となりの席は外国人

多国籍でパワフルな小学校の日常!!

となりの席は外国人 あらた真琴
たか
たか

私が町立小学校2年生のとき学年に3人のブラジル人の子がいました。1学年だいたい100人なので外国人率は3%。これは令和2年の川崎市と同じ外国人割合なんだとか。 90年代のブラジルの経済状況と、日本の法改正により日系3世に定住資格が与えられたことが重なり、工業団地があるうちの地元にたくさんのブラジル人が家族を連れて出稼ぎに来ていたんですね。おかげで今でもゴミ捨て場は日葡併記です。 この作品は私の母校のよりも遥かに広く、世界中の国々の子供たちを受け入れる日本の公立学校のお話です。 https://dokusho-ojikan.jp/serial/detail/t51291 まず冒頭は入学式から始まるのですが、もうこっからすごい!! ティアラをつけお姫様のようなドレスで来る子に、欠席する子(入学手続きをしたものの親の事情で国に帰ってしまった)など、「こいつはとんでもねぇぞ…!」と初っ端から面白さが止まらない。 和式便所の使い方がわからない…などは定番かも知れませんが、運動会でドレッドヘアや、遠足にマックのセットなどなど、「その発想はなかった…!」という文化の違いがバンバン出てきて圧倒されます。 何より読んでいて楽しいのが、学校での子供たちのパワフルさとエキセントリックさ…!! もう、どの子も元気いっぱいで自由気ままでメチャクチャなんですよね。 元気いっぱいのユリア、心配性のビト、お嬢様シェイラ、自由人のアレンetc...。次から次へとまだ出てくるのかと驚くぐらい、様々な子が登場しエピソードには事欠きません。 「いやそんなことある!? 」というようなやらかしに笑いが止まらない一方で、自分が先生でこれを全部対処する側だったら…という考えが一瞬、頭をよぎってゾッとしてしまいました。先生たちすごい…! 最近ではいじめだけでなく、言語の習得が上手く行かずダブルリミテッドとなってしまうケースなども聞かれるので、こうして日本の学校で憂いを知らず元気いっぱいに過ごす子供たちの姿を見るとホッとします。 日本で子供時代を過ごす全ての子に、こんな風に楽しい学校生活を送ってほしいと思わずにいられません。 「庶民の娘ですがセレブ学校へ通っています」が、日本で多国籍の子女に欧米流の教育を施すインターナショナルスクールエッセイだとしたら、「となりの席は外国人」はそのカウンターとなる、日本で多国籍の子女に日本流の教育を施す公立学校エッセイ。両方合わせて読むのがおすすめです。 読めば間違いなく元気が出ます。笑いたいときにぜひどうぞ…!

あさな君はノンケじゃない!

ゲイの“日常”を知る

あさな君はノンケじゃない! あさなさくま
nyae
nyae

性的マイノリティに対して差別したくないと思うと、どうにか理解しようと頑張って、言ってはいけない言葉を覚えようとしたり、腫れ物に触るような対応をしてしまったりと、お互いに居心地の悪い思いをしてしまうのでは…(という心配をしてしまう無限ループ) 身近に該当する人がいないと、ひとりでそんなことを考えてぐるぐるしてしまう。 そんなときに読んだこの漫画は、少し心が楽になったのと同時に、良い教科書にもなりました。 性的指向などに関わらず、もちろんノンケでも、どんな人にも日常があって、その日常を侵害する権利は誰にもない。そしてこの世に「当たり前」のことなんてない。その人が好きなもの・嫌いなものが自分と違ってもいいし、同じだったら気が合うね!って言って仲良くなればいい。個人として付き合えばそれで良いんだなと(あ、でも書いてることは「当たり前」のことだな…)。 この漫画を描いてるあさなくんはゲイだけど、タイトルは「ノンケじゃない」。つまり、「君は〇〇だ」とカテゴライズすることがもう遅れてる。ノンケじゃない(自分とは性的指向が何かしら違う)、了解。で終わりなんだ!てことかな?と自分は解釈しました。

