クロちゃん』のなかでも存在感のあるシリーズと言えば異世界編だと思いますが、わたしはクロちゃんとマタタビの過去を描いたキッド編も同じくらい好きです。
幼いクロちゃんがボス猫ゴッチ率いるネコのシマに流れ着き「キッド」としてどう生きたのかが描かれています。

拳銃を持った猫狩り人間の襲撃、凶悪なカラス軍団との死闘、対立する猫組織との抗争、内部での権力争い、そしてマタタビとの因縁…。
激情と暴力にまみれた闘争の連続はさながらギャング映画を見るかのような迫力と緊張感がありました。銃撃戦も爆発炎上も全部見れますからね。彼らは常に生と死の狭間を命懸けで生き抜いているんです。こんなハードボイルドな猫たち『クロちゃん』にしか居ないですよ。

とりわけクロちゃんたちの兄貴分であるグレーがカッコイイです。ゴッチの組織のブレーンでありながら、危険な役目を率先して引き受けたり、いつも強敵の前に立ちはだかっていました。
キッド編とは別に最終巻で描かれたエピソードでも彼がフィーチャーされていたのが印象深いです。「お前に見せてやりたい」と自分たちの世代の落とし前をつけ、若者を先へ進ませようという姿勢が心に沁みました。
このグレーの姿がその後のクロちゃんの生き様に刻まれているような気がしていて、クロちゃんを語るときに無くてはならない存在だなと思います。

#マンバ読書会

読みたい
新装版 サイボーグクロちゃん

ザ・ハードボイルド…それがクロちゃんという猫だ

新装版 サイボーグクロちゃん 横内なおき
ANAGUMA
ANAGUMA

大人になって『ブラックサッド』というバンドデシネを読みました。ハードボイルドな黒猫の探偵ブラックサッドが主人公。骨太でビターな物語…実に素晴らしい作品です。 しかし。しかしだ。 我々はハードボイルドな猫を…それも黒猫を…他にも知っているんじゃないか…? そう、それがサイボーグクロちゃんです! クロちゃんはちょっぴりひねくれ者の黒猫で、ついでに不死身で最強のサイボーグです。 かつての仲間グレーやマタタビとの絆、電気スタンドのガールフレンドナナちゃんへの愛、異世界サバイバル編での誇りを賭けた死闘(※このマンガには異世界編があります)、辛い境遇に置かれたゴローとチエ子ら子どもたちへの想い…。 語り尽くせるものではありませんが、クロちゃんはいつも大切な誰かへのアツい気持ちを胸に秘めて戦っています。 不平不満を言いながらも、誰かが困っていたら必ず手を差し伸べてニヒルな笑みを浮かべて助けるのです。猫なのに。カッコイイ。 だから周りにはいつも賑やかな仲間が集っています。本人がどれだけ孤高を気取っていても…。 思えばこのハードボイルドな黒猫の生き様にずっと憧れている気がします。 クロちゃんはいつまでも僕のヒーローです。

グランダー武蔵

伝説のルアーで子ども心を鷲掴みにした釣りマンガ

グランダー武蔵
みど丸
みど丸

7つ集めると世界の海が手に入るという伝説のルアー「レジェンダー」探しが始まってからが好きでした。改めて書くとヤバすぎるルアーを作るな!ってなりますが、当時は「そんな昔からルアーってあるんだ、すげえな…」って思ってました。 伝説のルアーもそうですが、主人公の武蔵が闇のルアーで洗脳されて釣りの暗黒面に落ちかけたり、ルアーが不思議な力でパワーアップしたり、釣りに特化したサイボーグが登場したり、この辺のやりすぎ感とリアリティが絶妙で楽しめました。 ちなみに闇のルアー「スケルトン」はのちに浄化されて武蔵の頼れる相棒になるのがアツいです。そして酷使されたスケルトンが武蔵のスキルに耐えきれなくなり、涙ながらに新たな相棒「オルカイザー」を迎えるという”主役機交代イベント”まで用意されてます。ドラマの量がすごくないですか? 私は父親に頼んでちょっと釣り堀に行ったくらいで釣りにハマるまではいかなかったのですが、作中に出てくるルアーは実際に販売されてかなりヒットしたそうです。欲しくなりますよね、世界の海が手に入るルアー。自分の世代の方は「釣りと言ったらグランダー武蔵」…って人が結構いるんじゃないでしょうか。 最後に本作の影響を示すエピソードとして、釣り竿を振ってルアーを加速させるグランダーウェーブっていう技(技?)があるんですが、これを真似して釣り竿振り回したら釣り堀の人にマジで怒られたという私の思い出話でシメとさせてください。こういう思い出あるのも多分私だけじゃないはず。

A・O・N

今夜「線」を超えろ!!!!

A・O・N
みど丸
みど丸

プロレスをインチキと断ずる少年が最強のレスラー「アオン」になりすまし全国のレスラーに宣戦布告、真のファイトとエンターテインメントを追求する…というふうに書くとシンプルな話のスジにきこえますが、読むとなかなか曲者で独特。独特、というのが『A・O・N』に最もふさわしい言葉な気がします。 存在を知ったのもその手のマンガに詳しい友人から「パワーがすごい打ち切りマンガがあるから読んでみてくれ」と薦められたのがきっかけでした。確かに話の運びが強引すぎたり、主人公に気持ちが入りづらかったり、連載が10話で終わってしまった理由は正直言って読めばなんとなく察せます。 一方で全10話の全コマから気迫みたいなものが迸っているのも事実。クセは強いんだけど抜群にうまい絵とか、流れはなんか違和感あるんだけど勢いにあふれた台詞とか、「今それやる!?」っていう展開に全力振り絞ったりとか…。 このマンガにしか無いような圧力というか、エネルギーが備わっていて、これも読んだ方にはわかっていただけるはず…。 少なくとも自分は強烈なインパクトを受けました。気になった方にはぜひ今夜「線」を超えて読んでみてほしいです。

サイファー

当時の子どもたちは耐えられたのか…!?

