怪奇・ミステリーマンガの感想・レビュー3336件<<7879808182>>汗のサイズ、、感染者 OBU名無し作品の感想ではなく作者のタッチの話になるが汗の表現のサイズ感がおかしい、あまりにデカすぎてそれが水滴とは気付かず出来物腫物の類と思っててそれについての説明が無くこれは何なのだろうかとずっと疑問だった。 普通に人体は掛けてるのに汗だけ何故このような認識で描いてるのか謎である。グルメな人にもオススメの漫画美食探偵 明智五郎 東村アキコクロキ東村アキコ共生の描くグルメな探偵を主人公にしたマンガ。 主人公は明智吾郎という美食家な探偵。グルメの知識を生かして、食べ物から犯人を探し当て、真実を突き止める。ストーリーのテンポが良く、キャラクターが生き生きとしているため、ドンドン読める。グルメな人にもオススメのマンガだ。 なんなんだその廊下に、何かいる【合本版】 弓咲ミサキックス名無し※ネタバレを含むクチコミです。劇薬的漫画秘密 カイトモアキ名無し語るに語り難い。男性生理のインモラルな部分が露悪(?)ともいえるかたちで描かれているようでもあるし、内省的な癖を追求した結果にそういったものにぶつかった作品にも思える。個人的には「気つけ薬」の強烈な「匂い」に驚きながらも作品世界に意識を持ってかれた。劇薬。 続きが気になる第一話チェンソーマン 藤本タツキstarstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)個人的には、『呪術廻戦』以来の期待できるジャンプの新連載。 親の借金を肩代わりさせられた主人公が、仲良くなったチェンソーの悪魔と借金返済のためヤクザの雇われデビルハンターとしてどうにか頑張るが、ある悪魔に追い詰められてしまい・・。 『ファイアパンチ』の作者だけあってやはり雰囲気がとても渋めだが、ジャンプっぽくポップ目に仕上がっている。 画面の暗さかな?暴力描写なども映画的というか、ノワールっぽくていい。 『ファイアパンチ』然り、タイトルがすごくシンプルかつどこかレトロさを感じさせるようなダサいようなかっこいいような感じで良い。 第一話ラストでは、まさにタイトル通りの状態に。 チェンソーの悪魔なんて聞いたことないし、オリジナリティすごいなと思ったけど、なるほど、先にこっちの変身ビジュアルあってのそれかーとも思える。ダサカッコイイ。 貧乏と悲しみと業を背負った少年が主人公というのはやはり良い。 状況的には『NARUTO』と似ているのかもしれない。 そう考えるとここから骨太なストーリーが展開されることが予想されるのでとても楽しみだ。 なにより、彼は第一話でさっそく居場所を与えられた?というスピード展開。 これから少しずつそこに「居る」ことを許されていくのだろう、と思うとワクワクする。 どちらでもない何か、どこにも属せない、人間ではない何かに変質してしまう哀しみ、というのはドラマがあっていい。 『寄生獣』もそうだ。 ということは、まさにバディものでもあるんだろう。 淡々と冷めてるようでいて実は芯が熱い、貧乏だが夢を持った主人公というのが一話だけでも読み取れるので、とても親切だ。 「人間が食べられる(殺される)脅威がある世界観」という作品はかなり魅力的な作品が多いが、この作品はそれが悪魔だ。 しかも、悪魔のデザインの自由度が限りなく高いので嬉しい。 全体の雰囲気的にはジャンプSQの方が合ってそうな気もするけど、作者の前作の評価や軸の強さを考えると編集部も長く続けさせてくれてりするんじゃないかなーと。まさにタイトル通りの内容キッテデカ 寺沢大介 高橋遠州starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男筋金入りの切手マニアの刑事が切手ネタを元に犯人を追い詰めていく漫画で、雰囲気は「喰いタン」に近い感じ。1話完結で疲れている時や寝る前とか読むと気分なりそうな感じ面白さでよかった。 個人的には原案の高橋遠州というのはテツぼんでの「鉄道」にも詳しいし今回の切手にも詳しいので何者なのか余計気になった。 これで完結なのか...至福の暴対レシピ 西条真二starstarstarstar_borderstar_borderマンガトリツカレ男西条真二の「料理バイオレンスマンガ」というので期待して買ったが、ちょっと予想と違った。