画楽ノ杜(現・月間Z)という耳慣れないウェブサイトで連載されていた漫画ですが、読んでみると驚くほどクオリティが高い。
http://comip.jp/Z/

ほどよくレトロ感、アナログ感があり、バトルの絵に迫力があるだけでなくメリハリがあってとても読みやすいです。レトロだけど古臭くなく、荒々しいけど粗雑じゃない。最近ではあまり見ないようなメタネタも、ただやるだけでなく巧さを感じられる演出になっていて飽きさせません。ちなみに絵はヒラコーそっくりw

紙派としてきわめて残念なのが、完結の3巻が電子のみという点。なんで3巻だけ???最終巻のみ未読ですが、通販サイトのレビューなどを見る限り打ち切りの駆け足展開っぽい雰囲気ですね。

新作じゅうしまつ」も気になりますが麻雀はあまり嗜まないので、次読んでみるならR.O.D.かなぁ。あれは良いアニメでした。

読みたい
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ありふれた職業で世界最強
主観なので駄作とまでは言い切りたくないが…
ありふれた職業で世界最強
mampuku
mampuku
 男子中学生の妄想ノートを延々と読み聞かせられてるみたい。笑  なろう系のファンタジー小説って多かれ少なかれそういう厨2要素がありつつ、ストーリーを構成するある種の技術によって、カタルシスや萌えなどで読者を気持ちよくしてくれるエンターテインメントに昇華されてる、特に人気の作品は大体そうだと思うんですけど、この「ありふれた~~」という作品に関しては"厨2要素"どころか剥き出しの妄想そのものを読ませられてるみたいです。残念なことにコミカライズ担当の絵が上手すぎないのもそれに拍車をかけてる感じがします。  ナードで陰キャラなのに"何故か"クラスの中心的グループから一目置かれ、”何故か”クラスのマドンナから甲斐甲斐しく世話を焼かれ、そのせいでクラス中から妬まれている。その後クラス全員で異世界に飛ばされるも"偶然"最強レベルの能力に目覚め、強くて可愛くて従順で自分に好意を向けてくれる少女と出会い、一緒に魔物と戦いながら元いた世界を目指して旅をする。  ……。  いや、わかるんですよ、牛脂で焼けば肉は美味いし苺に練乳かけたら美味しいのはわかるんですけど、これはどちらかというと牛脂に練乳かけてナマで食わされてるみたいな…料理しよ?  ちなみにコミックスの巻末に4ページ程度の書き下ろし小説がついています。短いですが、けっこう読むのがしんどかったです
ダンジョン飯
『ダンジョン飯』最終巻、丸ごと一冊哲学者だった
ダンジョン飯
mampuku
mampuku
自由にいきるとは何か 欲望とは何か 社会で暮らしていくとはどういうことか 善悪とは何か 食べるとはどういうことか 現実世界を遥かに凌ぐ多様な人種、生物種、民族、価値観が絡まり合いながら各々がそれぞれの“明日”と向き合っていく。 猫のように気ままに振る舞ってきた獣人のイヅツミはいざ自由な地上に放り出されたことで、本当の自由とは何かという問いに直面する。 そんな戸惑う彼女にマルシルは、嫌いな野菜も我慢して食べ、よく運動し、健康で長生きしてほしいと懇願する。すなわち、自由とは何かという深遠なる問いに対する一つの手がかりとして、「健康に生き続けること」こそが自由を叶える方法なのだと一つの“道”を提示したではなかろうか。 というか自由とか欲望とか語りだすと収集がつかなくなるので簡潔にまとめると、たとえファンタジー世界であろうと変な奴らばっかであろうと、飯を食うという普遍かつ不可避な事象の前ではその人なりの哲学や生き様が現れる。人は思考や欲求によって食事をし、食事によって作られた体、食事によって生きながらえた生がまた新たな思考や欲求を生むのだ。
アタックシンドローム類
想いが濃すぎて原液どばどばなのに後味スッキリ
アタックシンドローム類
mampuku
mampuku
効果音などを作る「サウンドクリエイター」とアクション漫画としての「喧嘩」が予想外の化学反応を起こす、第一部ともいうべき前半部分。虚構と現実が入り混じりながら詩的にかつ美しく読者を幻惑する。 そして後半部分では、散りばめられた布石を余さず回収しながら、ただただ勧善懲悪でカタルシス満点のストーリーに熱狂させられる。 そしてラスト(エピローグ)で全体の真相が明らかにされる。一本の映画のような、丹念に編み込まれたストーリーだ。 悪を打ち倒しヒーロー気分に酔いしれる主人公にまんまと感情移入させられ、クライマックスを迎えるとそこにはまさかの裏切りが待っている、この読み口は朝井リョウの小説とよく似ている。節々でルサンチマンやシャーデンフロイデを刺激してくる描写が多いがこれもおそらく作者の罠に違いない。 この意地悪なラストへの感じ方は、受け取り手によって様々だろう。無敵の人や弱者の人たちが傾倒してしまいがちな安易で極端な思想や異世界モノのような居心地の良いコンテンツに対して皮肉でもあり、救いへの希望でもあるのだ。 ちなみに各話のサブタイトルには、色々な映画や音楽などの名前がそのままつけられている(『ネヴァーマインド』『タクシードライバー』など)。作中、私が気づいてない小ネタや引用がまだまだあるのかもしれない。いずれ読み返したときには今とは違う読み方ができるのではないかと楽しみだ。
