ダーウィン事変

ヒューマンとチンパンジーのあいの子、ヒューマンジーチャーリー

ダーウィン事変 うめざわしゅん
さいろく
さいろく

こりゃー事変だ。 3巻まで一気に読了。 すごい漫画だ、そしてすごくアメリカだなぁとつくづく感じる。 かといってこの題材で日本だと現実味はないとわかっててアメリカなんだろう、想像してみりゃわかる自然さと、リアルすぎる文化が入り交ざっている。 どうなっていくんだろう、どうするんだろうという期待も含め、これまで自分の読んできた短い名作たちと同じ短めな物語になってしまうのを想像してしまう。 ただ、自分の感覚ではこの時点ですでに名作だ。 自由の国では何を主張してもいい、みたいな風潮はあるけど主張したことで起こるその後の事については誰も守ってなんかくれない。 例えば(この漫画でも序盤に話題に出てくるが)私はヴィーガンはある種の宗教のようなところがあると思うけど、多数の人が集まるとそうなってしまうもんなんだろう。 ヒューマンジーであるチャーリーは唯一無二だが、この世界において生を受けたという意味ではただの一人でしかない。ONEであることはひどく難しい、というのがよくわかる。 なんか色々言いたくなる漫画でもあるなー、とにかくすごい漫画。 単行本派なので次号で終わってしまいそうな心配も少しあれど、それはそれで仕方ないとも思う。 うめざわしゅん先生の知識や想像力がいかんなく発揮されているので、この後の目を瞠る展開を楽しみに待ちたい。

あかねさす柘榴の都

スペインはグラナダ、世界遺産の街での新生活 #1巻応援

あかねさす柘榴の都 福浪優子
兎来栄寿
兎来栄寿

「天狗の赤い髪」、「ノウゼンカズラの夏」の福浪優子さんの初連載・初単行本が発売されました。 舞台は、スペイン、アンダルシア地方のグラナダ。『茄子 アンダルシアの夏』でご存知の方も多いかもしれませんね。 グラナダはスペインの南端にあり、街全体が世界遺産となっている場所。作中ではアンダルシアが大好きでバルセロナから夏になる度に来る、という人物も登場します。しかし、東端にあるバルセロナからは電車で11時間ほど掛かる場所。日本だと青森から山口まで電車で行くような感覚でしょうか。 グラナダは歴史があり自然も多く美しい街で「いつか移住したい」と語る夫婦には、かつて世界遺産に月1以上で通ってそこの自然と街並みを愛しすぎて移住した身として深く共感しました。 そんな余談はさておき、本作は両親を亡くした14歳の少年が叔母の住むグラナダに移住して新生活を始めるという筋書きです。 美人でスタイルも良くてぶっきらぼうで「強い女」感がビンビンの叔母さんですが、主人公に対しては確かな優しさを感じさせてくれます。 見知らぬ土地で少しずつ色々な人たちと関係性を築いていく様子や、慣れないスペイン料理を苦労しながら作って食べる日常風景は見ていて癒されます。ガスパチョやシナモンレモンプリンはとても美味しそう!福浪優子さんの絵柄がまたテーマにピッタリとハマっています。 現代のスペインをメインの舞台にしたマンガというのはあまり多くないのでそれだけでも面白く、このアンダルシアの風を感じる作品をもっともっと読みたい! という欲求に駆られます。いつか実際に行ってみたいですね。