個人的には料理を使ったバイオレンスであって欲しかったが、普通のバイオレンスが多めだったのが残念。途中で物語中の経過年数が飛んだりしてどうなってたんだっけと思ってたら完結してた。 西条真二の描く料理はいつもと同じようにうまそうだった。 誰の何の為のケジメの殺人なのか?いじめのケジメ 池上ナオ名無しクラスメイトから悪質ないじめを受けていた男子生徒がいた。卒業後に自分がどんな酷い目に遭わされてきたかを克明に書いた日記帳をいじめに気づいてくれなかった担任に送りつけて行方不明になる。それから数年後、出席番号の後ろから順番にクラスメイト達が男子生徒をいじめた方法を倍返しする形で殺され始める。事件が起きたことへの責任を感じた担任は教職を辞めて独自に犯人を追い始めた。今のところ2巻までしか出ていないので謎が多い。殺されていくクラスメイトの中には順番になっても殺されなかった女性がいる、彼女自身も行方不明になり次の犯行現場で目撃された、担任しか持っていないはずの日記のコピーを手に入れた記者がいる、犯人として報道された男子生徒の両親が自宅に火をつけて自殺した…など、読めば読むほど誰の何の為のケジメの殺人なのか分からなくなる。驚くような展開がこれから続きそう。黒いとつくにの少女 ながべ名無し人外と少女の何気ない日常漫画だと思っていたけど、立派なダークファンタジーだったんですね。見た目も内容もダーク&ダーク。黒の子たちが集まってる絵は黒すぎて何がなんだか分からない。 とりあえず3巻まで読みましたが、毎巻気になるところで終わってるので4巻以降、一体どうなるんだ…という気持ち。かなり良作だと思ったヒメアノ~ル 古谷実かしこ古谷実…まだ全部読んだ訳じゃないけど「わにとかげぎず」「ヒミズ」より「ヒメノア〜ル」好きだったかも。生れながらのサイコパス・森田の狂気と苦悩のダークな面と、恋のテロリスト(笑)・安藤さんの言動のギャグ面が同時進行するけど、両方とも面白かった。自分みたいにリアルタイムで古谷実を読んでない人にまず何読んだらいいかを聞かれたら「ヒメノア〜ル」を推そうかな。「ヒミズ」の衝撃的なバッドエンドとかに比べたら静かなラストだけどあれが逆によかった。次は「ゲレクシス」読んでみよう。 復讐のため地獄の地下監獄へ入った男アンダープリズン 宮尾行巳名無し※ネタバレを含むクチコミです。本屋大賞受賞作のコミカライズかがみの孤城 武富智 辻村深月名無し※ネタバレを含むクチコミです。七色に変化する役者の裏の顔七色いんこ 手塚治虫さいろく最近の「アクタージュ」や「累」「マチネとソワレ」のような役者(舞台・演劇)系マンガのブームを鑑みて改めて評価されるべき作品。 よくブラックジャックと比較している人がいた気がするのだけど、チャンピオンでの連載枠としてブラックジャックの次がこの「七色いんこ」だったらしい。 人情物語は手塚治虫ならではなので当然のようにあるのだけど、役者としての顔と裏側で見せる怪盗七色いんこはとても魅力的なキャラで、人としての弱さというか深い情が見え隠れする。 ヒロインの背景も面白く、登場人物たちも今読んでも適当なようでしっかり作られていくので読んでいて思い入れが出来てくる。これらの伏線がグチャグチャ絡んでいくのに最後にギューッと回収していくところは一つの劇を見終えたような気持ちになれただろう。 最終話はほんとに評価が高いのだけど、当然そこまでの流れがあってこそなので最後だけ読んだりしないで順を追って全部読んで欲しい。 最後まで読むといい話漂流ネットカフェ 押見修造かしこ妻が妊娠中の主人公・土岐耕一には忘れられない初恋の人がいる。夫婦喧嘩をした次の日に何気なくネットカフェに立ち寄ったところ長年想い続けていた土岐ゆきえと再会する。嬉しさのあまり「あー神様どうか…このまま…ずっと夜が明けなければ…」なんて考えがよぎった瞬間、館内の電子機器に異変が起こり、突然の土砂降りで入口が浸水してしまう、仕方なくそのまま宿泊することにしたが、朝になって外に出てみるとネットカフェの建物以外に何もない砂漠地帯になっていた。突然サバイバルをさせられることになった客の中には、極限状態で発狂する者、暴力で支配しようとする者、異変があったネットカフェはパワースポットとして有名だったと証言するオカルトマニア達が現れる…。 