有名ラーメン店屋の創業者立志伝
今も昔も好きな食べ物にラーメンがあります。 ただ、自分は色んな店に行くというよりは好きなラーメン屋に飽きるまでずっといくタイプなのですが、本作でも語られている 武蔵 なんつッ亭 中村屋 は、よく行ってました。 また、 大勝軒 天下一品 一風堂 このあたりは「ど」がつくほどメジャーだし、最終話の日清食品とかは日本人ならいわずものがななラーメンだと思う。 そんなラーメン屋の創業話ということで、こういう歴史や苦労話が好きな自分にとってはやはり面白かった。 自分が足繁く通ったラーメン屋ならなおのこと。 特に、天下一品のエピソードが好きですね。家族養うために屋台をひいて、暴力団にからまれてもやめない不撓不屈の精神に感服しました。 あのこってりは、創業者からにじみにでているのかと思うと、ラーメンに対する姿勢も変わってきます。 なにはともわれラーメンは、これだけ味の試行錯誤を重ねても1000円台で食べられるのは奇跡に近いと思います。 その奇跡をつくった男たちの話。 面白くないはずがないです。
時価総額世界1位の企業で働くアメリカの友達が「日本のラーメンはあれだけ研究開発されてるのに1000円くらいで食べられるのはあり得ない」と言ってひたすら食べ歩いていたのだが、これを読むとすごくそう思う。
全くの素人から始めた人、別の料理業界から転身した人など、色んな人が出てくる。約20年前の作品にも関わらず、紹介されている店のほとんどが今もしっかり現役で、当時は目標として語っていたことを実現していたりするのがすごい。冒頭に「豚ガラ鶏ガラ人柄の調和」というポエムを載せていて心配になったが原作者の目(と舌)は確かだ。今ではインスタントでも食べられてしまう「すみれ」は主婦がたまたま空いた店で始めたものだったとか、ガチンコ世代のスーパースター佐野実にこんな背景があったなんて知らなかった。
みんな大体ラーメンなんて簡単だろ、というところからスタートするのだが、徐々にその奥深さにはまっていく。スープは長時間火にかけると酸化する、気温や天気に合わせて麺の配合を変える、麺が変わるとスープにも影響する、旨味調味料に頼らないためにはどうするか、行列ができたら苦情にも対応しなければならない、複数店舗のオペレーション…そんな中で安定しておいしいラーメンを作るにはやはり職人的な技術や努力が必須で、味だけでなくインフラや組織作りにも工夫とイノベーションが要求される。
雑なバイトに読ませたいし、ヘッドフォンしてスマホ片手に食ってる客の画面に強制的に表示させたい名作。