ボッチだった6ヶ月間 (とその後)

小中高時代はクラスの人間関係=全世界って話

ボッチだった6ヶ月間 (とその後) 都会
六文銭
六文銭

この年になってふり返れることだから言えることなのだろうけど、 小中高の人間関係って意味ないよなぁって話。 自分が元々、そこまで友達多くないというのは百理あるが、 それでも、小中高はイジメられることなく無難に過ごせてきた。 なんなら、放課後は遊んだり、ダベる程度のいわゆる「友人」はいた。 それがどうでしょうか。 この歳になって、まだ付き合っている小中高の友人0です。 というか、どのグレードでも、卒業したら一度もあってない。 その程度の人間関係なのに、昔はそれが全てなんですよね。 だから、イジメられて自殺してしまう子がいる。 大したことでもないのに、それが自分の全世界だから。 本作は、それをまさにマンガにしてくれた作品です。 クラスで、ちょっとしたことでハブられてしまった主人公の話。 その時は、酷い悲しみにくれますが、環境がかわることで少しづつよくなっていき、さらに年を食ってくると、あのときの苦しみってなんだったんだろう、大したことないんだなぁと思えてしまったという流れ。 すごく共感できた。 現在進行系で学校内でうまくいっていない全ての人を勇気づけてくれる作品だと思います。 今が全てではないし、将来になれば必ず自分の居場所が見つかるんだってことを感じさせてくれます。 自分もそうでした。 卒業したら会わなくなるような大して面白くもないフワッとした関係でも、将来的にはもっと素晴らしい人たちと出会えます。 事実としてあります。 人間関係なんて、ハブられたら終わり、選ばれなければ終わり、なんかじゃない。 いや、選ばれる必要もない。 こっちから選んでやるわ!くらいなスタンスが調度良いのでしょうね。

citrus

キスの強度と伝統女子校

citrus サブロウタ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

この作品は、女子同士の「キス」が印象的だ。 そんなにしょっちゅうキスしているわけではない。1巻に1、2回描かれるキスはしかし、とても強く心を打つ。キスが心を打つ。それは一つ一つのキスに大きな意味が込められているからだ。 第1巻で描かれる、生徒会長・相原芽衣と男性教師との辛そうなキス。主人公のギャル・相原柚子が妹になった芽衣からされる、投げやりなキス。酷いイメージから始まるキスは、恋心を自認する混乱から相手を受け入れる過程を経て、熱いキスへ。そこに女性同士、姉妹という葛藤、芽衣にのしかかる重圧……唇を重ねる行為に意味が加わる度に、キスから受け取る感情が強くなってゆく。 とりわけ芽衣にのしかかる、学園を継ぐ者としての重圧、伝統ある女子校の規律を守る立場、そして家の為の結婚……それらをポジティブな柚子が解きほぐす度、二人のキスは心の解放の表現として、強度を増してゆく。 キスの度に訪れる、切ない程の多幸感。 キスを含む二人のエロス表現は、想いを通じ合ってからはトーンが落ちるのもまた、印象を深める。様々な物を乗り越えた先の、短い確かめ合い。相手を軽く束縛するだけの表現なのに、脳が沸騰するほどの感情が訪れる。 特に続編『citrus+』以降の、驚く程の清いお付き合いには、謎の喜びと「見守りたい」感覚が沸き起こる。 #マンバ読書会 #続編・スピンオフ

音のレガート

心を音を、滑らかに繋げる #1巻応援

音のレガート すいと
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

楽器未経験の病弱女子が、高校で金管五重奏の仲間に加わるお話。音楽を演奏する理由や仲間とは何なのかについて、優しくも真剣に伝えてくれる内容でした。 秋のアンサンブルコンテストが目標の五人。しかし初心者の主人公と、とにかく音を合わせるのが楽しい面々に、上を目指す緊張感は当初ありませんでした。 私はそこがすごく良いと思うのですが、強豪校との強烈な出会いによって、難しく考え始めてしまう。しかしそこで得られる新たな思考も前向きで、音楽の楽しみに向き合えているのが良いのです。 とかく部活漫画は、頂点を目指してキツい遣り取りがなされるのが常ですが、本作の五重奏は、仲間の結束を強めながら皆で目標を決め、真剣でも楽しく穏やかに取り組む。 タイトルの「レガート」とは音楽用語で「音を滑らかに繋げる」という意味。メンバー達の絆が次第に強まるのを見ていると、心を重ねて思いを繋げ、滑らかで美しい調和を作り上げる、そんな「音楽の喜び」のための作品になってくれそうだ、と感じました。 ★余談★ 高校生の吹奏楽部員にとって、夏の普門館(今は別会場)と秋冬のアンサンブルコンテストが二大大会になりますが(あとはマーチングもあるけど……)大所帯の吹奏楽部のアンコンはまず部内選抜から始まります。よってアンコンに出たことのある人は、実は少数派です。私は出られませんでした……。