絵的にはそんなに怖くないのですが暴力で心理的に追い詰められるのでしんどいです。けれども途中からは意外な人物が活躍していくので応援しながら読むのが楽しくなってきます。めげずに最後まで読むのがおすすめです。でもしばらくはネットカフェに行きたくなくなるかもしれません(笑)自分の力不足で理解できないまま読み終えてしまった大日本天狗党絵詞 黒田硫黄名無し大日本天狗党絵詞を読まないと黒田硫黄を好きと言ってはいけない気がしていたものの機会がないままでその評判ばかり聞いていたのですが、ようやく手に入れて読んでみると結構自分には難しくてどういう話なのかイマイチ分からないまま終わってしまった。最終的に絵を眺めていたと言っても過言ではない…。今あらすじを読んだら「天狗にさらわれた子はそれからどうなっちゃったのか?」と書いていてやっとピンときた。そういう話だったのか。これから読む人はここに焦点をあてて読むといいかも。自分ももう一回読み直してみます。サスペンスに満ちた短編集サスピション 手塚治虫一日一手塚表題の『サスピション』シリーズ3作を中心にサスペンス色たっぷりの短編集です。3作はどれも20p前後と短いながらも人の心の行き違いが生む皮肉な結末がスリリングに描かれるのが特徴です。 ロボットを使った完全犯罪を目論む「ハエたたき」、山奥に住む男と金貸しとの命の駆け引きを描いた「峠の二人」など、人の猜疑心や臆病な心が思わぬ結末に向かっていくのが読んでいてハラハラします。 なかでも自分の一番のお気に入りはカバーイラストにも採用されている第3話「P4の死角」でした。 P4レベルという最高度セキュリティの研究所で行われる遺伝子実験中、作業員が誤って実験用のDNAを体に注入してしまうところが物語の始まり。隔離措置を取られ、防護服を着た研究員に囲まれるようすは臨場感があります。 このリアルな描写が後半効いてくるのでじっくり味わってほしいですね。 彼の体は一体どうなってしまったのか…というところが物語のキモなのですが、コンパクトに纏まっているのでなにか説明すると面白さが半減してしまうもどかしさが…。 とにかく読んでみてほしいです。手塚治虫の物語の構成力、人の心情の描写力が高密度で味わえます。 日本昔話=「異常犯罪」!?てっぺんぐらりん~日本昔ばなし犯罪捜査~ キリエnyae※ネタバレを含むクチコミです。ヤマシタトモコの新境地さんかく窓の外側は夜 ヤマシタトモコさいろく陽気なようでシリアスなノリが面白い、ガチ除霊モノ×BLな傑作。 これは面白い。あとやっぱり和ホラー(呪いなどの理不尽さが特に)が苦手なのだけど思いっきりソレなのでしっかり怖い。 でもこのコンビは魅力的ですね。山姥とコンピュータ対決闇の鶯 諸星大二郎hysysk幻想的な短編集。表題にもなっている『闇の鶯』は作者が「パソコンに疎かったからあまりうまくいかなかった」的な反省を述べているけど、面白かった。まず妖怪みたいな存在が現代的な技術を身に付けているのが珍しい。民話などで妖怪とされているのは実は人間で、生活習慣やコミュニティが異なる他者をそう呼んでいただけではないか?という説を思い出す。 神話や宗教、呪術に支配されていた時代があったように、現代は科学技術に支配されている。仕組みを理解していないものにとって、技術も一種の呪術のようなものだし、人間が使っているようで、実は技術に使われているケースも往々にしてある。 一度全てをフラットに並べてみて、何が自分にとってこの世界に生きている実感をもたらしてくれるのかは考えてみても良いだろう。科学的な事実であれ、論理的な正しさであれ、それらと幸福は直結しないのだから。 『涸れ川』も面白かった。説教めいた要素もなく、ただただ迷い込んだ異世界のルールを読み解く感じが良い。 鬼頭莫宏原作、世界の法則を「改変」する新連載ヨリシロトランク 鬼頭莫宏 カエデミノル名無し娘をストーカーに殺された男の前に突如(あまりにも突如)現れた“改変者”と名乗る少女の手によって、「殺人者を殺せば、被害者が生き返る」世界に改変された第1話。 そして男は娘を殺した犯人を追うことになるのですが…サスペンスなのかどうなのか。 