世界的こだわりとやさしさでできているにコメントする
午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】
「好き」を大切にする、食の短編集
午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】 木村いこ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
【「ごはん日和」作品ピックアップ③】 例えば目玉焼きに醤油をかけるかソースをかけるか、という話題になった時に、少数派だったソース派の人が明日から醤油にしよう、と思ってもなかなかそうはいかないですよね。昨日まで好きだったソース味を今日から味わえない違和感、物足りなさに耐えられなくなって、翌日にはまた、ソースに手を伸ばすのではないでしょうか。 人の好みとか、習慣というのは簡単には変えられない。それはその人の歴史とDNAに刻まれたものだから、どうしようも無いものです。しかし人は、そんな他人の趣味嗜好を、割と簡単に断罪してしまいがちです。 私への配慮に欠ける外部から、いかに私の日常を、好きという気持ちを、大切に守るか。そんな営みを、食を通じて綴った短編集がこの『午前4時の白パン』です。 物凄く凝ったメニューとかではなく、ごく身近な「食」に関するルーティン、毎日の活力の素、止められない変わった食べ方、人に内緒の行きつけのお店などが描かれ、共感ポイントが多いです。 さらには自分だけの大事な時間、好きな誰かと共にある喜び、大切な人の好みや故郷を共有するなど……自分を大切にし、他人に心を寄せる優しい物語が綴られ、地味だけれどじんわりと心に染みます。 イラストレーターでもある著者の木村いこ先生の、朴訥な絵柄も物語の優しさを増幅。出てくるお店の庶民的な感じも絵柄によって質感が出ていて、小洒落たお店を探すのに疲れた人、自分だけの隠れ家を探したい人などは、この作品を読むとホッとするでしょう。 ----- 【「ごはん日和」作品ピックアップ】として、以下の作品を取り上げています。 ①14歳の里山レシピ 東吉野で、いただきます。 ② 笑とお兄ちゃんのなりゆきごはん ③ 午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】
女神の標的
戦後の金塊争奪サスペンス #1巻応援
女神の標的
兎来栄寿
兎来栄寿
『がんばれ元気』、『お〜い!竜馬』、『あずみ』などでお馴染みの、小山ゆうさん最新作。『颯汰の国』を挟んで、『雄飛』と同じ昭和の物語が新たに紡がれています。 本作は1953年の戦後間もない時代が舞台。大衆演劇の花形役を務める主人公の春子が、日本軍の大佐であった父が隠した日本再建のための金塊を巡る争奪戦に巻き込まれていくサスペンスです。 男剣士を凛々しく演じる美しく強い春子は、恩義のある座長のもとで何も知らず暮らしていましたが、ある日を境にその日常が崩れていってしまいます。ただ、戦後という時代もあり、ただやられるばかりではなく暴力に対し時に立ち向かって反撃していく姿もあり痛快です。 鴻鵠の志で金塊を隠した春子の父に対して、本当に存在するのかどうかも解らない「女神」(作中で金塊の隠語と語られる)を巡って、多くの人々が醜悪な争いを起こしていくさまは何とも言えません。 そしてまた、もし金塊が時の総理の下に首尾よく回っていったとしてもそれが正しく使われるかどうかは別の問題として存在するのもまた無常感を覚えさせられます。仮に総理が高潔な志で差配を行おうとしても、さまざまな思惑や柵が絡んだ政界でどこまで理想通りに事を運べるのか。栓なきことと解りながらも、考えてしまいます。 ともあれ、さまざまな勢力が互いに画策し合い息もつかせぬ展開で、誰を信用できて誰が信用できないのかも解らない春子の緊迫感がそのまま伝わってくるようです。 小山ゆうさんももう76歳ですが、筆に翳りは見えません。池上遼一さんも今月で80歳を迎えますが、皆さんお元気でい続けて欲しいです。
iメンター すべては遺伝子に支配された
遺伝子とAIに支配された世界
iメンター すべては遺伝子に支配された
六文銭
六文銭
自分の遺伝子に応じて、適職や配偶者までも 「iメンター」 と呼ばれるAIツールのようなものが判断してくれる世界。 しかも精度が高いからほぼ合っているという感じで、人類は無駄な努力というものがなく(例えば、野球選手になれる特性がなければ野球をしないとか)、効率的に人生を送れるというもの。 近未来では、わりとこうなりそうな感じで読んでてワクワクした。 しかも、1話完結のオムニバス形式ですが、徐々につながっていく感じはゾクゾクしました。 余談ですが、昔何かの本で、 パンドラの箱の中身にあった、すべての災いの正体は「自分の未来」 という解釈をした本があって、それを思い出しました。 つまり、将来自分がどうなって、いつ何で死ぬかを知ること以上の絶望はないという解釈だったのですが、確かに、どうなるかわからないから可能性にかけて頑張れるというのありますよね。 だから本作のように、生まれながらにして将来が決まってしまう世界は、絶望しないのかな?とか考えてしまった。 登場人物、意外と穏便に過ごしているので。 いずれにせよ、SFジャンルとして考えさせられる作品で、3巻完結なのも読みやすくて良い作品でした。

午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】

ごぜんよじのしろぱんかきおろしまんがつき
著者:木村いこ
ジャンル:食・グルメ
最新刊:
2019/05/30
ごぜんよじのしろぱんかきおろしまんがつき
午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】
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