楠城物産社長、博文39歳。姉の夫。姉が13年前に亡くなってからずっと兄妹として暮らして来たけれど、私はお兄さんが大好きだった。博文は、ある日見合いをすることになった。実は妻の妹の沙也香を嫁に出すのが目的だったのだが、妹達は「あたし達を追っ払って再婚しようなんて甘いわよっ」。娘でさえも「あたしの気に入らない女の人なんて絶対許さないから」というありさま。13年間、博文の事を秘かに想い続けていた沙也香の本心は複雑。ところが秘かにどころか皆に博文との結婚を勧められて…!?
「子供は天使。子供は宝」「目に入れても痛くないほど愛おしくって可愛いものよ」周りのママ達が口々に言うけれど、正直私は子供が苦手。それは言葉も通じない謎の存在。「3カ月だって」紀博に妊娠を告げると私の話も聞かずに「やったっ!! 晴美! 結婚しようっ!」って、そうじゃなくて私が言いたいのは…。ところが紀博は、あっという間に親に報告。できればディンクスでもいいと思っていたのに、その話をする前に紀博ってば…。私、ほんっとーに赤ちゃんって苦手なのよっ!! ところが周りからは祝福の嵐。恐るべし赤ちゃん。ソコまで皆が絶賛するなんて。もしやこんな私でも産んでしまえば天使の様に見えてしまう? 産んでもいいかも…たぶん…。というのが運のつき。
溺れかけた自分を誰が助けてくれたのかわからないまま入院していた江里は、病室の前で立ち止まっている少年にトキメいてしまった。ただの一目惚れじゃない…。綺麗な顔をしているとはいえ、何故惹かれるのか――。気になりながらも忘れかけていた頃、江里の枕元に現れたのは少女の幽霊!? 「お花畑で…光の中に行こうって言ってくれたでしょ?」生死の狭間で出逢った時、この世に連れてきてしまったらしい。そして、シンクロしてしまった彼女の“気持ち”が、江里を再び謎の少年へ導くことに――? 不思議な運命が交錯するミステリー・ラブストーリー!
【この作品は同タイトルの合冊版です】エイミーが慈善オークションの商品になったのは、ルームメイトに頼まれたから。ううん、本当はお金が欲しいからだった。リストラに遭い今は仕事もないけれど、競り落とされたら夏の6週間、家政婦として働ける。その間に仕事を探せばいい。エイミーはこうして自ら商品になり、ハリム・ロゥダと名乗るいかにも上流階級の男性に落札された。でも彼女は思いもしなかった。アラブの王族である彼に、冷たい瞳で「6週間、一歩も屋敷から出てはならない」と要求されるなんて!?
「あなたとキスしたい…」「君を汚すわけにはいかない、僕は自分がだれかもわからないんだ」まもなく父の決めた婚約者と結婚させられる貴族の娘レイラ。彼女はある日、意識をなくした男性を川で拾う。しかも目覚めた彼は、記憶をなくしていた! 今、この国は戦争中で素性の知れぬ者を邸に置くわけにはいかないが、なんとか助けたい。レイラは一計を案じて彼に女物のドレスを着せ、リヴィと女の名をつけて介抱する。けれど、どれほど美しい女に見えようとも、彼の男としてのたくましさがレイラの心を乱してゆき…?
突然現れた大富豪ナッサルに、自分が遠い砂漠の国の姫だと聞かされたサラ。それもただの姫ではなく予言の力を持つ巫女姫で、中東のクルスーム王国は、はるか昔からそうした姫の力で富み栄えてきたという。確かにサラの占いはよく当たると評判で、最近立ち上げた占いサイトは大人気だけれど、まさかこの力のせいで怪しい男たちに狙われ、出会ったばかりの大富豪にプロポーズされるなんて! ナッサルは魅惑的な美しい瞳でサラに告げた。「僕と結婚するんだ。君は必ず僕が守ってみせる」
エイミーが慈善オークションの商品になったのは、ルームメイトに頼まれたから。ううん、本当はお金が欲しいからだった。リストラに遭い今は仕事もないけれど、競り落とされたら夏の6週間、家政婦として働ける。その間に仕事を探せばいい。エイミーはこうして自ら商品になり、ハリム・ロゥダと名乗るいかにも上流階級の男性に落札された。でも彼女は思いもしなかった。アラブの王族である彼に、冷たい瞳で「6週間、一歩も屋敷から出てはならない」と要求されるなんて!?
