心という器は…
超絶大傑作、涙が止まらない 傀儡にならざるを得なかった藤木とそれを理解した三重の絶望
山口貴由といえば、型破りなオリジナリティが持ち味かなと思います。『覚悟のススメ』や『衛府の七人』は特にそれが顕著で、台詞回しに展開、キャラクターどれを取っても類を見ない。
しかし、山口貴由の代表作の一つであるこの『シグルイ』は南條範夫の『駿河城御前試合』を原作にしているということもあり、きっちりとした型にハマった印象を受けました。そのため山口貴由のオリジナリティがズシンと響く重たさを持っています。まるで空手の形を見ているような美しさです。藤木源之助・伊良子清玄の因縁、剣に生きる人々の生き様、重厚なストーリーには何度読んでもため息が溢れます。
それにしても、山口貴由の描く狂気はなぜあんなに絶望的なんでしょうね。岩本虎眼がいたから、三重は美しくとも夜這いをかけられなかったと説明が入るところでは、思わずそりゃそうだと吹き出しました。
江戸時代初頭、天下の法に反して駿河城内で挙行された真剣御前試合で対峙したのは、片腕の若武者と盲目の天才剣士だった!!残酷無惨時代劇!!