心の痛みと向き合う、精神科ナースの物語 前作『精神科ナースになったわけ』が話題を呼んだ著者の最新意欲作! 虫歯ができたら歯医者に行くように、心の病気にかかった人のために「精神科」がある。でも「心の病気」ってなんだろう? 患者さんが“本来のその人になっていく”、その小さなお手伝いをするのが看護師の仕事だ。彼の、彼女の、「こころ」の痛みに耳をかたむける―― ささやかだけれど切実な、精神科ナースの物語。※本作は、医療者・患者さんへの取材に基づいたフィクション作品です。医療監修は、精神科医・医学博士の山登敬之先生にご協力いただいています。
コミックエッセイのイメージがある作家さんですが、ご自身の経験を踏まえての新連載がスタートしました。
身内の不幸と多忙な仕事で心が壊れそうになり「いつもの自分」ではいられなくなったことをきっかけに、心の病とは何なのかを知るため精神科のナースになった女性、夜野さんが主人公です。
心の病と言われると、言動が支離滅裂だったり自傷癖があったり…というのを想像しますが、実際のところは誰にでも起こり得る心の疾患で、他人からは理解されにくく、自分自身も気づきにくい病気です。
第一話では、統合失調症の一人暮らしの50代男性が部屋に虫が出ると精神科に電話をしてくるところから始まり、実際は幻覚を見ているだけなのに、虫駆除業者として部屋を掃除をする(ほとんどエア掃除)ことで少しずつ症状が改善するという話でした。
同僚ナースの中には「そこまでする必要ない」という人もいます。
そして今回と同じ方法が違う人にも効果があるかというとそうではない。けっこう行きあたりばったりなところがあるんだなと思いました。
夜野さんの先輩ナースは「まずは患者さんの世界を受け入れることがスタート」と言います。
肺が悪い男性が通う病院の医者は、患者の目を見て話しません。
夜野さんは新人の自分がまずできることは「その人の話を聞くこと」だと考えます。
夜野さんの「精神科の好きなところは?」という問いに対しての先輩ナースの返答がぐっと来ました。