生きものマンガの感想・レビュー860件<<2728293031>>んだよ…!この可愛さは!!ギガタウン 漫符図譜 こうの史代名無し鳥獣戯画ベースのイラストや素材って最近特に人気がありますね。 この本は「漫画特有の記号」=「漫符」をテーマに、戯画モチーフのゆる~い4コマで解説してくれています。もうね、本当にこのキャラクター達(特にウサギ)が可愛すぎて…ふむふむ言いながらにやけてしまいます。 「この世界の片隅に」でこうの史代さんを知ったんですが、こんなにキュートな動物を描くのか!!と感動しました。窒息しそうな緻密な地獄の中でも、河童がいる天水 花輪和一にわか民謡のような、説話のようなテイストが特徴的。いうなれば日本文学をマンガに落とし込んで、和風ファンタジーとして完成させたような作品。 個人的には、読者のストレスコントロールが完璧なところが素晴らしいと感じた。前半部は世界のどうしようもなさを、河童の愛嬌でうまく釣り合いを取り、後半部の緻密に書き込まれたドロドロの地獄をオチで、綺麗に飛ばす。河童の存在が終始とてもいいバランス感を保っていた。 河童は読者の救いであり、なによりも主人公の救いだった。 WEBで無料で公開もされているが、なんとなく、この読書体験は紙でしてほしいと思った。わかりすぎる犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい 松本ひで吉名無し犬と猫同時に飼うと性質が違いすぎていいとこ・悪いとこが過剰に感じられ、相乗効果で可愛く見えるあるあるだなこれは。現実ともリンクした面白い企画の旅マンガざつ旅-That’s Journey- 石坂ケンタsogor25SNSで旅の行き先だけざっくり(方角とか地域程度)決めて、細かいことは決めないでまさにタイトル通りの雑な感じで旅をするという作品。 旅行の計画自体はほんとに適当に決めてるんだけど、旅マンガらしく旅行先の情報はちゃんと組み込んでいる。ただ、その情報が主人公の語りという形で書かれているので文体がどうもユルい。でもそれがクセになる感じ。 また、主人公が東京生まれ東京育ちなためか、旅行先だけではなくその過程、特に新幹線の中で彼女なりの発見をするところまで描かれており、そのあたりは旅マンガらしからぬ新鮮さを感じる。 旅に行きたくなるというよりも、彼女たちの旅路を遠くからずっと眺めていたいという気分にさせてくれる、今までにない読み口の旅マンガ。 ちなみに、作中に登場する主人公のTwitterアカウントは実際に存在し、それどころか作中で行ってる旅の行き先アンケートも実際にこのアカウントで行っている。毎月末にアンケートを採ってそこから実際に旅したあと、旅路の写真もアップされているので、興味がある人は覗いてみると面白いかも。 1巻まで読了 旭山動物園のドキュメント風漫画ASAHIYAMA-旭山動物園物語- 本庄敬 森由民マウナケア走るキリンって生で見たことあります? 私、ここで見てビックリしたんですよね。ってことでこの作品、テレビ番組や書物で有名になりました、”北の奇跡”旭山動物園のドキュメント風漫画です。この作品、全3巻まるまる使って、廃園の危機から復興するまでを描くのかと思ってましたが、そのあたりは第1巻に集約。第2、3巻は人間と動物の関わり合いを中心にしており、フィクションを織り交ぜた展開。なので2、3巻は目新しい話ばかりで、動物の生態を解説したガイドブック的な内容も数多く含まれています。地元の人以外にとって簡単に行けるところではないですが、これを読むと行ってみたくなりますね。しかしながら私、第1巻は社会人、特にサービス業に携わる人によく読んでもらいたいとも思っています。ただ工夫しました、だけでなく、それをいかにして知ってもらうか、味方を増やすにはどうすればいいのか。現在の人気を勝ち得た努力もしっかり描かれていて、このお話に、そういう側面もあることを感じてもらえると思うのですがいかがでしょう。"自分にとっての幸せ"とは何かを見つめ直せてくれる物語三日月とネコ ウオズミアミsogor252016年の熊本地震をきっかけに同居することになった40代書店員の灯、30代女医の鹿乃子、20代インテリアショップ店員の仁、そして(元々は鹿乃子の飼い猫であった)ミカヅキ。