誠実さに溢れた素敵な…
誠実さに溢れた素敵な作品です! 簡単じゃない問題を簡潔に描いています。
女性を描き続けてきた著者が見つめる、この世界の現実。『Sunny Sunny Ann!』『ハウアーユー?』以来、6年ぶり長編作品。「勇気をもってくれた親へ ありがとう 生まれてきてくれた命へ ありがとう 勇気はアナタの中にある灯火」 サヘル・ローズ氏(女優) 「ようこそ、この世界へ」。私たちは今、全ての子どもたちにこう、語りかけることができるだろうか。」 安田菜津紀氏(フォトジャーナリスト) 第一子を妊娠し、生まれてくる我が子へ期待を膨らませる夫婦。二人は、賢くて勇気ある子に育てば、明るい未来が訪れると信じていた。出産を目前に控えたところに、夫婦はある少女の身に起きた事件を知る。それは少女が賢くて勇気があった故に標的となった凶行だった。無邪気に信じていた未来が揺らぎ、妻の心は動揺する。これから生まれてくる子供に、私たちは何を伝えればいいのだろう――
産まれてくるすべての命が幸せであってほしいと思う。産まれてから死ぬまで、ずっとずっと幸せであってほしい。
子どもを授かるということは良いこと、幸せなことだとされているけれども、どうなんでしょう。
命がけで産んだ子どもが、幸せな人生を歩むとは限らない。愛情や教育や環境やたくさんのもので満たしても、どう生きるかはわからない。
思い通りになる訳はないし、それどころか避けられない不幸に見舞われることだってある。
大切なものであればあるだけ、失うのは恐ろしい。
産めよ増やせよが生物学上正しいのだとすれば、人間って厄介な生きものだなあなんて思います。
ラストシーン。夫婦が見たものは幻想だったんでしょうか。
わたしには、救いというよりも願いのようなものに見えました。
かしこくなくても、勇気がなくても、すべての産まれてくる命が幸せでありますように。