奇しくも今年(2020年)の年末もTVでは
総合格闘技の番組が放送されます。
80年代のプロレスブーム、90年代の総合格闘技バブル、
00年代の暴露本出版ラッシュなどをへて、
プロレスや武術武道、格闘技を取り巻く環境や
世間の評価や扱い方は劇的に変化しました。
プロレスも格闘技もかなり世間の見る目や価値観が変わり、
そして良くも悪くも今でも存在しています。
そのように時代が変化する前の時代に
コンタロウ先生が「プロレス鬼」を描いていることには
驚かざるを得ません。
今になって読んでも色褪せない、揺るがない、そして面白い。
80年代、90年代、00年代、それ以降の各年代の、
それぞれにプロレスや格闘技に接し、思うところがあった人達に、
改めて一読していただきたいし、一読する価値がある短編集、
そう思います。
プロレスにファンタジーを感じられた時代の名作
格闘技だショーだ八百長だと何だかんだと 言われ続けてきたプロレス。 90年代の格闘技ブームや暴露本の出版等を経た結果、 最近ではショーやパフォーマンスとして扱われることが 多くなってきた感もある。 しかしかつてのプロレスは、 真剣勝負とファンタジーの狭間で 各人がそれぞれの思い入れと想像を広げて 楽しめる世界だった。 この単行本はプロレスファンであるコンタロウ先生が、 プロレスに対する様々な思いを作品化した短編集だと思う。 かつてプロレスは、単純に真剣勝負として語ったり 逆に八百長と決め付けて卑下したり、 あくまでも個人の趣味嗜好として楽しむだけだったり、 様々な人が様々な見かたをしていた。 そういう時代にコン先生がプロレスに対して 感じた思い入れや面白さを、様々なプロレスファンにも それぞれ受け入れられそうな各種の短編として 結実させた作品が収録されている。 プロレスは色んな意味で自由な世界で、 それぞれのファンがそれぞれの思いや好みや価値観で、 それぞれの楽しみ方が出来る世界だったんだ、 ということを感じさせてくれる単行本。