まんがでわかる自律神経の整え方

当たり前の規則正しい生活がなぜ大事なのかわかる1冊

まんがでわかる自律神経の整え方 小林弘幸 一色美穂
たか
たか

物心ついてから親元を離れるまで、平日は朝6時半に起きてご飯を食べ、雨の日も雪の日も徒歩20分かけて学校へ行き、12時に給食、午後6時に夕飯、砂糖の入った清涼飲料水は飲まないという生活を送っていました。 18年間それが当たり前だと思っていたので、毎年スポーツテストと一緒に行われる健康に関するアンケートで「食事は毎日同じ時間に食べているか」や「朝食を毎日食べているか」と聞かれる意味がわかりませんでした。 ですがこの模範的で健康的な生活の反動で、1人暮らしの大学生活は乱れに乱れたものとなりました。 好きな時間まで起きていていい! お風呂は朝入ればいい! 好きなものを好きなだけ食べていい!! 律儀に3回食べなくてもいい!!! すごいぞ1人暮らし…! と感動した自分は、(少なくとも最初の半年間)「朝昼は好きなだけチョコレート、夜はスイスロール」のように、思いついた不健康を片っ端から試して暮らしました。 真剣に単位を取らねばならない時期だけはいつの間にか規則正しいリズムで暮らしていましたが、就職してからは夜勤と日勤が入り乱れることになりました。 とまあこんな感じで、もう10年以上不規則な生活に染まりきっているのですが、最近になって自分が入眠困難であるのを自覚したのをきっかけに、健康的な生活がしたいと真剣に考えるようになりました。 というわけで、Amazonで「不眠症 エッセイ」で出会ったのがこの漫画です。 軽く著者の先生について調べたら信頼できそうな感じだったので購入してみたところ、自律神経を整えるのに必要な情報だけが小難しい用語を使わずわかりやすく説明されていてすごく良かったです。 (むしろ医学的な堅苦しい文章が一切ないために、信じていいのかと逆に不安に感じるほど簡単な内容となっています) 各話は、この漫画の著者である一色美穂先生がものすごく若々しい担当さんの若さの理由が自律神経にあることを知り、小林弘幸先生(順天堂医院 総合診療科)の元を訪れ話を聞くというスタイルで進んでいきます。 初っ端の、担当さんの若さに驚いた一色先生が「クイクイ(※ヤクでもやってんのかのポーズ)」とするところで、もうこの本が好きになってしまいました。 「そもそも自律神経とはなにか?」という説明で、発汗や血液循環などは24時間自動的にコントロールしているものと聞き「イッツオートマチック…!!」という感想が出てくるところが最高。一色先生のシンプルなのにものすごく漫画らしい、いつまでも見ていられる絵柄もまた素敵。 https://i.imgur.com/bGesFKA.png (△『まんがでわかる自律神経の整え方』小林弘幸/一色美穂 Lesson1より) 小林先生が自律神経を整えるために大切なこととして挙げているのが ・朝起きたら水を飲む ・上を向く ・日を浴びる ・作り笑顔で良いから笑う ・食事は6時間おきに取る ・寝る前に湯船に浸かる なのですが、これもう全部小学生のときには自然にやっていたことですよね。当たり前すぎる。 この中の「作り笑いでもいいから笑う」について。 私が高校生のとき、なんのストレスもないのにやたら気分が暗い日が連続したことがあって、ふと「あ、この1週間大笑いしてない」と気づいたことがありました。お笑い番組をみたところその暗さがスッキリ消え、その経験から定期的にお笑い動画を見るようにしているのですが、ちゃんと医学的な根拠があると知って納得しました。 とまあ、これらの当たり前のことが体に(自律神経に)良いとはぼんやりとは知っていても重要視はまっっったくしていませんでした。が、この本を読んでみて現在日常で困ってる体調不良が全部この「当たり前のこと」で解消されるとわかり、その重要性を痛感しました。 やろうと思えばできる本当に些細な日常習慣ばかりなので、とりあえず常に締め切ったカーテンを開けるところから始めようと思います。