https://comic-days.com/blog/entry/yorisirotrunk この対談のなかで “ある話の後から、この作品の狙いがなんとなくわかってくると思います。” という鬼頭先生のコメント…気になりすぎる。荒木飛呂彦 格闘の歴史①魔少年ビーティー 荒木飛呂彦TKD@マンガの虫『ジョジョ』の荒木先生の初連載作品 作品の雰囲気はロマン・サイコホラーと言った感じです。 正義漢でもなければ悪役でもない ダークヒーロー的な造形の主人公のビーティは当時のジャンプでは相当新しかった のではないでしょうか? 荒木先生が同じ歳で『キン肉マン』を描いたゆでたまご先生に負けないために自分の個性を探っている時の作品で、当時ではあまりなかった『バビル2世』風の知力を使っての戦いと高橋葉介先生風のロマン・サイコホラー に影響を受けて作った大クセ漫画です! 『ジョジョ』に至るまでの荒木先生の格闘が窺える荒木ファン必見の作品でだと思います! この格闘は次回作の『バオー来訪者』に引き継がれていきます!ギャルと事故物件常世幽世 GHOST EATER 伊藤静名無し続編と知らずここから読んでしまったので、最初の方はなんか説明不足だなぁと思いながら読んでしまった。あと主人公の鈴にあんまりギャル感がないのも期待と違った。 けど最後の鈴の姉の祀が出てきた話はかなり面白かった。滅びた山奥の山村を支配するミイラっぽい神さま…リアルに居そうな土着の神さま感がすごく良い。 途中、福助でおなじみの溶けた肌の表現があって、福助ファンとしては「おおっ」と嬉しくなった。前作のとこよかくりよの方も読んでみたい。 攻撃のない野球 ~その涙のゆくえ~甲子園の空に笑え! 川原泉影絵が趣味2018年の夏の甲子園といえば、金農旋風が世を席巻しましたが、農業高校が9人の固定メンバーで県予選から甲子園の決勝まで勝ち進んだことが、川原泉の『甲子園の空に笑え!』とまったく同じだと密かに話題になっていました。偶然って、本当におそろしいですね。まさか、川原泉も自分の描いた嘘でたらめのようなマンガの物語が現実に起ころうとは夢にも思わなかったことでしょう。決勝戦で春も制した優勝候補の大本命に負けてしまうところまで同じですからね。 さて、この季節になると、もともとが涙もろい性格なのに、それにさらに拍車がかかります。今年は春夏ともに甲子園はありませんでしたけど、それでも、地方大会や交流試合の中継をみて涙をこぼしてしまう。それだけでは済まなくて、ネットのニュース記事を読んだだけで泣けてきてしまうから困ったものです。それで、まあ、『甲子園の空に笑え!』を読んだら、これまたボロボロに泣いてしまい、今に至るというわけです。こんなに泣けてしまって、自分ってもしかして何かの病気なのかなって思い立ち、色々と調べはじめるぐらいですからね。悲しくて泣いたことっていうのは、たぶん人生で一度もなくて、何かを美しいと思ったときとか、人の懸命な頑張りの軌跡みたいなものを感じとったときにとにかく弱い。つまり、受け身で泣くということはなくて、自分がそこに何かを見出したときに涙が出るみたいなんです。じゃあ、そこに何を見出したのかといって、球児たちの美しさを見出しましたなんていまさら言えるはずもなく、仕方がないので人が泣くことについて調べてみる。 ふむふむ、近年の心理学的見地では「無力感の認知」と泣くことの関連性が言われているらしい。例えば、人が予期せぬ朗報を受け取った時に泣くのは、表向きには、起こっている事態に対して無力である、影響を与えることができないと感じるためである、と。 閑話休題。 野球というスポーツの特異点は、まず何と言っても攻撃と守備の時間が明確に分かれている点にあると思います。攻撃と守備がまったく無関係に独立している、とまでは言いませんが、ルールの上では無関係に徹している。表と裏と言いますけども、表裏一体なんて言葉もありますけども、野球にかぎっては表裏がたがいに独立している。もっといえば、表と裏をひとつの単位にした回というものも、1回から9回までそれぞれに独立しています。三者凡退の回もあれば、ビッグイニングの回もある。さらにもっといえば、各バッターの打席ごとに独立していますし、ピッチャーの投げる一球ごとに独立しています。こうしたひとつびとつのプレイには全て判定があり、名前が付けられています。