君がいない世界(フルカラー)【特装版】

弟を救うため"時を駆ける少女"の物語 #1巻応援

君がいない世界(フルカラー)【特装版】 ドド juheejo
sogor25
sogor25

主人公は両親と弟の陽太と4人で暮らしている普通の女子高生・陽子。 どこにでもある普通の日常を送っていた陽子ですが、ある日、弟の陽太が下校途中に行方不明になってしまいました。 警察も総出で捜索したのですが陽太は見つからず、陽子を含め残された家族は徐々に日常を失っていきます。 それから6ヶ月後、彼女の元に陽太が突然帰ってくるのですが、その時にはもう元の家族には戻れないところまで壊れてしまっていました。 そんな悲しい思いを抱えることになった陽子でしたが、ある朝目覚めると、陽太が失踪した日の朝にタイムリープしていました。 このような導入で始まる、いわゆるタイムリープものの作品ですが、この作品の特徴として「タイムリープの原因となる人物が早い段階で示唆されている」、そして「タイムリープによる過去改変が陽太の失踪以外にも影響を及ぼしていく」という点にあります。 特に、過去を変えることで陽太の失踪を防ごうとする陽子の行動が本人の思わぬところに新たな問題を引き起こし、それが彼女を更に悩ませていくことになります。 そんなシリアスなストーリーが展開していくですが、表紙と同じフルカラーの水彩画のような絵柄で本編も描かれていて、児童文学のような優しい雰囲気のある作品でもあります 重いテーマの中にも人との繋がりの大切さや温かみを感じられる、子供から大人まで楽しめる作品だと思います。 1巻まで読了

FX戦士くるみちゃん

JD×FX=ホラー #1巻応援

FX戦士くるみちゃん 炭酸だいすき でむにゃん
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

〇〇×女子という作品は、ジャンルを緩く紹介するものを想像しがちですが、本作はそういう感じではありません。1巻を読み終わって、私自身の経験……FXでは無いけれども少しだけ相場(個別株)に触れていた時の事を思い出して、身体が強張りました。 主人公の女子大生は、過去に母親がFXで大損の末自殺に追い込まれたのを、自分の責任の様に感じている。 お金のためではなく、自分の戦いとして始めるFX。奨学金が貰える程の頭脳で、時間をかけてFXを学び、冷静さをもって始めたトレードでしたが、次第に泥沼にハマり冷静さを失ってゆく。危機に陥るたびに口当たりの良い言葉で自らをごまかし、気高い言葉で博打を正当化する主人公は見ていて辛い程。そこにゆるふわさはありません。 主人公を煽る投資仲間の存在も不穏。よく投資について助言したり情報を流す人はオンライン・オフライン問わず存在しますが、そういう人達が何を思っているのかを考えると、こういう人もいるのかもな……と、正直怖くなる。 カワイイ絵で描かれる表情の変化は次第に狂気を伴って、激しいチャートの浮き沈みに人が翻弄される様を残酷に描き出す。今まであった金融系漫画の泥臭さよりはむしろホラーに近い読み心地の、恐ろしい作品でした。

つりこまち

『つりこまち』は釣り版『咲-Saki-』なのか? #1巻応援

つりこまち 山崎夏軌
兎来栄寿
兎来栄寿

元々はおじさんの趣味であるものと女子高生を掛け合わせた作品は枚挙に暇がありませんが、それでもしっかりとしたクオリティであれば単なる色物では終わらず読み物として純粋に楽しめるどころか世間にブームすら巻き起こしていくのは歴史が証明しています。近年では『ゆるキャン△』がその最たる例でしょう。 この『つりこまち』は、JK×釣りの美少女フィッシングストーリー。しかも、時折現実離れした超絶的な技を使いながら凄い腕前を振るう、しかし自身は釣りが好きではないというヒロインが据えられています。極め付けにお母さんがいない、と来れば同じヤングガンガンの看板を張る麻雀×JKの『咲-Saki-』をどうしても想起せずにはいられません。 釣りがオリンピック種目になっているほど世界的に人気という設定もそれに拍車をかけていますが、実際に現実世界でも1900年の第二回パリ大会においては釣りが正式種目であったということをこの作品をきっかけに知りました。 純粋に画のクオリティが高く、釣りに詳しくない人でもハッタリの効いた絵と蘊蓄で楽しむことができるであろうという長所も通底しています。 この作品が続いてやがてアニメ化・実写化され、それによって釣り人口が増え、スピンオフ作品などの展開もどんどん行われていく……そんな未来が決して夢物語ではないことを思わせてくれる、良質な作品で今後が楽しみです。 2022年2月25日追記 本日2巻発売ですが、話が進むごとにキャラクターの魅力も更に前面に出てきており、今後のヤンガンの看板を担っていく作品としてますます期待が高まっています。