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火花

原作未読でも、お笑いファンでなくとも入り込める

火花 武富健治 又吉直樹
ひさぴよ
ひさぴよ

原作・又吉直樹氏の「火花」のコミカライズ作品。話題作だけど未読、という人は結構多いんじゃないでしょうか。私もその一人です。まず原作を誤解してた所があって、芸能に関心がある、お笑いファン向けの作品だと勝手に勘違いしてました。決してそんなことはなく、人間は誰しも漫才師である、という言葉の通り、お笑い好きに限らず広く開かれた物語でした。 読めば純粋に面白い作品で、作画の武富健治氏の絵の力によって、ページをめくる毎に物語に引き込まれていきます。原作未読ながら、小説とは別の魅力を存分に引き出されている…と思えてしまうほど、心に迫るものがあります。 芸人の現実を描く一方で、神谷のように才能がありながら、袋小路に向かってしまう人間に対して、厳しくも優しい眼差しを作品全体から感じました。 物語の中心人物である徳永か神谷、どちらに感情移入するかは読む人によって異なると思いますが、下巻で徳永が神谷に投げかけた一連の言葉がすべてのように自分には感じられました。 上下巻で長さも丁度良いです。原作未読でも、お笑いファンでなくてもおすすめです。

宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

宝石の国
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

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