ストライク/ボール、アウト/セーフ、三振/四球/死球、犠打/単打/長打/本塁打、盗塁/盗塁刺、刺殺/併殺/失策/捕逸、挙げていけばきりがないですね。もちろん記録に残らないプレイというのもあるにはあるんですけども、基本的には全てのプレイに名前があり、記録として残されます。こうしたプレイのひとつびとつが一回一回を進め、野球という時間をつくっていきます。ここらへんがサッカーやバスケといったスポーツと大きく異なる点で、野球は時間のなかで行われるのではなく、ひとつびとつのプレイが野球という時間をつくってゆく。プロ野球のナイターでは、18時に始まって、24時過ぎに終わった試合まであるそうですからね、なんと6時間! ちなみに最短は55分だそうです、短! ちょっと話が逸れましたが、野球というスポーツは、ひとつびとつのプレイ、ひとつびとつに名前があって、それぞれに独立しているプレイのひとつびとつが時間をつくってゆく、尚且つ、それらは記録として残される。良い記録も、悪い記録も、勝敗を分ける点数に結びつく記録も、結びつかない記録も、それぞれに独立していて、それら全てに名前があり、記録として残されるのです。 これは野球にかぎった話ではありませんが、よく失敗を挽回するなんてことが言われます。でも、どんなに次の機会に頑張ったとしても、失敗は失敗としてそこにあるわけで、あったことを無かったことにはできません。失敗は失敗としてあり、挽回は挽回としてあり、それらは表裏一体のような体をなしておらず、あくまでも、それぞれに無関係に独立していると思います。こういった考えは残酷と思われるかもしれませんが、あったことを無かったことにできるというのなら、その逆もまた然りというわけで、成功もまた失敗によって無かったことになってしまう。そんなことが許されますか、めっちゃ頑張っていい球を投げられるようになったのに、たった一球の失投をホームランにされて、それまでの好投は無かったことになる、そんなことが許されてたまるもんですか。でも、試合は試合ですし、相手だってこの一球を逃さないための練習を重ねてきていたからのホームランです。 コロナで春のセンバツが中止になったとき、頻りに救済案ということが言われました。結果として春夏ともに甲子園大会は中止になりましたけど、仮になにか救済案があったとして、それでもセンバツを戦えなかった選手たちの無念は残ると思うんです。救済は救済としてあるかもしれない、でも、それは選手たちの無念とは無関係にすれ違ったままだと思うんです。数学ではマイナス1にプラス1をすれば0になりますけど、人の心はそんなふうにはできていなくて、マイナス1も、プラス1も、ともにそこに変わらずにあり続けると思うんです。 ある意味でこのことは、いっぽうからしてみれば、もういっぽうに影響を及ぼすことができない「無力感の認知」ということにもなり得ます。とくに攻撃と守備が相互に独立している野球というスポーツにおいて、この「無力感の認知」はよりいっそう顕在化されると思います。夏の甲子園の球史に深く刻まれた一試合に「日本文理の夏はまだ終わらない」でよく知られる、中京大中京vs日本文理の決勝戦があります。10-4と大差をつけられた日本文理が9回裏二死から怒涛の追い上げで1点差まで詰め寄ったところで、最後の快音が三塁手のグローブに吸い込まれて終わるのですが、負けた日本文理は負けたのに晴れやかな顔をしていて、勝った中京が悲愴な顔をしている。しかも、優勝インタビューを受けた四番でピッチャーの堂林が帽子で顔を隠して泣いているんです、ほんとうに情けなくて悔しいです、と。このことを書きながら自分もまた泣いてしまっているんですけど、この試合で堂林はホームランを含めた三安打で得点のほとんどに絡んでいるのにもかかわらず、9回裏の情けない自分を悔いて泣いているんです。しかも、10点をとられて負けた日本文理のピッチャーの伊藤、9回裏二死が続いて、なんということか偶然にも彼の打席で満塁となり、三遊間を破るヒットで走者を二人還して二点差まで詰め寄ります。このとき、二塁まで到達した伊藤のガッツポーズもまた忘れられない、さらに次の代打のヒットで伊藤はホームベースを踏んでついに一点差まで! また、このことを書きながらボロボロに泣いてしまっているんですけど。 