不思議で前向きな光溢れる短編集
『部長が堕ちるマンガ』でお馴染みの中村朝さんがコミティア等で出された読み切り作品5本を収録して以前に刊行した『きみが小説家をみつけたら』。それに描き下ろしの「天帝少年」を加えてBEAM COMIX名義で出された短編集です。 感動的なお話からサスペンス展開のあるお話まで、シリアスさマシマシで届けられます。突き抜けたテンションの『部長が堕ちるマンガ』でしか中村朝さんを知らない方は、作品内容の違いに驚くかもしれません。 基本的には表紙の色が示している通り明るい未来への希望の光を謳う作品がメインを占めており、読後感は総じて良いです。 饕餮や件、座敷童子など民話や伝承に登場する想像上の生き物が扱われた作品が複数あるのも特色です。作者の趣味嗜好が溢れ出していて、それが心地よい短編集です。 表題作で描き下ろしの「天帝少年」もネーム自体は10年ほど前に描かれた作品だそうですが、綺麗に纏められた読み応えのある良質な一話でした。 絵柄の変遷も辿れるという意味で、貴重な一冊です。『部長が堕ちるマンガ』も大好きですが、中村朝さんにはこういったタイプの作品も今後も読ませて欲しいなと思います。
この短編集を読んで、中村朝は、人との距離感を感じながら、最終的には、人間らしさの繋がり、絆を大切に考えている著者なんだろうなぁと感じた。
この短編に収められている作品全てに“愛”を感じる。
『流行り神プロトコル』が好き。