岡崎に捧ぐ

新時代のちびまる子ちゃん

岡崎に捧ぐ 山本さほ
さいろく
さいろく

今のアラサー・アラフォーに刺さるちびまる子ちゃん的に言われているそうだけど、言われてみたら確かにそうだ! ただ、彼女らはちゃんと歳を取るので、同じような話が続いたりは一切しない。単純に「とても面白い」「良いよね」みたいな感想が出てくる作品。 作者であり主人公の山本さほと友人の岡崎さんはベクトルは違うものの二人共個性的で、とにかくアクが強い。 岡崎さんは家庭環境もめちゃくちゃだし全てを許してくれそうな聖母マリア的な存在にも見える(山本さん視点) 山本さんはそんなかけがえのない親友の岡崎さんを漫画にせざるを得なかったのであろう、というようなエピソードがてんこ盛りである。 ただ、山本さんはあえて岡崎さんと対比して普通っぽさが見える反面、そんなことするの!?と驚くようなことも割としている。 あえてそういう描写にしてるんだろうけど、それが漫画的でこの作品の面白いところでもある。 高校に入ってからの彼女らの関係もそうだし、山本さん単体での生活はアラサー・アラフォーな読者には懐かしさと共感とで色々うわー!ってなるのがまた良いところかもしれない。 一時期めちゃくちゃ話題だったけど、もっとずっと話題でいいし国民的漫画にしちゃっていいのに!と思ったけど内容的に子供には見せづらいかもしれない(笑) そして全部飛ばさずに読んで欲しい。 どのRPGだってエンディングだけ見たって味わえる感動は全てを歩んだ人と雲泥の差があるものだけど、それと一緒でちゃんと最後まで全部読んだ人はきっと最終話まで読んで良かったと感じるはず。

じゃあまたね 完全版

清原なつの先生の猫マンガであり自伝マンガでもある

じゃあまたね 完全版 清原なつの
かしこ
かしこ

金沢大学の薬学部に通いながら少女マンガにSFを描いていた清原なつの先生。『じゃあまたね 完全版』は、編集者さんからの「猫のマンガ描きませんか?」という提案をきっかけに描かれたそうで、猫のタイガーを飼い始めた少女時代からタイガーが亡くなる大学卒業までを回想した自伝マンガになっています。 読んでみてオリジナリティに溢れた作品がどうして生み出されたのか少しだけ分かったような気がしました。りぼんでデビューしたのが偶然だったのには驚いたし、ペンネームにまつわるエピソードも面白かったです。就職ではなくマンガ家を専業に選ばれた理由も先生らしいと思いました。 大学生の頃にはすでに花岡ちゃんシリーズも描き始めていたそうで、これから先の清原なつの先生のまんが道も知りたい!というのが正直なところですが、タイガーが亡くなってから40年ペットロスだと語られていたので、これはこれで完結するべき作品なのでしょう。でも気が向いたらぜひ続きを描いてくださいね! ちなみに紙版の単行本には収めきれなかった複数のエピソードが電子版には収録されています。なので電子版はタイトルが『完全版』となっています。

美川べるのといかゴリラのまんが飯

かつてここまで美味しくなさそうなグルメ漫画があったのか

美川べるのといかゴリラのまんが飯 美川べるの いかゴリラ
六文銭
六文銭

待ってました。個人的に好きすぎるいかゴリラ先生の新作。 (いかゴリラ先生を知らないって人は、まず「オタクだよ!いかゴリラの元気が出るマンガ」を読んでほしいです。もしくは、いかごりら先生のtwitterをみてみると雰囲気がわかると思います) 知っている方はご存知だと思いますが、独特のハイテンションが持ち味のギャグ漫画家なのですが画力がアレなんですよ。 キャラクターの手なんか 「なんで、この人クリームパンずっと持ってんの」 って言いたくなるくらいの絵。 でも、どことなくそれが味があってよいし、開き直ってギャグにしている感じもよいんです。 そして、そんな画力のいかゴリラ先生が、まさかのグルメ漫画。 グルメ漫画のウリといえば美味しそうな絵でしょう。 なんでいかゴリラ先生なんでしょう?と一瞬思いますが、まぁ、面白い。 どれも絶望的に美味しくなさそうなのですが、それをベースにしたギャグが最高なんです。 描けなくなったからと実写を使ったあたりとか腹抱えて笑いました。 基本は、美川べるのといかゴリラ、あと編集担当の方、3人で毎回ある食材や料理をテーマに沿って展開されます。 一風変わったグルメ漫画・・・というかギャグを所望しているかたに是非おすすめしたい作品です。