目を背けてはいけない暴力性
漫画はキャラだと言う言説が存在するが、この漫画はテロリストが主人公という、漫画史において前代未聞の物語は、よくこの漫画を連載させてくれたことに我々読者は漫画の懐の深さに感謝しなければならない。この漫画を暴力的だからということで嫌うのは簡単すぎる結論の出し方である。しかしこの漫画にはその暴力性や物語の筋を一瞬忘れさせられる様な瞬間のコマが存在する。線画が突出して、上手いという訳ではないが物語の世界観とマッチしてハッとさせられる瞬間が本当にいくつもあるのだ。それは決して過激な暴力シーンではなく、別の瞬間にある。この漫画が突きつけてくる命やそれと切り離せない魂や神という信仰の問題、徹底して馬鹿として描かれる大衆。重い腰をあげながらもその期待にはしっかりと答えてくれる単なる面白いでは終わらせない傑作すぎる漫画である
いい作品には人それぞれに出会うべきタイミングがある。なので誰かより先に読んだとかそういうのってあんまり意味がない。作品がよければよいほどタイミングが重要だと思ってる。私にとってザ・ワールド・イズ・マインを読むべきタイミングは今だったんだろうけど、とにかく疲れました…。エネルギーをくらいまくるのでここ数日は食欲もなかったです。しかも面白いとか面白くないの尺度で測れる話じゃないから…なんだろう、まだ呆然としてます…。
あまりにも唐突に始まるし、主人公たちは平気で人を殺すし「あれ?もしかして5巻から読んじゃってる?」って確認しちゃったくらい最初は混乱しました。暴力的なシーンについていけず、途中まではどこか冷めた気持ちで読んでいたのですが、やっぱりマリアが仲間になるところから見方が変わりました。というより自分の中にもそういう暴力性があるって気づかされたんです。読み終えて本当によかったと思いました。