作者・せきやてつじ先生がコミックス2巻の後書きに
「現代版「ルパン」を目指して描きました」
と書かれている。
「それが成功したか否かは、読者の皆さんの
判断にゆだねます」
とも。
ルパン三世といえば、泥棒稼業でありながら
魅力的なキャラのルパンとその仲間が繰り広げる
娯楽的なストーリーで、国民的に人気があり
広く支持されている漫画・アニメ作品だと思う。
ジャンゴも信頼できる凄腕の仲間達と
派手で豪快な強盗劇を繰り広げる。
峰不二子的な美女や、つきまとう警部などのキャラも
意識してルパン的な要素として盛り込まれたのだろう。
しかしルパンに比べて暴力的な流血や殺人まであり
痛快とか爽快、と、素直に感じるには難しい部分が多い。
更に言えば、第一話から仲間が結構凄惨な殺され方を
するのに、間接的にではあるがその犯人に
仲間になるようにいわれ、半ば、そうなってしまう。
私としては、まず最初に、そして最期まで、
この部分が引っかかった。
「仲間を思う気持ちが強いはずなのに、
仲間を殺したヤツとほいほいと手を組むのかよ」
と。
仲間が何より大事、仲間とは信頼しあうもの、
と、そう考えるなら色々と矛盾しているだろジャンゴ?
そう感じてしまった。
なので物語を読んでいる間、ジャンゴへの感情移入、
ジャンゴを応援する気持ちが少しダウンして
しまった感じは否めない。
「もしかして作者は、そういう大事なところを
まったく気がついていないのではないか」
とも考えてしまっていた。
実はそこのところは作者はチャンと考えてストーリーを
進めていて、ラストまでにはキッチリと
ジャンゴとしてそのことに関しての考え方、捉え方、
だからジャンゴはこう考えて行動して仲間を選ぶのだ、
そういった部分についてはシッカリと明らかに
説明をしてくれる。
明らかになったからといって、それについて万人が
納得するか、正しいと思うか、共感するか、
それらは作者のおっしゃるとおりで
「読者の判断にゆだねるしかない」
という内容であるとは感じた。
だが少なくとも、せきやてつじ先生は
犯罪であるとか生死に関することとかも含めて
自分はこう思うからこういう生き方しか出来ない、
そういう大胆不敵な男を描きたかった、
法は犯すが自分ルールを犯しては生きられない男、
そういう男としてジャンゴを描きたかった、
けして肝心な部分を気づかずに描いた漫画ではなかった、
ということは判った。