おひ釣りさま

全ての道は「おひ釣りさま」に通ず

おひ釣りさま とうじたつや
名無し

上条星羅(カミジョウセイラ)は才色兼備の24歳独身OL。 趣味は釣り。それも徹底して一人での釣行に拘っている。 求道者レベルで釣りに打ちこみ楽しんでいる。 あらゆる物事が釣りを連想させ、釣行に走ってしまう。 しかしセイラさんは孤高の「おひ釣りさま」ではあるが、 けして単なる釣りバカとか釣りオタクではないと思うし、 そこが面白い。 実は釣り以外の趣味や娯楽にも精通していそうだと、 いや下手をすればそれぞれの趣味のマニアよりも 詳しいのではと、そう思わせるフシがチョイチョイあるのだ。 例えばナマズ釣りの面白さを、ミュージカル観劇で 感じる面白さと比較して例えたり、 釣りのアワセの醍醐味を野球での豪球豪打に例えたり、 微妙なニュアンスではあるが、他ジャンルの面白さも 色々と尊重しつつも釣りをもっとリスペクトしてくる。 普通の人は広島カープファンの応援スタイルとか知らんし、 釣りと結びつけて考えたりしないし、とも思うが(笑) どこをどうやったら24歳のOLがあらゆるジャンルの 面白さにそこまで精通してしまうんだよ、 しかもそれでも釣りの面白さが一番なのかよ、と あきれてしまう。 そういう意味でセイラさんは孤高で面白くてスーパーな 「おひ釣りさま」だと思う。

かびんのつま

化学物質過敏症を知ってますか?

かびんのつま あきやまひでき
名無し

この漫画をきっかけに化学物質過敏症を知った人は多いんじゃないでしょうか。私もその一人で「こんな…目に見えない恐怖と戦わなければならない病気があるなんて…」と衝撃的でした。その後にテレビのドキュメンタリー番組で同じ症状がある方を拝見しましたが化学物質に苦しんでる様子はもちろん、それ以上に家族から理解してもらえないことがとても辛そうでした。発症して症状がひどければ今まで住んでいた家にもいられなくなるし、家族が療養先に会いに来てくれても衣服の洗剤の匂いなどに身体が反応してしまえば近づけないんですよね…。精神的な病気なんじゃないかと思われる方も多いらしく、普通の暮らしをしている人にとってはなかなか受け入れ難いもののようです。スペリオールで「ボクらはみんな生きてゆく!」の連載が始まりましたが、田舎暮らしを始められたのも奥様の療養の為なんですよね。改めて「かびんのつま」を読み直してみると、あきやまさんのご両親に病気のことを理解てしてもらえず症状も良くなったり悪くなったりを繰り返されてましたが、今の暮らしぶりを拝見するとあの頃より格段に充実した生活を送られているようなのでホッとしました。

お母さん二人いてもいいかな!?

壮絶だけどその辺で普通に生活している人の話

お母さん二人いてもいいかな!? 中村珍 中村キヨ
nyae
nyae

読み始め、作者の中村キヨさんが前の奥さんを病気で亡くして別の女性と再婚するところから始まるんですが、別れの部分があまりに衝撃的だったので「その話を描いたエッセイがあるのでは」と思って探したんですけど、多分ないみたいです。そして、作中でも亡くなった方とどのような暮らしをしていたかはほぼ語られません。 メインは酔っ払って道端で座り込んでいたところを中村さんが介抱してあげたことがきっかけで知り合い、結婚(もちろん事実婚)したサツキさんとの生活が描かれますが、その中身は私が想像できるレズビアン同士のやり取りからは想像を遥かに超えるものがありました。 ただそれは、この人達がこうなだけであって、レズビアンとはLGBTとはこういうものという話ではなく、言うなればその辺で生きてるとあるカップルの日常を描いたに過ぎない。 サツキさんには息子が3人いるのですが、当然中村さんとは血の繋がりはありませんので、父と母が1人ずつではない家庭を彼らなりに受け入れなければならない。そこで親が先駆けて周りにカミングアウトするのもありではという中村さんに対し、サツキさんが「子は親を選べない以上、選べることは全て選ばせたい」「遠くの1億人が理解してくれたって、身近な10人が無理解だったら地獄でしょ」と伝えます。ほんとその通りですね。 「愛とはなんなのか」というのも常に問い続けているのも印象に残ります。もちろん答えは見つかりませんが、読者として感じたのは、愛する人が幸せであるように願うこと、かもなと思いました。

