大人になってから定時制高校に通うということにコメントする
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高校生を、もう一度

定時制高校に通う人々の胸打つドラマ

高校生を、もう一度 浦部はいむ
兎来栄寿
兎来栄寿

『あ、夜が明けるよ。』や『僕だけに優しい君に』で去年話題となった浦部はいむさんの新作です。端的にとても素晴らしかったです。 定時制高校へ実際に通っていたという作者によって、定時制高校の日常の悲喜交交が解像度高く描かれます。 主人公は、昼間は工場で働きながら夜は定時制高校に通う21歳の女性。周りより少し歳が上であることに引目を感じ、体育の時間にペアになる相手も見つからないというところから始まります。 それ以外にも、沢山の大なり小なり訳ありのキャラクターが登場し、群像劇が織り成されます。 真っ直ぐ一番人が多い通りを歩むだけではなく、脇道に逸れたところに咲いた花やそこでしか見られない景色に出会いながら、自分のペースで進んでいっても良いし、むしろその方が他の人が経験できなかった素晴らしい体験を得ることができるかもしれないのが人の生きる道です。 色々な人に出逢って、良いことも悪いこともあって、気づいたら前より人に優しくできるようになっていて、それが切っ掛けで人生が少しずつ良い方向へと回っていく。その様に、静かでありながら大きく胸を打つ感動を貰いました。 一冊を読んだ時の満足度は今年読んだ中でも上位で、ぜひお薦めしたい作品です。

宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

宝石の国
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

こうこうせいをもういちど
高校生を、もう一度
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