穽 #1巻応援
がんばりょんかぁ、マサコちゃん
ナベテツ
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以前に赤木雅子さんと相沢冬樹さんのノンフィクションを読んでおり、連載が始まったと知った時、単行本を楽しみにしていました(確か6月くらいに発売予定が出たので、伸びたのにやきもきしていました) 流石に森友事件を知らない人はいないと思いますが、幸福な夫婦を襲った不幸な事件であることは、論を俟たないところです。 赤木さんという人は、官僚として誠実に職務を果たそうとした人でした。本来の官僚というのは全体への奉仕者であり、特定の人間への利益を優先させるようなことを許容することは自己の存在を否定する事になります。己の職務が犯罪へと繋がるとなれば、官僚でなくとも耐え難いことでしょう。まして、仕事にプライドを持つ人であれば、その苦痛からの解放のために「最後の手段」を用いてしまったことへ何か言うことは出来ないと想像します。 ただ、遺された家族は違います。誠実に生きた人生に何が起きたのか、その事を知り、故人の名誉や尊厳を取り返す権利があります。たとえそれが権力者にとって不都合な出来事であったとしても。 この物語は、遺された妻の戦いの物語です。これからどれほど険しい旅路が待つのか、読者はただ見守るとしかできません。でもささやかながら、マサコちゃんへエールを送れればと思います。
1978年のまんが虫
まだサブカルという言葉も無い時代に#1巻応援
1978年のまんが虫
ナベテツ
ナベテツ
若くして成功を収めた作家に対して、その才能を讃えたり、羨望の眼差しで見つめても、その労苦へと想像力の翼を伸ばすことは難しいのではないかと思います。 作品がヒットして経済的な成功を得たとしても、その裏でどのような苦労を抱えたり葛藤を抱いているのか、受け手が知ることは叶いません。勿論、クリエイターに己の事情を明かす義務は存在しませんし、秘すべき事柄であるのかもしれません。 ただ、どれほどの才能を持っていても、彼ら彼女らも人間です。嬉しいことがあれば喜び、悲しいことには涙する。そんな素顔が垣間見えることが、漫画家マンガというジャンルの魅力の一つなのではないかと思います。 この作品は細野不二彦先生(作中では細納不二夫)がデビューに至る迄の物語です。進路に迷い、不確かな未来への夢と現実との間に揺れるその様は、多くの人々と変わらない、等身大の青年の姿です。 一人の青年の青春譜は、その時代を瑞々しく描いており、当時の世相を知ることが出来る一級品の資料としての価値もあると断言します(ヤマトからガンダムへの間を知ることが出来る作品を、自分は寡聞にして知りません)。 同級生の天才達(河森正治さんと美樹本晴彦さん)やトップランナー(高千穂遥さんや宮武一貴さん達)との交流は、自分の知らなかったことでしたし、日本のサブカルの歴史のページとして広く知られ、読まれて欲しいと願う作品でした。長々と書いてきましたが、シンプルに面白い作品なので、まずは試し読みから是非。
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がんばりょんかぁ、マサコちゃん

がんばりょんかぁ、マサコちゃん

愛する夫の真実を知りたいと願う女性の物語 平凡な夫婦の幸せは、なぜ壊されなければならなかったのか? 国有地が不当な価格で売却された事件の渦中で、関係者の名を隠蔽するために公文書の改ざんを命じられた近畿財務局職員・赤木トシオ。その妻、マサコが「夫の死の真実を知る」ために国と闘うことを決意するまで、そして現在の迷い、怒り、葛藤とは――!? 夫の真実を知りたいと願う、一人の女性の物語。そして、愛する人の喪失に向き合う、すべての人に贈る物語――
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後にテレビドラマ化された「家栽の人」などのヒット作を世に送った魚戸おさむ先生の初期作品は少年向け作品だった。なまず大夫に誘拐されたさくら姫を救わんとする少年忍じゃじゃ丸。「いっき」では嫁をもらえるあてもない貧乏百姓二人が神さまに唆されて、一揆を起こして悪代官に立ち向かう。「マイティボンジャック」では悪の手に倒れた兄弟にかわって、ジャックが魔王ベルゼブル一党に立ち向かう。「かんしゃく玉投げカン太郎の東海道五十三次」では花火修行の終わったカン太郎が、愛するももこちゃんに晴れ姿を見せるためにお江戸に急ぐ。しかしカン太郎の持つ製造法の巻物を狙う剛左衛門が、カン太郎をつけ狙う。「ぐわんばれ金太郎」では、山のお寺に合宿に来た強豪柔道部。お寺に住まう金太郎は熊をも従える野生児。柔道部のイケメン主将から挑戦を挑まれた金太郎。みんなが見守る中で行われた決戦の行方は?
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北ノ国小学校の4年のカン太郎は寒さに負けない元気いっぱいの男の子。6年生の矢沢栄一、5年生の斉東ミオ、空万坊たちと今日もカンフークラブで修業中。だが、頼りないクラブの顧問、大黒彦左衛門先生に全員失望気味。そんな時、少林寺拳法を教わったという用務員のおじいさんの凄腕を目の当たりにしたカン太郎たちは、指導を願うが…。
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魚戸おさむの祖父が札幌で営んでいた写真店の記憶をきっかけに、「藤子不二雄先生のような四畳半SF的なものを描きたかったこともあって、ちょっとファンタジーっぽい作品」を描いた。「個人的にはとても好きな作品です」と自らが語る短編集。表題作「ニコパチですいません」他、筆者が大好きな与論島の百合ヶ浜を舞台に描いた「マズムヌの島」と「白球の軌跡」を収録。
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国木田大学農学部の「食文化論」の講師として新しく赴任してきたのは、大きな桶いっぱいに詰まった糠を背負ってきた変わり者・結城玄米。「食べることは生きること」「食文化を学ぶことは、生きる術を学ぶということ」との信念のもと、講義を開始した玄米は、いきなり学生たちに糠床を作らせて…!?日本の「食」を考える食育コミック!!
ひよっこ料理人

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北辺家康は、傷心旅行で北海道に来ていた花菜恵と知り合う。花菜恵に恋した家康であるが、彼女は横浜に戻ってしまう。その花菜恵から、「300万円持って、横浜に来て!」と言われた家康は、会社を辞め、300万円を持って横浜に向かうのだが…。
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