地上に戻ることは許さない。君を一生、閉じ込めておきたい――金と銀の砂舞うルマ砂漠。その地底に眠る幻の都をと探すエリカは、今、TV番組の調査隊に加わり、念願のルマ砂漠に降り立っていた。けれど期待に胸躍らせる彼女に、黒髪の青年ガイド・アリは冷たい。彼はエリカをロマンチックすぎると嗤うのだ。なんて人! けれどその時彼女は思いもしなかった。まさか洞窟で崩落事故に遭い、見たこともない美しい地底の宮殿で目覚めるとは! そして地底の都の王子だと名乗るアリに花嫁として囚われるなんて!?
「あなたとキスしたい…」「君を汚すわけにはいかない、僕は自分が誰かもわからないんだ」まもなく父親の言うなりに、意に染まぬ男と結婚させられる貴族の娘レイラ。彼女はある日、意識をなくした美しい男性を川で拾う。しかも目覚めた彼は記憶をなくしていた! 今、この国は戦争中。素性の知れぬ者など邸に置くわけにいかないが、なんとか助けたい。レイラは一計を案じ、男にリヴィという仮の名を与えてドレスと鬘で女のふりをさせる。けれど数日たっても彼の記憶は戻らぬまま、二人の距離だけが縮まっていき…?
国中が噂していた。アリシアが大貴族ラインフェルト家の当主と結婚するのは、「義母に売られた」からだと。アリシアの亡き母は王の姪。望まれたのはその血筋だけで、彼女は浪費家の義母により、大金とひきかえに盆にのせられさし出されたのだ。しかし思いがけず、夫ユリウスはやさしかった。アリシアはつかの間、義母に受けた仕打ちを忘れる思いだったが、彼女はまだ本当の苦しみを知らなかった。親子ほど年の違う夫の秘密。そして夫の甥である若き騎士エミリオに寄せられる狂おしいほどの恋慕を。
弟の結婚を機に独り暮らしをするためマンションを買った可名子。やっと引っ越しが終わったと思ったら、ベランダから物音が!? 鍵締めてない!? しかも男の影が!? 上の階の住人、賢司がパンツを落としたので拾いに来ていたのだった。一応不審者ではないということで、お引き取り願ったけど、私より年下で結構可愛い男の子だった。彼が勤めるクラブに会社の同僚と偶然行く事になった可名子。間違えて隣の人のお酒を飲んでしまい、ひっくり返ってしまう。そんな可名子を部屋まで運んでくれたのは賢司だった。そして一夜を過ごしてしまう。「好きだよ。順序が逆になったけど」そうよね、私。賢司とこうしているのいやじゃない。ところが部屋にいた賢司を母親に見られ…!?
小説家兼画家、モデルでもある伊久磨(いくま)はマルチアーティストの女たらし。一方、海洋生物研究所に勤める兄・拓馬(たくま)は誠実に仕事に没頭する研究者だ。海辺の別荘から研究所に通う静かな毎日だったが、六本木のマンション生活に飽きたという理由で伊久磨が転がり込んできた。そんな中、二人は渚に打ち上げられていた美女を拾う。彼女は記憶も声も失い、まるで人魚姫のようだ。よっぽどつらい過去があるのか……。物憂げな様子で海を見つめる彼女に、兄弟それぞれの心が支配されてゆく――!?
職員食堂で打ち合わせしてたら相手がいきなり「近々、僕と結婚しませんか!!」ですって!? 私は優雅な独身生活を楽しむ事に決めたの。「いいじゃない。国立大出の国家公務員なんて安全パイよ」「冗談じゃないわよ。大体ものには順序ってものがあるでしょ!! 仕事の打ち合わせで3・4回会っただけでいきなり結婚しようだなんて手抜きもいいとこよ!!」とにかくもう男も結婚もコリゴリ。そしたらなんと、私にプロポーズしたばかりの男が見合いをしていた!? どういうことなのかしら、一体…!?