年齢も性別も境遇もバラバラの3人が、地震という不意の出来事を契機にして共に生活を送る物語。 といっても、3人の中の誰かが付き合ったり、もしくは恋仲に発展しそうになったり、というような展開は出てこない。なんなら灯以外の2人にはどうやらちゃんと恋人がいるという描写がある。 いわゆる"シェアハウス"を舞台にした作品では、同性どうしであれば外での恋愛模様に喧々諤々としたり、もしくは異性間の同居となると同居人どうしの恋愛に発展したりしなかったりと、どうしても"シェアハウス"という空間と恋愛が相反する存在として描かれる傾向が強いように思う。しかし、この作品では3人の中での楽しい共同生活とその外の恋愛というのが完全に独立した状態で存在している。一応3人の間に恋愛が生まれなさそうな設定上の仕掛けがあるのだけども、恋愛そのものを否定せず、むしろ肯定したうえで、恋愛に囚われない幸せもあるということを描いている稀有な作品。 もちろん現実ではこんなに人たちに出会えるとは限らないし、この3人も奇跡的なバランスで関係性が成り立っていると思うけど、何が自分にとって幸せなのかを見つめ直させてくれると共に、恋愛だってなんだって、探せば幸せはいろんなところに転がっていると気付かせてくれる、読んでいて多幸感で満たされる作品。めっっっっちゃ可愛い~アフリカのサラリーマン ガム名無し反則なやつ。可愛いと言っても、イラストじゃなくて、ライオン・オウム・トカゲっていうそれぞれの特徴がうまいことキャラクターに変換されてるのが可愛い。こういうほのぼのしつつちゃんと面白い漫画はもっと流行ってほしいな。独自の世界観アフリカのサラリーマン ガムstarstarstarstarstar_border干し芋不思議な世界に連れて行かれます。 サラリーマンなのに、仕事全然してません。 個人的には、ライオン先輩が好きです。 トカゲくんのしっぽ切りは、痛いのか・・・。 釣りキチ三平からのスピンオフバーサス魚紳さん! 矢口高雄 立沢克美さいろく釣りもYouTubeで人気広がってる(と思う) そんな中で釣りキチ三平に目を付け、さらにそこから魚紳さんをピックアップしてるだけでもセンスがある。 絵もうまい。ギャグ描写は古臭いけどw 腕の伸び方とかしなり方というか、その辺は原作に似せてるのかな? 雰囲気損ねてないと思うアンモナイトと辿る生命史アンモの地球生命誌 小川隆章starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男アンモナイトの最後の生き残りである主人公・アンモと辿る生命の歴史。原始的な生物から爬虫類、哺乳類と出会いながら物語が進む 派手さはないけど、毎回良い感じで話が終わるので面白い。猫…?猫を拾った話。 寺田亜太朗名無しTwitterで大反響、連載化! 猫?の謎の生態に戸惑いつつも愛情を持って世話する青年・イガイの日常。 https://twitter.com/t_atarou/status/1144153780654501889毎日読んできた大好きなweb漫画の2度目の単行本化サチコと神ねこ様【フルカラー】 wakoさいろくなんと祥伝社からフルカラーで出し直しになった『サチコと神ねこ様』、私が日課で読むようになったのは60話ぐらいだったけど今や1000話を越えてホノボノした世界を届け続けてくれています。好き。 著者のwako先生が面白い人なので(女性らしいというか)基本は4コマなのだけどちゃんと展開があって次を待つのが楽しみな毎日を過ごせる。web連載とかアプリ連載って読み続ける習慣になると幸せかもしれない。 サチコもイイけどクロちゃんとジロー&銀狐もよい。木下くんはウジウジ系美形なので私は好かん。部長(おじいちゃん)もイイよ!爽やかで透明な空気感ハートカクテル わたせせいぞうマウナケアわたせせいぞう、鈴木英人、クリスチャン・ラッセン。80年代にアート系でずいぶんもてはやされたと記憶してます。私自身、レコパルで鈴木英人のカセットインデックスを集めたり、ラッセンTシャツを買ったり。