パルノグラフィティ

この家庭にして『BEASTARS』はうまれた

パルノグラフィティ 板垣巴留
六文銭
六文銭

漫画家って破天荒なイメージなんですよね。 生活スタイルが乱れていることもそうですが、そもそも漫画を描く上で、ものの見方が「普通」ではないわけで、それを表現することで読者に新しい価値観なり考え方を与えてくれると思っております。 なので、必然的に「一般家庭とは異なる」という先入観があるのです。 だが、しかし。本作を読んで、その考えが全く変わりました。 もう公になっておりますが、『BEASTARS』の作者:板垣巴留氏は、日本男児必読の『刃牙』シリーズの作者:板垣恵介氏のご息女です。 刃牙を読んだことある人は同じように思ってくれるかもしれませんが、刃牙で表現される「父親像」(父性)がとにかくすごいので、一体、どんなふうに育ててきたのか?と気になってました。 結論いうと 破天荒なんてもんじゃない、めっちゃ良い家庭で育った ということ。 板垣家、なんという幸せ家族。その一言です。 性格の異なる二人の姉妹。 いつも褒めてくれる愛くるしい母。 イケてる祖父。 そして圧倒的な父! 本作内で父親を描く瞬間は、そう多くはないのですが、その分存在感があってすごいです。 また良き父親らしいシーン ーたえず気にかけてくれたり、子供ではなく一人の人間として扱ったりー があってほっこりします。 特に自分が印象深かったのは、巴留氏が学生時代に父親と会って別れる際に「スイカに2万円ほどチャージ」してくれるというシーン。 ここに感銘をうけた。 現金を直接渡すのではなく「スイカにチャージ」という点。 国民的大ヒットの刃牙の作者であれば、うなるほどお金があるはずなのに、子供に無尽蔵にお金を分け与えない姿勢が垣間みえて、めちゃくちゃしっかりした教育方針をもっているのだと感じました。 お金に関する親の考え方が一番教育に出て、ひいては子供の人格面に影響を与えると思うんですよね。 金持ちの親がドラ息子抱えるのは、お金に対する明確な方針がないからだと考えているので。 (作中でも出てきますが、巴留氏はバイトをしたり意外と貧乏学生もしております。) デビューも親の七光りでなんとかしようとしない姿勢も、こういうところからなのかしら? また、こんな家庭の一幕を垣間見せながらも、 基本は、作者独特の目線で描かれていてそれもまた面白いです。 スポーツ中継を見ながら、突然、TVにうつる選手と入れ替わったら?とか、ふつー考えないですよね。(その対策もまた独特で笑えます。) 『BEASTARS』は「多様な種と共存していく社会」を描くという意味で、ダイバーシティをうたう現代社会の写し鏡的な作品だと、私はとらえております。 そこには、他者に対する想像力が重要なのですが、 この『パルノグラフィティ』を読んで、作者のその能力の一旦(ないしは、育まれた過程)を見ました。 『BEASTARS』がより楽しめること請け合いです。