「モデル?」「輸入物のビールのCMだってさ」「演劇の方はどうするの?」「貴方は動かない方がいいって言ったの、美晴じゃなかったっけ?」言った、確かに。私が燿司と付き合い出して、もう4年になる。燿司は顔が取り柄の演劇青年で、私は大手町オフィス街に勤めるOL。モデルか…。確かに燿司は、その辺に転がってる男より顔がいい。だから4年前のあの冬の夜も、盛り場の路上で酔っぱらって眠り込んでいる燿司に魅入ってしまったのだ。その上、どういう成り行きからか目覚めた燿司は、まるで捨て犬のように私に懐いてしまった。面食いだったのよね、私も。会社に行けば見合いを進められるが、絶対断ってやる。かといって燿司との結婚も考えられない…。
友人と33年に1度の流星群を見にきた美鶴。ところが友人は流星群そっちのけで彼氏と一生に1度のHを楽しんでいる。恋人のいない美鶴は「寒いよ~Hしなくてもいいから、くっついてるだけでいいから誰かいてほしいよ~」と情けない限り。余りの寒さにもよおしてしまった美鶴は茂みで用を足す。一生に1度のロマンチックな夜に1人でオシッコしてるなんて。さらには着込みすぎて元に戻そうとして崖から落ちそうに。そこを助けてくれたのが、結構いい男。さっそく流星群が願いを叶えてくれたのかしら、とドキドキしていたら、なんと下半身丸出しのままを見られちゃった。「きゃあぁ~」2度と彼に会いませんように、と願っていたのに、花嫁修業で通っていた料理教室で!?
イギリスの小さな町で暮らすフィオナは、事故で亡くなった両親が残した小さなパン屋を1人で営んでいる。幸せは1人だと1人分、他人の幸せは掛け算になると教えられて育ったフィオナは、誰かが幸せになる事がとても幸せだと考えていた。そんなある日、フィオナの店の前に泥まみれの男性が倒れていた。当然彼を助けるフィオナだったが、彼にはとんでもない秘密があった…!?
なんていう歌だっけ? 思い出せないまま口ずさむ優しいメロディ。ここは父の家具好きが高じて始めた家具屋さん。今や知る人ぞ知る家具のお店です。そして実質的にこの見せを切り盛りしているのは、長女の私、杉本あかね、当年32歳。母は私が12歳、妹が5歳の時に亡くなった。それからすっかり私が母親代わり。「そんなにガミガミ言ってたら恋人できないよ」なんて妹は言うけど私だって好きで口うるさくなったわけじゃないわよ。父が店の改装を私に任せると言ってきた。やって来た1級建築士は、なんと昨日振り込みの件で口喧嘩した男!? こんな男と一緒に仕事ができるのかしら!? その上、でも私は気がついたら彼の姿を追っていた。何をドキドキしてるんだろう私。
同期の庄野崇が課長に昇進した。しかも常務のお嬢さんと見合いの話もあるらしい。別に付き合ってる訳でもなんでもないけれど、気にならないと言えば嘘になる。しかも今私にはヘッドハンティングの話が来ている。しかも部長待遇で。友人に話したら「いつまでも庄野崇と同期の桜ごっこしてないで、とらばーゆして男を作るのよ!!」なんて言われちゃった。「いいかげんにしてよね、庄野崇、庄野崇って」「庄野崇、庄野崇って言い続けてきたのは、あんたの方でしょ。この10年間、他の男の名前なんか聞いた事無いわよ、私」「え…う…嘘」「いかに通子の異性関係が貧困だったか分かるわね」「私、少し考えてみた方がいいみたいね」早速友人に見合いを進められるが!?
「いつになったらパパやママをあんしんさせてくれるの。孫の顔見たいわァ。幸せになって欲しいわァ」と母親に心配されて、お父さんの大学の柔道部の後輩の40歳の男性とお見合いをすることになった都。いい年してって言われても、小さい頃から信じてるんだから、いつか白馬に乗った王子さまが私を守りに来てくれると…。ところがその夜見た夢は、木馬に乗ったひげ面の大男!? まあ見合い相手なんだけど。見合いであった山田一太郎さんは、体だけじゃなく声も動作も大きくて、お店の人に注意される程。どうしよ…もう帰りたくなってきた。けれど私の夢を笑わずに聞いてくれたのは、彼が始めてだった。そして情熱的な告白をしてくれた。でもでもでも、どうしよー…。
「ああ、貢? あたしよ。あたしったらわかるでしょ。晶子よ」こいつはこの夜で俺が一番だーい嫌いな女だ。「お父様の会社が倒産なさったの。すぐ日本に帰りなさい。いいわね」大学時代、趣味で作ったパソコンゲームが売れたおかげでNYにソフト会社を設立し、今や花形パソコンソフトメーカーの若き社長のこの俺を電話1本で呼び出す女、晶子。彼女の家のお抱え運転手をしてきた父に男手ひとつで育てられたが、もの心ついた時からこの女の子守りをし、学校の送り迎えから、果ては日舞にお茶オハナまで付き合わされ、いつのまにか騎士にされていた。おかげで恋人に逃げられ、晶子お嬢様のアッシー君と呼ばれた。その俺に晶子は婿探しをしろと言って来た!?
