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名無し
1年以上前
確かに何話も胸くそが悪い描写を見せられてお仕置きがほぼ一話だけっていうのはあっさりしすぎな気はする。 でも、その内容は割とすっきりした。 事故を起こす事がどういう事か身に染みて分からせる結果になったし、遺族への賠償をしぶって詐欺を働いたんだから一文無しになったのも自業自得な結果と言える。 自信をサラブレッドと奢り、保身の為に手を汚した父親は、遺族に冤罪をかけ、無関係な人をスケープゴートにした結果、それがばれた挙げ句電車の事故の冤罪をかけられ、負債が二億円以上という皮肉かつ因果応報な末路と言える。 下半身不随かつ顔面崩壊し、さらに若い時代を刑務所とリハビリで過ごし、出所しても幸せな生活は望めない娘がなんだかんだで一番報いを受けていた気がします(あくまで個人的な予想ですが出所後生活保護を受け取れそうなのが納得行かないけど)。未成年で懲役20年だから裁判では相当な悪質さが認められたみたいで本当によかった。 祖父も祖父で、折角富も名誉も実績も健康も持っていた最高の人生の最期で全て崩れた上で苦しんで死んだので、十分な報いと言える。作中の描写から察するに彼の妻は、今回の事件と全く関係を持たない内に死んだと思われるので幸せだったんでしょうね(離婚した可能性もあるけど)。 母親は直接加担してないからか、怪我と離婚という比較的軽い折檻ですんだけど、義父の淫乱ぶりを内心馬鹿にしていたのに、自分がメスブタと呼ばれても文句の言えない立場になったのは、何とも哀れなものである。しかし娘に向かって母親の浮気動画を流し、メスブタ呼ばわりしてる時点で家族のイカレ具合が分かるなあ。同情の余地は全くないけど。
大きくなったら女の子
「座席」議論に加わっている人に読んで欲しい #1巻応援
大きくなったら女の子
兎来栄寿
兎来栄寿
数日前から、新幹線の自由席で横に乗ってきた異性の話を巡ってネット上で大激論が巻き起こっています。 「男性は〜」「女性は〜」という主語で意見を述べている人に1度この作品を読んで欲しいなと思います。 本作は、人間が皆″男性″として生まれてきて、その中の1割が14〜20歳ごろを境に性転換して″女性″になり、声が低くなり乳房が大きくなり子宮が発達し男性器が縮小し筋肉・脂肪が増加していくという世界を描いています。社会は″女性″が主導していくもので、″男性″はそれを支える存在。 ただ、少しややこしいのですがこの作中での″男性″は現実世界の女性的な外見をしており、″女性″は男性的な外見で発達した乳房を持っています。 最後にあとがきで明示されているように、単なる男女の反転ではなくマーブルな状態を描いているのが特徴です。 この作品の中で、それぞれのキャラクターが語る性別ごとの役割の話や、「″女性″は」「″男性″は」という話や異性に対する態度は、読み手に応じてさまざまな感情を引き起こしてくれるであろうと思います。現実世界に照応してある人にとっては何も引っ掛からず、ある人にとってはこの上ないもやもやが生じるであろうことをつぶさに描いています。 男性だから、女性だから、″女性″だから、″男性″だから有利なこともあれば、不都合なこともある。ときにはそれに対して、過去から長い時間大量に蓄積したものも含めた不平不満を述べたくなることもあるのは否定し得ません。 ただ、筆者の御厨さんが ″性別や属性で人の中身ややるべきことをひとくくりにするのは、個人の理解をなまけたいがための単なる省エネモードのおこないだと思っています。  何かを集団でくくって語るとき、「今の自分は省エネモードになっている」という自覚はしていたいと思います″ と述べたあとがきにあるように、より本質的には個々人に依拠するものに対して意識せずに大きい主語で語ってしまいがちな状況はあると思います。 どういったものに対して自分の心はどういった動き方をするのか。その形を改めて把捉しておくのに、この作品はとても優れています。 何も個人としての意見を表出するなという気はまったくありませんが、省エネモードで雑な結論に結びつけて誰も幸せになれない不毛なやり取りに発展する前に、今一度立ち止まって一呼吸を置いて本作を読んでから、改めて熟考した後に言葉を紡いで発しても遅くはないでしょう。
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