つくおき生活 週末まとめて作り置きレシピ

QOL向上させてこ

つくおき生活 週末まとめて作り置きレシピ 仁茂田あい nozomi
野愛
野愛

昔からつくおきにはお世話になってます。休みの日に(元気だったら)ある程度まとめておかず作っておくと仕事の日めちゃくちゃ楽なんですよね。 そんなつくおきにお世話になってる青年・梅尾くんが主人公の漫画。毎日自炊するぞ!と決意しながらもハードな仕事に追われ、具なしのお好み焼きを食べて生活しています。 正直、具なしお好み焼きつくるだけでも偉い。 お湯沸かすのとか弁当あたためるのも面倒でコンビニの前でおにぎりとかパン食べてゴミ捨てて帰ってたこととかあるし…。 そんなひとにもつくおきは優しいのです。休みの日につくっておけば、仕事終わりにくたくたになってもレンジでチンするだけで手作りご飯が食べられるのです! まあ正直そんなことはつくおきのサイトを見ればわかることなのですが、これを利用してこんなにQOL爆上がりしました!というのを目の当たりにできるのが漫画のいいところ。 梅尾くんが幸せそうにしてるし自分もなんかつくってみるか〜なんて思えます。 疲れて帰ってきて煮物とか漬け物とかあると嬉しいもんね、自分で作ったものだとしても用意してあるってのが嬉しいの!わかる! 毎日ちゃんとしたもの食べよう、というモチベーションが上がる漫画です。

きょうも厄日です

息の長いシリーズになってほしい #1巻応援

きょうも厄日です 山本さほ
無用ノスケ子
無用ノスケ子

何かとトラブルを引き寄せてしまう作者の実体験を綴ったエッセイ。子供時代から最近の出来事まで、いろんな"厄"をユーモアたっぷりに表現されています。厄日の話ばかりでなく、友人の話だったり、ちょっとした恋愛話(厄あり)も入ってきます。私のお気に入りは、整骨院のおじさんの話。この話、何回読んでも笑ってしまいます。行けるところまで行ってしまう作者も相当おかしいのがよく分かるエピソードでした。漫画家の友人、おぎぬまXさんの登場回はマンガ好き必見で、おぎぬまXさんがいかにして29年ぶりの赤塚賞に入選したのか、実際にどういう人物なのか、この漫画を通して知りました。そして、特別編として収録されている世田谷区役所編。Twitterで話題になり知ってる方も多いと思いますが、世田谷区役所を相手に、三軒茶屋にある「まんがの図書館ガリレオ」を巻き込んだ大騒動を漫画にしたものです。詳細は読んで頂くとして、「描く。今日の出来事マンガにする」と並々ならぬ決意をした時の山本さほさんに痺れます。文春オンラインで、まだまだ連載中の作品ですので、この先も息の長いシリーズになってくれたら嬉しいですね。

アタマの中のアレを食べたい

トナカイ食べたことありますか?ピラニアは?カメレオンは? #1巻応援

アタマの中のアレを食べたい アサギユメ
名無し

『秘密のレプタイルズ』でお馴染み鯨川リョウ先生の奥様アサギユメ先生の最新作は、異色グルメ&夫婦惚気エッセイ。旦那様は、大の生き物好き。お家の中では、ありとあらゆる生き物たちと一緒に住んでいる。勿論、奥様も生き物大好き。ただ、旦那様と違うのは、“食べる”のも大好きだということ。飼っているペットが死んでしまった時、土に埋めてバクテリアに食わすぐらいなら、自分で食べて自らの血肉にするそんな過激派だったのだ!! アサギ先生の前作『サジちゃんの病み日記』を見れば分かる通り、かなりデフォルメされた可愛い絵柄をしているので、どんなに見た目がアレだったとしても美味しそうに見えちゃうのです。ただ口の中に涎が出そうで出ない感じなのはご愛敬。そして、この作品がただの異色グルメに留まらないのは、描かれる夫婦の仲の良さがとっても微笑ましいところ。ちょっと変わっている2人だけど、そんな2人だからこその良さが溢れているのです。特に第4話『脳みそ』、第5話『カメレオン』の2話は食事のインパクトも夫婦の惚気パワーも全開の前後編です。4話『脳みそ』はアサギ先生のTwitterで公開されているので是非是非読んでみて下さい!!