サイファー
みど丸
みど丸

自分はリアルタイムの世代ではないのですが、人から「恐ろしい漫画がある」と言われて読みました。何が恐ろしいかと言うと本作はコロコロコミックで連載されていたということ! 超能力者サイファーとして目覚めた少年イッキが立ち向かうのは人間の脅威であるモンスター、ガイ魔。 このガイ魔が毎回かなり怖い。身近な人物に擬態したり無関係の人間を操ったりと、メンタルをゴリゴリに削る戦法を取ってきます。イッキのガイ魔との初戦は壮絶以外の何物でもない…。 怖いだけでなくグロさもバッチリ兼ね備えています。人間が真っ二つになったり首が飛んだりドロっと溶けたり…残酷描写はかなり気合が入っていて、当時のコロコロこれがOKだったのかという驚きがありました。 ちょっとネタバレになってしまいますがクライマックスもガイ魔のボスを倒してめでたしめでたし…とはいかないのが恐ろしい。最終ページがこれほどビターなコロコロのマンガ、自分は他に知りません。 あらゆる面から幼少期に読んでいたら自分はトラウマ間違いなしでした。大人になった今読んでも怖い。 マンガ図書館Zなどで全話公開されていますので、未読の方はぜひ震えてほしいです。 https://www.mangaz.com/book/detail/44531

アレクサンドロス

「人間」アレクサンドロスの物語

アレクサンドロス
みど丸
みど丸

本作を読んだのは高校3年生だったか大学に入りたての頃だったか…。受験で世界史を選択したのですが、古代史の勉強範囲で最もワクワクさせてくれたのがアレクサンドロス3世の記述でした。 安彦良和先生の表紙とマンガっぽくないハードカバーの装丁に心躍ったのをよく覚えています。 まず見どころはアクションシーン。大軍勢が見開きで激突し、長槍と軍馬がひしめき合う合戦のようすはスペクタクルに満ちています。 迫力の戦争シーンと並行し、作中ではアレクサンドロスがどんな人物だったのか、帝国の後継者のひとり老リュシマコスの回想の形で語られます。 作中、アレクサンドロスは決して一面的な英雄として描かれることはありません。 ダレイオス3世との因縁を制し、世界を征服した男。果てない破壊の旅路に乗り出した暴虐の王。病に倒れ、大勢の兵に見守られながら逝った最期の姿…。 悩み、過ち、殺し、壊し、そして愛し、愛されながら、自身の夢を追い続けたのが「人間」アレクサンドロスなのです。 クライマックスのリュシマコスのことばは圧巻です。 アレクサンドロスが存在した結果として、数多の人間が歴史の闇に消えていったこと、自らもそのひとりであることをリュシマコスは伝え、残そうとします。 アレクサンドロスのせいで多くの人間が犠牲になった、それでも彼が為したことの巨大さ、彼に関われたことの誇らしさを伝えたいという気持ちが迸るシーンです。 歴史上のできごとは、当たり前の話ですが誰かが語り継がなければ消えていってしまいます。 今日に至るまでアレクサンドロスがいかに多くの人を惹き付けてきたのか、リュシマコスの最期のことばを噛み締めながら、改めて思いを馳せました。

しんそうばんさいぼーぐくろちゃん
新装版 サイボーグクロちゃん 1巻
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新装版 ウッディケーン

新装版 ウッディケーン

落ちてきた巨木の影響で、頭や手足がまるで樹木が伸びるかのように変幻自在に動き木目調の体になってしまった“大森ケン太”。そんなケン太の体に入った謎の物体を狙う「ハゲタカ組」らから、自分を、そして慕ってくれる子どもたちを守るため、ヒーローとなってケン太は戦う!『サイボーグクロちゃん』の横内なおきによる『コミックボンボン』の連載作が上・下巻の新装版で再登場!! 上巻は「ボンボンKC版」1巻1話から2巻3話までに加え、描き下ろしおまけ漫画「ウッディケーンVS.サイボーグクロちゃん(前編)」を収録。  体が樹木が伸びるかのように動き木目調になってしまった大森ケン太。そんなケン太の体に入った謎の物体を狙う組織から、自分や子どもらを守るためヒーローとなってケン太は戦う!『サイボーグクロちゃん』の横内なおきによる『コミックボンボン』の連載作が上・下巻の新装版で再登場! 上巻は「ボンボンKC版」1巻1話から2巻3話までに加え、描き下ろしおまけ漫画「ウッディケーンVS.サイボーグクロちゃん(前編)」を収録。

宇宙のガズゥ

宇宙のガズゥ

『サイボーグクロちゃん』の横内なおきが新たに描くのは、傷だらけのヘルメットで優しい心を隠した強面の主人公ガズゥ。家族、仕事、そして友達……大切なものを守るため、ガズゥは宇宙を駆ける! 大反響を呼んだWebコミックが、一挙49ページの描き下ろしを加えて、待望の単行本になりました!!

サイボーグクロちゃん

サイボーグクロちゃん

世界征服をたくらむ科学者“ドクター剛”により、不死身のサイボーグボディに改造された史上最強猫“クロ”。そんなクロちゃんを中心に、剛くん、ミーちゃんといった個性的なキャラクターたちによるドタバタバトルが、みんなの前で始まるぞ! アニメ化もされ、「コミックボンボン」市場で人気を誇った「サイボーグクロちゃん」が電子書籍として遂に登場!

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