校舎のうらには天使が埋められている

こわくてサスペンスでちょっとだけ百合

校舎のうらには天使が埋められている 小山鹿梨子
mampuku
mampuku

 第1話から恐ろしいいじめの嵐が吹き荒れ、読み進めるほど(しかもかなりのハイペースで)絶望が深まっていく。この物語に希望はないのかと思われた矢先、2巻でついに真の主人公が現れる。これまでの悪意がどろりと渦巻くホラーから、光本菜々芽という聡明で高潔な少女がクラスの悪意を束ねる"白い悪魔"蜂矢あいと対峙する構図へと変貌をとげるのだ。 (これを読み返して気づいたのですが「校舎の天では悪魔が嗤っている」の作者・蜂矢あいというのは「校舎うら」の彼女の名だったんですね)  ときに大人すら欺き利用し、勇気ある告発者をさらなる悪意で踏みつぶす。いや~~蜂矢あい、悪役として完成度高すぎて小学生とは思えない!wいっそ格好いいとすら思えてしまう。相対する光本菜々芽もイケメンすぎる!そんじょそこらのヒーローよりかっこいい…  間違いなく思うのは、「この先どうなってしまうんや!??」と頁をめくるスピードを速めるにはキャラクターを好きになるのが一番いいということ。とりわけこの「校舎うら」は、冷静に俯瞰しながら作品の粗削りなぶぶんを見とがめつつ読むよりも、思いっきり感情移入して没入しながら読んだほうが絶対に面白い。

蠱毒の家【合本版】

ホラー?サスペンス?予想外の方向に進む"奇妙な同居生活" #1巻応援

蠱毒の家【合本版】 iwo
sogor25
sogor25

電子書籍の新刊をチェックしていた時に見つけて、表紙に惹かれて購入。出版社も「コミディア」という聞いたことないけどちょっと引っかかる名前だったので調べてみると、「モッシュ!」という昨年できたレーベルの作品らしい。 https://mosh-comic.com/ なのであまり期待せずに読み始めたんだけど、これがとんでもなく面白い。 昆虫標本の収集が趣味の青年・蝶野が火事でその標本を自宅もろとも失ってしまい途方に暮れていると、そこに手を差し伸べてきた一人の男、昆虫学者の草薙出雲。草薙の厚意で彼が一人娘の當子と住まう洋館に宿泊させてもらえることになった蝶野だが、そこで蝶野は當子のある"秘密"を知ってしまう。 そこまでの展開はホラーっぽいんだけど、娘の秘密を知られた草薙は、加藤に危害を加えようとはせず、"共に暮らす"ことを提案する。こうして"秘密"を共有した3人の"奇妙な同居生活"が始まる。 まず、當子の正体の"秘密"が斬新で面白くて、ともすればこの設定だけで短編のホラーにできるんじゃないかと思う。さらにそこから、草薙のことをしつこく嗅ぎまわる警察官、草薙の助手をしていたが行方不明になった姉を探す少女と、サスペンスじみた人間関係が徐々に見えてきて、當子の"秘密"自体は1巻途中で明かされているのにどんどん謎が深まっていく感覚を覚える。加えて蝶野を始末せずに"共に暮らす"ことを選んだ草薙の真意という謎。おそらくそれらが全て複雑に絡んで結末の1点に収束するであろうと思うと、早く続きが読みたくて仕方ない。 1巻まで読了

魔術師A

女の子ってかわいいんだよ

魔術師A 意志強ナツ子
野愛
野愛

わかってほしいなんて思ってないし、お前らとは違うし これくらいわかるでしょ、いやみんなわかってない、あなただけはわかってくれる。 通り過ぎてしまうと、みんな同じだよねって思ってしまう。通り道なんだよねって。 それでもこういうものを捨てきれず、忘れきれずにいるから、触れてしまう。 描かれる女の子はみんなかわいい。単純で痛くて尖っていて、めちゃくちゃかわいい。 女の子が憧れたり焦がれたりするひと達はみんな愚かで薄っぺらくて、こんなの全然つまんないよって傍観者であるわたしは思ってしまう。それでも女の子にとっては世界のすべてで、通り過ぎたあとに世界の入り口だったと気づくのだろう。 世界の入り口に入れなかったひともいるんだから、入れただけでも「すごい」し「やばい」んだよね。 やばいことは気持ちいいし、やばいやつって思われるのも気持ちいい。 最高に痛くてやばいことをして発狂したくなる夜がある方が、気持ちいいよ。 あいつなんて大したことなかったっていつか思うけど、今はそんなのどうだっていいんだよ。 自分だけが尊いんだから何やったっていいんだよ、全世界の少女達に読んでほしい。