そしてわたせせいぞうは、JT提供の深夜アニメです。5分番組で確かキャッチは”たばこ1本のストーリー”。ちょうどたばこを覚え始めた時期だったので、吸いながら見ていました。その後、単行本を買って、たばこを吸いながら読んで灰を落としてしまったり、なんてことをしてましたね。漫画には日本の田舎のお話もありますが、そのとき感じた印象はアニメの影響から、メンソールたばこのイメージ。スッーと爽やかで透明な空気感。そしてヨーロッパの絵本のような絵柄から受ける非日常感もあって、わずらわしい現実から開放されるような気分に浸ってました。ですので今でも気分転換したいときに読み返します。このときだけは、やめたたばこを吸いながら。競馬学校を卒業した主人公が、プロとして歩んでいく過程を描く成長物語ダービージョッキー 一色登希彦 武豊 工藤晋マウナケアこれは競馬学校を卒業した主人公が、プロとして歩んでいく過程を描く成長物語。原案はダービー4勝の武豊で、走らせる側の心理描写は説得力あり。でもこの作品の特筆すべき所はそこではありません。異様に高い競馬濃度、そして深い競馬愛があるということが競馬好きの心をくすぐってくれるのです。全編ほぼ競馬のことのみに終始し、余計な日常はそぎ落とされています。主人公親子の団らんやデート場面でも話題は競馬オンリー。描写も渾身の一筆という体で、競走馬はあくまで大きく力強く、コースのラスト100mは本当に長く険しく見える。そんな舞台で研ぎ澄まされるジョッキーのたくましい精神。読めば間違いなく気合いが入ります。競馬を知らない人でも、きっと熱狂するファン心理がわかるのではないでしょうか。映画のグッズだと考えると良い犬ヶ島 望月ミネタロウ ウェス・アンダーソンhysysk映画版とは違う描写もあるし、望月先生らしさも感じられて楽しいのだけど、唐突に終わってしまうのが残念。これだったら最後のページで無理やり解決させなくても良かったんではと思う。かわいいカワウソの逆作画崩壊おそとにでようよ雨やんだら 夏花ナオトたか「酒を飲むとカワウソと話せるようになる」という、ナチュラルにキマってる設定に笑った。 これを機に「カワウソ」でググったら、予測変換に「獺」と出てビックリ!(ちゃんと店長の飲んでる酒が「だっさい酒」なのもそういうことか!) ぬいぐるみみたいにキュートなカワウソより、逆作画崩壊してるおっさんみたいなカワウソの方が好きアフター0アフター0 岡崎二郎マウナケア本作を読むと、小学校のころ、担任の熱血先生にやたら「星新一の小説を読め!」と薦められていたのを思い出します。これ、まさにその漫画版ですからね。一部連作はあるものの10巻すべて珠玉のショート・ショート集。モチーフにしているのは生物学から考古学、物理学に化学、さらには文学から哲学めいたものまで多種多用。幅広く、適度に掘り下げた題材を、サクサクッと料理してくれています。オチもハッピーエンドが多くて、後味も良し。また、著者再編集版ということで、各巻ごとテーマ別に収録されているので、1巻から気合い入れて読み進めるのでなく、パラパラっと目に留まったストーリーだけ読むということができるのもいい。私は、第1話の妙にペーソス感のある話に興味を持って1巻を完読した後は、サスペンスタッチの2巻「犯人は誰だ!?」編、そして7巻の「生物の鼓動」編、という具合に趣味的な順番で飛ばし読みしてしまいました。電車での移動時間や、夜寝る前にちょこちょこっとって感じです。でも結局は、面白いしもったいないので全部読んじゃったんですけどね。少年漫画のお手本3月の風は3ノット 坂口尚マウナケア私の甥っ子はいま小学校の低学年。帰省した折に見ていると、イマドキの子らしくゲームをしてたりはするんですが、急に走りだしたり、興味を持つと周りが見えなくなったり、新しい遊びに貪欲だったりと、とはつらつと動き回っています。まさに子供、という感じ。そんな”少年”の本質の部分を漫画として描き出すことが、この著者は本当に上手。この短編集はそんな子供たちのちょっとした冒険をモチーフにしていて、読む者の心を少年の日に戻してくれます。私のお気に入りは、「独立祭の夜」。