sinkで出来ていたことが出来ていない
漫画家としての作者の実力はここで記述するまでも無い程に圧倒的なのは周知の事実である。しかし、この作品においては、その実力を発揮しきれていない。サスペンスにも関わらずコマ割りが細かくテンポ良く進むため、サスペンスが必要な箇所でなんてこと無い日常の様に進んでいってしまう。ましてや大ゴマにする必要の無い箇所で大ゴマにしてしまっている。絵の造形も不気味な雰囲気が失われギャグのキャラ造形になっている為、ここでもサスペンスが失われる。sinkで出来ていたことが何故出来ていないのだろうか?
きょうのイブニングに載っていた『針鼠』が最高だったので過去作を調べたところ、昨年の読切(前後編)がウェブで公開されていたのでワクワクしながら読みました。
デフォルメされて少年漫画的に脚色されていながらも、しっかりと1450年のイングランドらしさが出ているところがすごいなと思いました。
老若男女が入り乱れるラグビーのような「フットボール」も面白かったですし、5年ぶりにハロルドが戻ってきても、父娘が協力しても結局は西チームに勝てない…という、予想外の展開も良かったです。大抵、読切なら主人公が勝って終わりそうなものですよね。いい意味で裏切られました。
この読切を気にWikipediaで「フットボール」を調べたところ、フットボールとは「得点するために指定された相手陣地のゴールにボールを蹴り込む要素を含むチームスポーツの一群」とのこと。納得…!
本作『中世ヨーロッパのフットボール』、そして新作『針鼠』のように、よしおかちひろ先生には今後も面白い中世歴史漫画を世に送り出してほしいなと思います…!
【あらすじ】