ホントは出汁たい山車さん
温かいお出汁と愛情と #1巻応援
ホントは出汁たい山車さん
兎来栄寿
兎来栄寿
『ちいかわ』で出汁編が繰り広げられているいる今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。 出汁、良いですよね。 普段は昆布や鰹節から取るような手間暇はなかなかかけられないですが、たまに旨味たっぷりの出汁を取って美味しくいただく贅沢はたまりません。イノシン酸とグルタミン酸が生み出す旨味は脳と体に刻み込まれています。 『だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!』や『森田さんは無口』の佐野妙さんが描くこの作品は、営業2課の佐藤類(さとうるい)と経理部の山車香織(やまぐるまかおり)のふたりを中心にした、冒頭からハッピーエンドがカットバックして始まるほんわか社内ラブコメ×出汁グルメマンガです。 会社内でも出汁を引くほどさまざまな出汁に精通している山車さんから、奥深くありながらも以外と簡単に楽しむことができる出汁のいろはを伝導されていく類。 基本の鰹節や昆布から始まり、コハク酸たっぷりのアサリやグアニル酸がたっぷりながら類が苦手な干し椎茸などさまざまな種類の出汁の産地やそれらを用いた美味しいレシピなどの蘊蓄を読みながら楽しく類と一緒に学んでいけます。 出汁というと手間暇がかかるイメージが強いと思いますが、忙しい日常でも意外と手軽にできるもの(カップ麺にひとかけらの真昆布を入れるなど)も紹介されており、自分でも実践したくなります。ハンバーグにとろろ昆布を入れるのも美味しそうです。 そして、この作品はラブコメとしてもとても上質。会社ではクールで少し怖いイメージすらあった香織が、出汁のことになると饒舌になり柔らかく温かい雰囲気を出しながら美味しい料理を提供してくれるギャップ。四字熟語を多用する黒髪セミロングストレートヒロインを私が好きでないはずはありません。類も類で、素直で明るく真面目で少しヘタレな性格が好感を持てる主人公で、彼らをはよくっつかんかい! とばかりに煽り立てるサブキャラクターたちに同調しながら応援したくなるナイスカップルです。 優しく穏やかなふたりが、少しずつ少しずつ距離を縮めていくこの感じ。社会人の恋愛としては非常に純朴なやり取りが、まさに滋養に満ちた温かい出汁をいただいているときのようなほっと安心する満足感を得られます。たまにはこういう澄んだものをいただきたい……そんな気持ちが充足します。 出汁に詳しくなりたい方、穏やかな大人の恋愛物語を楽しみたい方におすすめです。
波うららかに、めおと日和
とってもキュンキュンな戦前ラブコメ
波うららかに、めおと日和
ゆゆゆ
ゆゆゆ
タイトルで戦前と書きましたが、応仁の乱以前の話ではありません。日中戦争間近の横須賀が舞台です。 むっつり無愛想な瀧昌と、日常生活以上のことを知らないおっとりとした女の子のなつ美。 ロシアとの戦争が終わったあと、中国と戦争をはじめるちょっと前。そんな時代に海軍で下士官をつとめる瀧昌と見合い結婚をしたなつ美。 冒頭で写真だけの結婚式を上げたから、瀧昌は亡くなっているんじゃと少しだけハラハラした。杞憂だった。 二人の初々しい新婚生活に、読んでいてニコニコしてしまう。 なお、軍なので新婚さんでも夫が家にいないこともしばし。 家で待つ間のなつ美の心の揺れ動き(主に瀧昌に対する心配と惚気)と、再会した際の二人のやりとりにほんわかしてしまう。 もちろんファンタジーではないので魔法も異能も出てこない。 さらに、舞台となる時代を考えると暗い未来しか見えないのだけど、今の彼らが素敵すぎでおもわず読み進めてしまう。 ぴゅあぴゅあでキュンキュン。読み終えると、とても良き…とジーンとなれる。 ハッピーエンドじゃなきゃやだよと駄々こねたくなるほど、ステキなラブコメ。
レコード大好き小学生カケル
小学生だって古き良き物を愛さずにはいられない #1巻応援
レコード大好き小学生カケル
兎来栄寿
兎来栄寿