大道芸の綱渡りの手押し車に乗る役に選ばれた少年が、いざその舞台に立つ、という小編です。これが少年の心理を見事に捉えている。前日はドキドキして眠れない。最初はこわごわ、慣れた途端に大胆に。しかしアクシデントがあった途端に自分の運命は大人に委ねられていることがわかり、応援するしかない存在であることを知る。当然、私自信にも子供の時代があっただけに、主人公に同化しやすく、読んでいて思わずハラハラしてしまいました。うまいなあ。少年漫画のお手本ですね。うーんうちの師匠はしっぽがない 幸村誠 TNSK 小田すずか 櫓刃鉄火名無し雑誌で読むと面白い。 他の作品と比べたら、面白く感じる。 でも単行本で読む気にはなれない。癒される。おかゆネコ 吉田戦車Qちゃんキャラが可愛くて、とても癒されます。たまに美味しくなさそうなのもありますが 笑『そうだ 奈良、行こう。』馬姫様と鹿王子 椙下聖海sogor25社会科の先生・鹿沼に恋するあまり彼の好きな社寺や仏像に関連しそうな文化系の大学を受けまくった主人公・馬酔木まほろ。唯一受かったのは東京から遥か遠く・奈良の大学であった。。。 というぶっ飛んだ導入から始まる、奈良を舞台にした仏像×社寺×鹿+ときどきキャンパスライフな物語。 奈良の魅力、仏像や社寺の魅力を丁寧に描きつつ、キャラクターのコミカルさも手伝って小難しさを一切感じない。作中の小ネタも多く、知識がなくてもサクサク読み進められる。 ストーリーも序盤はラブコメチックに話が進み、1巻終盤でガラッと展開が変わる面白い構成。いろんな要素が噛み合いトータルで魅力の高い作品。関西在住なら聖地巡礼が捗っただろうなぁというのが口惜しいところ。 1巻まで読了7話目からジャンルが変わる!?鹿と仏像まみれの大学生活馬姫様と鹿王子 椙下聖海名無し仏像好きな教師と付き合いたいが為、奈良の大学に進学した主人公が、可愛い友達もでき、なぜかイケメン先輩に気に入られ、ときめきドタバタ大学生活の幕開けか…と思いきや。 第7話でいきなりファンタジー漫画に変わります。 実際には6話までの間に所々匂わせてはいますが7話の急展開には戸惑いが隠せません。 それ以外のところだと、主人公と一緒に寺社仏閣の魅力を勉強できる内容になっていて「奈良行きたい」と本当に思いました。仏像に興味がない人からすると京都の陰に隠れがちな奈良の、知っておくべき魅力を知ることができる良いマンガだと思います。シベリアンハスキーブームを巻き起こした漫画動物のお医者さん 佐々木倫子マウナケアこの作品が大ブレイクした当時、モデルになった北海道大学能獣医学科の受験者が激増したそうで。バブルのしっぽの時期でもあって、シベリアンハスキー犬を飼うことがブームにもなってましたね。で、少し落ち着いたころに、ドロップアウトした人が多かったとか、犬が大きくなりすぎて困ったとかというオチがあって…。私も相当ハマっていたので、流行ったころが受験前だったら、下手をすればこの人たちと同じ運命だったかもしれません。チョビみたいな大型犬と遊びたいなあとか、こんな感じの人と研究できたらいいよなあ、とか本気で思ったかも。ただ、そのころ私は同じように生き物を扱う農学部に在籍しており、変に憧れるところがないぶん、けっこう冷静に読んでいた気がします。特に登場人物の個性的な設定については、菱沼さんや漆原教授みたいな人が身近にいたこともあり、実際いたらとんでもなく迷惑、と実感してましたから。むしろ、そんな人たちをコミカルに描けるなんて、漫画恐るべし!と感じた作品です。きっと『銀の匙』でも同じような現象が起こるんだろうなあ…。海、船、魚、犬、アイドル、そして神様…。ふなだまさん 西川丸名無し都会の女が仕事を辞め旅にでて酒に酔い目が覚めたら漁船にいた…から始まる。船に乗っているのは女と漁師のおばあさんと犬。実はこの犬は船の神様「ふなだまさま」の依り代でもあるのです!このワンちゃんとっても可愛い。 女は超のつくアイドルオタクであり、この旅の行き先も推しの楽曲タイトルを元にダーツで決め、ふなだまさまにお供えする魚も顔で決める。旬のアジはめっちゃ美味しそう! 思いがけず盛りだくさんなマンガだった…。 短期集中隔週連載ってどうなるんだろう。<<2728293031>>