兄が死んだ。10年以上行ったきりだったアメリカで交通事故。こんな形で帰って来るなんて。でも、泣かないよ、私は。あんたなんかのために泣いてやらない。18年前、母が再婚した。そりゃあ、お母さんは恋愛体質な人だから、いずれはこーいうことになるかなって思ってたけど…。何もこーんな大きな子供いる人じゃなくっても! 高1って言ったよねえ…。信じられない、大人っぽい…。まつ毛長ーい。あたしよりよっぽど色白だわ。髪もきれー…。それが一朗、いっちゃんとの出会いだった。ほんとにね、どうしてこんなに好きなんだろ。こんなに冷たくつれなくされてるのに。でも、時々いっちゃんの視線を感じる。振り向くとこっちを見てないけど。彼の気持ちはどうなの?
俺は幾つもの体験を通して「学習」した。もうワンランク上に行くためには実力だけじゃだめなんだ。俺は常務の娘との見合いの席でも、その後の付き合いでも全精力を費やし、俺は彼女の心を、これ以上無いコネをついに手に入れた。そんな時、見合いの席で大げんかしていた女の子と再会した。「嘘は許せないんです」だって。あんなで世の中渡っていけるのかねえ。と思っていたら、見知らぬ男とラブホテルに入って行く婚約者を目撃。なんだあ!? まあ、お互い様ってことか。俺は無性にあの子に会いたくなった。彼女は言った。「私は嘘をついた事は無いです。特にお母さんが亡くなってからは。私の父親、嘘ばっかりついてた」俺は、何故かこの子に会うとホッとする。
恋なのかも知れない。煙草をもてあそぶ細い指。少し長めの髪。グラスを傾ける横顔。いつも気になってた。恋人から全然ロマンチックじゃないプロポーズ。3年も付き合ってるとこうなるのかしら。3年も付き合ってると、私のものじゃない口紅が、あなたのアパートの洗面所に落ちていても問いつめもしなくなるのかしら。だから、あの席で出会うあの男性のことが、こんなにも気になるのかしら。いつかは色あせるのかしら。この肩越しに見つめるだけの恋も。そう思ったら涙がこぼれた。どうかしてる、私。これじゃ10代の子供じゃないの。手遅れの恋だと思っていた。見つめるだけでいいと思っていたのに。彼から誘われた。私は躊躇しなかった。あなたが好き。あなたが…。
その日、私は3度目の失恋をして会社を辞めた。私、雨森亜季(27)はスジ金入りの雨女。思えば幼稚園の入園式から遠足、運動会。楽しみな行事は雨に降られに降られまくり、休んだ日、カラリと晴れる。そーゆー日々を送った私は、成長したらやっぱり男にふられる運命なのかもしれない。いいえ…いいえ。そんなハズないわっ。そうよっ。今度こそ故郷で新しい恋を見つけなきゃ。どしゃ降りの雨の中、帰郷した亜季を迎えに来たのは幼なじみの光夫。「俺で良かったらいつでもつきあうぜ」って、何言ってるの。あなた妹のBFのくせにっ。ところが光夫が来た途端、空がピーカンに晴れた!? 光夫は最強の晴れ男だった。しかも妹とは別れ、現在フリー。でも年下なの。
真面目なテーマをハートフルに紡ぐ名手・福田素子の全3話の短編集。 3話目の「ウィズは知っている」がとても素晴らしい作品でした。 ウィズという愛犬と、子供のいない夫婦の絆を描いていた作品です。 比較するわけではないですが、谷口ジローの「犬を飼う」を彷彿とさせる内容で、犬と暮らしてきた人には特に刺さるのではないでしょうか。 ところで作品について調べてたら、以下のPinterest投稿を見つけました。 ウィズは、福田先生の愛犬がモデルだったんですね。 https://www.pinterest.jp/pin/474144667004081418/