日進月歩のテクノロジーによって世界は日々便利で豊かになっていきます。その陰で、古び消えていく技術や文化もあります。 マンガ業界においても電子書籍が圧倒的な勢いで伸びてきており、その分紙の書籍、特に雑誌の部数は大きく落ち込んでいる昨今。紙の本は段々と贅沢品でロマンの対象としての意味合いを強めていくことでしょう。 また、描き手においても若手はもちろんのことベテランもデジタルに移行する方が増えてきて、スクリーントーンやペン先などはどんどん絶版となってきています。もうアートナイフでトーンを削って気付かない内に爪の間に挟まっていたトーンカスが公の場で突然出てくることもないのだなぁと思うと一抹の寂しさに駆られます。 しかし、荒木飛呂彦さんのようにあくまでフルアナログにこだわる方も一部にはいます。どんな世界にも一定数いる、古き良きものを愛し続ける人の姿は良いものです。 『頭文字D』で、ハチロクに乗り続ける拓海のこだわり。 『16bitセンセーション』で、守が見せるPC98へのこだわり。 太正浪漫であったり、昭和レトロであったりに惹かれる心は多くの人にあるものでしょう。 変化こそが世界の摂理であり、たゆまなく変動していく環境に適応できなかった者から亡びていくのが定めです。それなのになぜ人はこうもレトロなものに言いようもない憧憬を覚えるのでしょう。 人間も必ず老いる生き物であり、自分もいつか古い人間になってしまう瞬間が訪れるのでそんな自分に重ねる部分もあるでしょうか。 古いものであるが故に蓄積された物語や思い出があり、そこに惹かれるからでしょうか。 ともあれレコードというのもまたノスタルジーと共に憧れをもたらしてくれる存在です。 本作は、レコードを愛し日本一のレコード屋になることを夢見る少年カケルが、周囲の友人たちを巻き込みレコード道を邁進する物語です。 『ドラえもん』のパロディである絵柄とキャラクター配置でかなりギャグ色も強いのですが、その中で本気で奏でられるレコードへの愛の調べが秀逸です。 「ゆで卵カッターで全身をスライスされたような衝撃」 というカケルの原体験。 そのカケルとまったく同じ所感を抱き、 「レコードには…スマホにない音の奥行きや広がりを感じる! 音像がまるで別物だ…」 と初めて触れる魅力に打ちのめされながらも相撲部としての活動の合間で翻弄されるデス夫(1P目の登場シーンで「俺様の夢はGAFAを買収してIT企業の頂点に立つことです!」と言い放つのも最高です)。 デス夫の思い人であり、カケルを通して初めてレコードに触れるヒロインのえみるちゃん。 彼女もまた 「フードプロセッサーで粗挽きにされた感じ」 というインプレッシブな表現力と、レコードをフォークボールの握りで持つなど独自の世界観を持つ少女です。 その他にも癖の強い特徴的なサブキャラクターたちが多数登場し、カケルのレコード道を盛り立てていきます。 おおひなたごうさんらしい、シュールな笑いもそこかしこに散りばめられています。個人的にお昼休みの放送の校長インタビューのテーマが「なぜ作文の宿題にChatGPTの使用を許可したのか?」なのも好きです。デス夫がカケルに対して持つ複雑な感情を基軸に物語がパワフルに駆動していくのも良いです。 しかし、何より最高なのはやはりレコードに対する並々ならぬパッションです。レコードにまったく触れたことがない人であっても、ここまで熱くレコードの魅力を語られてしまっては「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」や聖子ちゃんの曲をレコードで聴きたくなることでしょう。 あとがきを読むと、この作中の熱量も納得です。今は自宅にもうレコードを聴ける環境はないですが、レコードをかけてくれるお店に行ってその音色に耳を傾けながら改めて読み直したくなる作品です。
スクールバック
「糸目で京都弁」というだけで大ストライクなのに、お話も良いなんて!
スクールバック
ナカタニエイト
ナカタニエイト
<ログライン> とある高校の用務員さんが、子供たちとやり取りする話。 <ここがオススメ!> 思わずジャケ買いをしてしまった作品。 見事にビンゴ。超好き。 なので、表紙だけで「ピン!」と来た人はまず読んでください。 きっとその「ピン!」は間違いありません。 表紙だけで「ピン!」と来なかった人に少しだけ補足します。 ・学校物です。 ・学生さんは基本的に優しいです。 ・ただ、それぞれ悩みを抱えています。 ・それはきっと大人から見れば取るに足りないことかもしれません。 ・ですが、それは本人からすれば重大な悩み事です。 ・そんな悩みを用務員の伏見さんが聞いてあげます。 ・解決するかはわかりません。 ・でも、「話を聞くこと」ができる大人な伏見さんが側にいます。 ・糸目用務員の伏見さんは、超絶綺麗だし格好良いしです。 ・説教臭さも学園物として見事なバランスです。 そんなお話です。 ぜひ読んでください。 <この作品が好きなら……> ・センチメンタル無反応 https://manba.co.jp/boards/168835 ・氷の城壁 https://manba.co.jp/boards/187345 ・四十九日のお終いに https://manba.co.jp/boards/177179
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