悟り世代っぽいスマートさ
紺田照の合法レシピ 馬田イスケ
グルメ漫画がブームということで、様々な趣向のおいしい漫画がありますが、このマンガはしつこくないレシピ解説が読みやすかったです。 主人公紺田のスマートな振る舞いと、食事中のギャップも面白いです。 短時間で何も考えずにさくっと読める感じ。
暴力団「霜降肉組」の新人組員・紺田照(こんだ・てる)、高校3年生。彼が任侠道のほかに心血を注ぐのは「お料理」! 切った張ったの世界で生きながら、硝煙にふとサバの塩焼きを思ってしまう……そんな紺田の今日の晩ご飯は!?
題名にもなっている主人公の名前
「紺田照」からして
献立をする、という洒落なんだろうけれど、
極道とグルメが美味く洒落になっている漫画だ。
最初はちょっとくどいかと思ったが、
読み続けると味わいが深くなり、
そして心が温かくなった。
料理ってある意味で肉魚野菜いずれにしろ
他の生命を奪って己の生命にする行為だ。
弱肉強食にして必要悪、必然としての生殺与奪。
そう考えれば極道と料理は共通項がある
・・・かもしれない。
少なくとも主人公の紺田照、
18歳にしてヤクザで高校生、は
だからこそ食べ物を粗末にしない。
そして少しでも食材を美味しく無駄なく味わうために
ヤクザ稼業の最中も学校生活の最中も
今夜の献立をどうするかで頭が一杯。
そしてわりと各話のラストは
紺田の周りの人達が幸福というか
「口福」を味わう話が多い。
極道がグルメという奇抜な面白さを
狙った単なるギャグ漫画ではなく、
生きることは味わうこと、
味わうことが生きること、
そう思わせる漫画
・・・かもしれない。