そして、広岡監督の率いる豆の木高校は守備のチームです。というのも、赴任してきた広岡先生はドライでクールな生物の教師として、何故かやりたくもない野球部の監督を押し付けられ、そもそも汗と涙の高校野球なんてキモチワルイとすら思っている。それで、まあ、ストレス発散にノックで生徒たちをいびっていたら、いつのまにかチームの守備力が向上していたという能天気ぶりなんですけど、そんなドライでクールな広岡先生が不純な動機とは無関係にいつのまにか高校野球にのめりこんでいくんですよ。 守備だけをひたすら鍛えたチームですから、点なんかとれやしない。広岡監督は選手たちに言います「うちのとりえは守備だけなんだから、たとえこっちが0点でも、相手に一点もやらなけりゃ、少なくとも負けることはないのさ」そして、自分自身にも心の中で言うのです「そーだ、守るんだ、それしか生きる道はない」。となれば、攻撃はもはや神頼みしかない、祈ることしかできないわけです。まさに自分たちの守備に誇りを抱いて、人事を尽くして天命を待つですよ。 ところで、甲子園交流試合の鶴岡東5-3日本航空石川では、5-3の9回裏、追いかける航空石川が2アウト1・2塁と逆転のチャンスをつくって、勝利目前の鶴岡東は最後の打者を打ちとったと思ったんですが、それまで投手のピンチを何度も救ってきた遊撃手がエラーしてしまい、満塁の大ピンチを招いてしまいます。結果としては次のセカンドの好守備に助けられて鶴岡東が逃げ切ったんですけど、自分があの遊撃手なら高校最後のエラーを忘れられないと思うんです。だからといって高校最後の試合を勝利でおさめたことが消えてなくなるわけでもない。どちらとも、ともに、それぞれに無関係に独立にして、そこにあり続けると思うんです。 それはちょうど、恋人にフラれてしまっても、かつて恋人と過ごしたきらきらした日々が消えてなくなることのないように、いつか見た川のせせらぎのきらきらが消えてなくなることのないように、全てのあったことは、ネガティブなことでも、ポジティブなことでも、どちらでもないことでも、あったこととして、そこに変わらずにあり続けると思うんです。自分さえそう信じていれば。 思えば、人生なんてどんな人でも負け戦だと思います。あの清原が見事に体現してくれているように、裕福な家に生まれようが生まれまいが、才能があろうがなかろうが、努力で這い上がろうが這い上がるまいが、多かれ少なかれどんな人生もひとしく負け戦だと思います。攻撃のない野球みたいなものです。誰も彼もボコスカに打たれまくって肩で息をしているピッチャーみたいなものだと思います。攻撃のない野球ですから、どんなに上手く守ってもゼロ、最高のパフォーマンスを発揮してもゼロ、ゼロじゃあ試合には勝てません。たぶん、生きるということは大洪水の川のなかにいるのにひとしくて、流されないように辛抱するのがせいぜいで、進むことなんてできやしない。でも、それでも、と信じさえすれば、守備とは無関係のどこかできっと攻撃が繰り広げられていると思うんです。どんなに清原が落ちぶれようとも、かつて清原が打ったホームランは消えてなくならないように、かつて清原が日本シリーズで流した涙がぜったいに消えてなくならないように。 豆の木高校の豆っ子たちが点をとれなくてもあの手この手で(自分たちの手には負えないやり方で、でも、守備だけは懸命に頑張った!)決勝まで勝ち進んだように、今日もどこかで日本文理の終わらない夏が9回裏の奇跡のような猛攻をどこかで繰り広げていると思うんです、すくなくとも自分がそう信じさえすれば!!!! 男の妄想が詰まってる終末のハーレム セミカラー版 LINK 宵野コタロー名無しコールドスリープから目覚めたら男性が絶滅しかけていて、ハーレム状態になるという近未来エロティック・サスペンス。女性にもてて世界も救える。アクセスする時間帯とかデバイスによって白いモヤが見えたり見えなかったりするらしい。<<7879808182>>
作品の感想ではなく作者のタッチの話になるが汗の表現のサイズ感がおかしい、あまりにデカすぎてそれが水滴とは気付かず出来物腫物の類と思っててそれについての説明が無くこれは何なのだろうかとずっと疑問だった。 普通に人体は掛けてるのに汗だけ何故このような認識で描いてるのか謎である。