堅物小説家と妻が遺したレシピ帳
とにかく堅くて真面目な時代小説家・米蔵は、最愛の妻を病で亡くし、仕事どころか生きる気力さえなくしていたが、妻が遺したレシピ帳に載っているかんたんな料理にチャレンジすることで、自分の小説のファンでもあった妻のためにも生きようと決意するという1話目から感動が止まらない内容でした。料理を入れるお皿を探している時にイラストと同じお弁当箱を選ぶシーンがとても良かったです。
毎年、いいところまで行くのに「あと一歩」が続く微妙な私立高校・木登学園(きとがくえん)のサッカー部。2年生の主人公・今中(いまなか)はドリブルが武器のフォワードだ。だが彼は、監督が日々繰り返す「勝つ為に無難なプレーに徹しろ!」という方針に正直、なじめない毎日を過ごしている。チームメイト達も、程度の差はあっても疑問や不満が膨らんでいる。そんな危うい状態だ。ところがある日、事件が起きる!3年生が引退し、新チームが動き始めるタイミングで監督が他校の引き抜きに応じてしまったため、体制がガラッと変わったのだ。そして、大昔の名選手・クライフに心酔する新監督の口から発せられた言葉に部員達は息を呑む…「勝つことにこだわっても、どうせどこかで負けます。だったら美しいサッカーにこだわりましょうよ。最高の負け試合をして、絶頂の中で美しく散りましょう!!」おいおい…いいのかそれで!!?俺達の最終学年、この中2病みたいな監督に任せちゃって本当にいいのか!!?
連載中は「ちょっと変わったユルくて可愛い女の子も出てくる日常系サッカー部活マンガ」って思ってたけど、あらためてまとめて読んで印象がガラリと変わった。
スーパーな才能を持った選手は全く出てこない。
それぞれ様々な弱点を持ちつつも、成りたい、憧れのプレースタイル、自分が生きる道を実現するために、何かを諦めながら、葛藤しながら希望を持ってもがきながらも進む姿。
そして、それを支え、彼らの道を一緒に拓いて行く手助けをする監督とその娘(女子中学生にしてサッカーオタクの戦術コーチ!)。
ユルフワな空気を残しつつもひた向きにサッカーに打ち込む彼らをもっと、ずっと見ていたかったなぁ。