電波青年 単行本版

人を殺したラジオ配信者とそのリスナーの孤独な逃避行

電波青年 単行本版 安田佳澄
ANAGUMA
ANAGUMA

殺人を犯したネットラジオの配信者フジオとそのファンの女の子ヨーコが出会い、ふたりで配信をしながら捜査から逃げるというバディロードムービー的な筋書きです。 フジオは孤独な男です。 芸人として成功できず、ネットラジオで承認欲求を満たし、自身の価値をギリギリのところで認めています。彼を評価し、孤独の境界に踏み止まらせているのは顔の見えないリスナーたちだけなのです。 ヨーコが彼のラジオで救われていたのも、フジオと同様に、自分が孤独だと感じていたからです。 互いの孤独を癒やすように共に居ることを選択するふたりの姿は、痛々しくもとても尊いものに感じられます。 皮肉なことにフジオは彼のリスナーたちと出会うことで、さまざまな出来ごとに見舞われ、時には追い詰められ、時には助けられ、運命に翻弄され、のっぴきならない状態に陥っていきます。 優れた物語は「次はどうなるんだろう」という気持ちがずっと持続するものだと思います。自分は一気に読んでしまいました。 フジオの罪の真相と、ヨーコとの孤独な旅路がどこに行き着くのか、ぜひとも見届けてほしいです。

BOMBER GIRL CRUSH!  ボンバーガール・クラッシュ!

プロレス好きにはわかりやすいモーション

BOMBER GIRL CRUSH! ボンバーガール・クラッシュ! にわのまこと
さいろく
さいろく

サイバーパンク+賞金稼ぎ、という感じの世界観でヒロインの羅生門エミーがトンファー片手に(両手か)賞金稼ぎをしていく。 にわのまことセンセーと言えばジャンプ黄金期終了間際?にやってたプロレス漫画「THE MOMOTAROH」や「リベロの武田」だが、サッカー漫画でもモンゴリアンチョップを筆頭にプロレスネタがバリバリ出てくる作風。 ボンバーガールシリーズも同様で、女子プロレスラーっぽいヒロインたちがセクシーに技を決めていくのだが最終的にはロボだったりトンファーの仕込み銃だったり何でもありな感じの内容。 何も考えずに読めて割と好きだけどもう少しシリアスにギャグなしで描いてたら結構違う方向性もあったのではーと思える。でも合わせて3回も続いてるんだから多分相当描きたかった事なのでしょう。 すごいどうでもいいけどリベロの武田だったかの作者コメントでプロテイン飲んだ後にタンパク質を出しちゃった、というのが小学生の頃何のことかわからず親に解説を求めた記憶がある(親がなんと言ってたかは憶えてないけど) にわのまことセンセーが元気にタンパク質を摂取されてることを願う。