しあわせ鳥見んぐ

バードウォッチングと距離感 #1巻応援

しあわせ鳥見んぐ わらびもちきなこ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

『秋山さんのとりライフ』というマンガを読んでから、鳥撮影が私の趣味に加わりました。↓ここで書いたレンズが大活躍です。 https://manba.co.jp/topics/25011 昨年の秋から今年の春までの間、デカいカメラ片手に近所の公園などををふらついていたのですが、気をつけて見てみると意外と沢山の種類の鳥に出会えます。 『しあわせ鳥見んぐ』は東北地方で見られる様々な鳥が紹介されていますが、関東の私が最近見て覚えた種類も複数登場して、「そうそう、そこカワイイよね〜」と同意しながら楽しめました。 個性に悩む美大生女子は、鳥に詳しい女子大生とその親友、鳥撮影する写真科の女子と共に、鳥見=バードウォッチングに出かける。身近にこんなに鳥がいるんだ!という驚き、愛らしさに心奪われる様子、世界が広がる様子にワクワクする。 そして一番心に残るのは、鳥との距離感の話。私もフィールドで、鳥を脅かさずに様子を見せてもらうのに苦心して結局全然上手くいかなかったのを思い出しました。 鳥を見る時、実は鳥に見られている。 鳥にも隣の人にも、共に在るために配慮する優しい鳥見マンガに、これからも教えを乞いたいと思います。

犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい

犬飼いである私に猫も飼いたいと思わせるチカラがある

犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい 松本ひで吉
さいろく
さいろく

よく「チワワはうるさいよね」「トイプーは懐っこいよね」みたいに種類で偏見的な意見をお持ちの方がいらっしゃいますが(当てはまることが多いのは事実だけど!) 犬も猫も個性があり、表現があり、一つの個体・生命体として千差万別なのです。 一般的にチワワはよく吠えるし大人しくはないと(病院とかで大暴れしたり噛んだりする子はよく見る)いう印象ですが、うちのチワワは驚くほど大人しくて吠えないし家族以外が大の苦手の引っ込み思案です。 世の中のすべての犬猫も個性に溢れていて、家族として迎えることはそうかんたんなことではないのですが、松本ひで吉先生は「迎えることが出来たらこんなに幸せなんだよ」というのを本作で存分に教えてくれてます。 犬も猫も誇張表現があるであろうけれども、本当にこういう子なんだろうなーというのも想像しやすくて萌え死ぬ。 先生の描く猫のツンデレぶりやドジを誤魔化す様がたまらんです。 犬は無償の愛をくれるよねーそうだよねーうんうん、ってうなずきまくり。 本当にタイトルの通りでそれ以外の何者でもないんだけど、それが素晴らしい。 そんな作品です。

ぱんだぱんち 福々

珍本?パンダ専門の漫画誌という試み

ぱんだぱんち 福々 山野りんりん 藤凪かおる 前田とも 岡井ハルコ ほしのなつみ 中森ゴセン 角光 ぱんだぱんち編集部 ゆきなきなこ しゅりんぷ小林 みかみふみ へげ鴨子 つるんづマリー 高橋まい がっち 三山ナミ キビクラチサト 南幅俊輔
チャンピオンスキー

「ねこぱんち」ならぬ「ぱんだ」オンリーの描き下ろし漫画を集めた、少年画報社のコンビニコミック。パンダ専門の漫画本というのは初の試みだそうで、シリーズの続き期待していたが、結局この一冊だけになってしまったな…。 この本は角光先生の「パンダのこ」繋がりで知ったのだけど、掲載作「おやこdeパンダ」は「パンダのこ」とは別作品。しかし、よく見ると知ってるキャラがいるような…?探してみると面白いかも。 しかしこれだけパンダ漫画家が集まってると、角光先生のパンダ愛がいかに飛び抜けてるかよくわかる。無双といっても良いくらいである。ねこぱんちの作家さんもチラホラと見かけるけど、猫と熊猫はやはり親和性高いように思う。 ただ、「日本パンダ奇譚」(つるんづマリー)だけは、他の作品と違い独特の異彩を放っていた。これは可愛いというよりも話が摩訶不思議すぎて面白い作品だった。岡井ハルコの作品も設定こそ奇抜だが、やはり漫画が上手いというか実力者なんだなというのがわかる。 可愛いだけでなく風変わりで面白い漫画も多く収録されてるので、パンダ好きの人に限らず読んでみてはいかがだろうか。 (参加漫画家) 角光 高橋まい しゅりんぷ小林 岡井ハルコ ほしのなつみ みかみふみ 前田とも 中森ゴゼン キビクラチサト 山野りんりん 三山ナミ へげ鴨子 南幅俊介・がっち ゆきなきなこ つるんづマリー 藤凪かおる