きんぎょ注意報!

「きんぎょ注意報!」を読んでわかったこと。

きんぎょ注意報! 猫部ねこ
まるまる
まるまる

アニメの印象が強いので、きんぎょ注意報!といえば「わぴこ」と「ぎょぴちゃん」がメインキャラクターだった記憶でしたが、漫画はどんなんだろうと思って読んでみると、案外ふたりともそこまで前に出てくる感じではないんですね。わぴこが主人公であることには違いないですけど、少女漫画のヒロインとしての役割を果たしているかというと、全く果たしていません(それがダメという事はない)。田舎者の自然児、動物と遊ぶことしか頭にないおバカだけど、千歳を思う気持ちは人一倍強く、ここぞというときに驚異的な記憶力を発揮する。そんないい設定がありながら、全体的に千歳が目立つ話が多い。ヒロインと呼ぶには千歳の方が相応しい気もしてくる。 ぎょぴちゃんも、その辺にただ浮遊していることが多いです。むしろ牛とかの方が目立ってますね。これは意外でした。 なかよしを代表する作品だと思ってましたが、当時の評判としてはどうだったんでしょう?葵と秀ちゃんは不良と優等生という対照的で魅力的なかっこいい男子。読者には人気も高かったんじゃないでしょうか。そういうキャラクターもちゃんと居るけど、恋愛模様はほぼほぼないに等しい。終わり方も、最終話らしい最終話でもなかったし、きんぎょ注意報としてはそれで良しなのか、それとももう少し続く予定だったけど終わってしまったのか。気になってしまいました。

Lily lily rose

子供の夢には、もう留まれない。

Lily lily rose 紺野キタ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

母を亡くして心を閉ざした9歳の凛々(りり)は、叔母・のばらの元に預けられる。不思議な感覚の中に住む凛々が、周囲の理解によって心を開いていく過程を描きながら、次第に物語は、叔母・のばらの過去と内面を描き始める。 凛々の母・ゆりかは、のばらの双子の姉妹。感覚も感情も共有していた二人の幼少期の安心感・楽しさ……それを抱き続けたまま大人になったのばらの、ゆりかへの愛着は重い執着となり、痛々しい。 のばらの想念が捻じ曲がって凛々に向かう、息苦しい後半。同居人の麻耶との、まるで時間のかかる認知行動療法を一気に行うような対話。のばらの感情の起伏に、心を揺さぶられる。 童話、魔女の家、幽霊、不思議な双子語……子供の為の世界をふんだんに描きながら、いつまでもそこにはいられない、という現実を残酷に描く物語。それでも何回も読みたくなってしまうのは、そこに沢山の優しさと美しさがあるからだろう。 (本作は百合作品枠で紹介されることがありますが、のばらと麻耶の関係よりは、双子の強すぎる絆と、そこへの囚われという『双子百合』と捉えると良いと思います。甘いのはありません)

じゃあまたね 完全版

清原なつの先生の猫マンガであり自伝マンガでもある

じゃあまたね 完全版 清原なつの
かしこ
かしこ

金沢大学の薬学部に通いながら少女マンガにSFを描いていた清原なつの先生。『じゃあまたね 完全版』は、編集者さんからの「猫のマンガ描きませんか?」という提案をきっかけに描かれたそうで、猫のタイガーを飼い始めた少女時代からタイガーが亡くなる大学卒業までを回想した自伝マンガになっています。 読んでみてオリジナリティに溢れた作品がどうして生み出されたのか少しだけ分かったような気がしました。りぼんでデビューしたのが偶然だったのには驚いたし、ペンネームにまつわるエピソードも面白かったです。就職ではなくマンガ家を専業に選ばれた理由も先生らしいと思いました。 大学生の頃にはすでに花岡ちゃんシリーズも描き始めていたそうで、これから先の清原なつの先生のまんが道も知りたい!というのが正直なところですが、タイガーが亡くなってから40年ペットロスだと語られていたので、これはこれで完結するべき作品なのでしょう。でも気が向いたらぜひ続きを描いてくださいね! ちなみに紙版の単行本には収めきれなかった複数のエピソードが電子版には収録されています。なので電子版はタイトルが『完全版』となっています。