いじめ

なぜ「いじめ」はこんなに長く続いているのか?

いじめ 五十嵐かおる
まるまる
まるまる

五十嵐かおる先生の言わずとしれた代表作「いじめ」シリーズ。1話完結のオムニバスです。2021年2月現在、17巻も出てるうえに、いまだに連載が続いていることに驚愕。今更ながら読んでみたいと思いつつ、17冊買うのはなかなか勇気がいる。そこで、1巻と最新17巻のみ、とりあえず読んでみることにしました。 ストーリーの基本的な構成としては ・女子生徒から女子生徒へのいじめ ・視点はいじめ側、いじめられ側、いじめリーダー格に逆らえない立場側など様々 ・最終的には同級生や近い年齢の女生徒が味方についていじめから抜け出す という感じ。 共通しているメッセージとしては「ひとりじゃない。きっと誰かが味方になってくれるから諦めないで」というものだと思います(多分)。 1巻と17巻を読んで比べた結果、ほとんど内容は同じであることがわかりました。16年続いてても変わらないって色んな意味ですごい。 私はちゃお読者ではないし、対象年齢からははるかにかけ離れているのでなんとも言えませんが、この漫画が16年も同じような内容で続いていて、そしてきっとこれからも続いていく。その意味ってなんなんでしょうか。 確実なことは、対象者は女子小学生なのでその子達が「読みたくない」ものではいけない。したがって、悪は粛正され、正義は勝たなくてはいけない。だとすると、中にはこの漫画を完全フィクションの勧善懲悪エンタメとして楽しんでいる人もたくさんいるのでは。しかし現実はそう簡単ではなく、いじめ問題の根は深く複雑で、むしろいじめる側にこそケアが必要な場合もあるけれど…。 他の巻も読めば、男子が主人公だったり、親や教師がもっと介入してきたり、いじめる側の心の病に焦点を当てるエピソードもあるんだろうか?いや、無さそう。 ちょっと調べてみたところ、結構教材として使われていることがあるみたいです。なるほど。そう考えると、余計にもっとバリエーションを増やしたほうがいいんじゃないかと思ってしまうな。うーん。 漫画にいじめをなくす力はなくても、いじめられている子の心を少しでも救うことはできる。それを続けることにはとても大きな意味があるということですかね。 (あえてここでは続く理由は「売れるから」とは言わないでおきますよ。)

らんま1/2 〔新装版〕

あかねが主役の『ヤマタノオロチ編』

らんま1/2 〔新装版〕 高橋留美子
nyae
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数あるバトルエピソードのなかでも、ダントツに好きなのがコミックス25巻から26巻にかけて描かれる『ヤマタノオロチ編』で、自分が生まれて初めてらんま1/2を読んだ回でもあり、ヒロインのあかねが主役です。 ある日あかねがひとりで化物退治に向かい、そこである少年と運命的な再会を果たし…というもの。まず料理下手のあかねが"普通のカレー"を作るという衝撃的な始まり方をする点からも、他とは一線を画すると思っています。 またここでは"真之介"という(この漫画の中では)わりと普通の少年が出てくるのが特徴的で、それにより"乱馬に正統派ライバルがいるタイプ"の珍しい三角関係が生まれるのも見どころのひとつ。 そんな複雑な関係性と悲しいすれ違いが起こる中、乱馬はあくまであかねの「真之介を救いたい」気持ちを汲んで、真之介と共闘する展開になるのもアツい。全体的にみんなの人としての優しさとか思いやりがベースにあるのがなんかいいんですよね。 女好きなヤマタノオロチのところへ、あかねのかわりに女らんまが行くのではなく、あえて乱馬は女装して戦いに臨みます。あくまでもあかねが中心に真之介のために戦うという構図が最後まで崩れないのが良かった。そして忘れてはいけない良牙の存在ですが、ここまで都合のいいように扱われた回もなかったのでは。笑 という感じで、あかねの武道家としての強くて真摯なところと優しくて情に厚いところ、更には乱馬とあかねのもはや"家族愛"ともいえる絆を改めて感じることができたいい回だったなと思います。らんまを読んだことがない人にこのエピソードだけでも読んでほしいくらい、お気に入りです。 しかし、あの時どうしてあかねは普通のカレーを作ることができたのか。謎です。 #マンバ読書会