ヤミナベ~占領下日本敗残兵物語~

戦後日本を舞台にヤミ資金を守れ!

ヤミナベ~占領下日本敗残兵物語~ 清澄炯一 軍事法規研究会先任研究員大木浩明
六文銭
六文銭
書影がかっこよすぎて久しぶりにジャケ買いしましたが、後悔していないです。 第二次大戦後の日本が舞台。 主人公は旧陸軍で「狂犬」と呼ばれた男・高村伊知。 終戦後の東京に戻ると、実家も妻もなくなった状況の中で、新興ヤクザ組織「長門商会」のボス・岡本宇ノ介と出会い、彼の用心棒として雇われるところから始まる。 岡本は元々海軍の主計長(ありていにいうと経理や兵站係)で、その流れから長門商会は旧海軍が集う場所。 海軍と「長門」商会と言う名から推測されるように、戦艦「長門」とも深い関係があって、岡本が戦時中にある目的で手にした「ヤミ資金」が物語の軸となります。 敗戦国としてGHQの支配を受けていた日本で、志をもって暗躍していく様は、読んでいて熱くなります。 そして当然、彼らを邪魔する反社的な組織、それらを裏で糸引く政治家の存在などが障壁として登場してきます。 彼らを相手に、高村や岡本はどう立ち居振る舞うのか? そして「長門商会」は本懐を遂げられるのか? 大人向けの半フィクションな物語として今後に期待したい作品です。
青春は変態

初々しすぎて悶える恋 #完結応援

青春は変態 山本中学
兎来栄寿
兎来栄寿
2021年から連載していた山本中学さんのラブコメが先日完結し、本日完結巻発売となりました。 杉村くんと檜さん。両片思いのふたりのあまりにも初々しくたどたどしいやり取りや、その日好きな人の前で取った言動を反芻してベッドの上で煩悶し奇声を上げてしまう姿に、読んでいる方も身悶えせずにはいられません。人を好きになるということのアンコントローラブルな喜怒哀楽や気恥ずかしさ、陶酔が詰め込まれています。ふたりとも優しいいい子なのが、また応援したくなる気持ちをブーストしてくれています。 何が良いかと言えば、山本中学さんが『繋がる個体』や『サブスク彼女』の先にこの『青春は変態』を描いてること。あれらの作品の後に、こんなピュアオブピュアな恋愛を見せられる。でも、そこは山本中学さんなので、完全に『マーガレット』テイストだけでは終わらない。「青春は変態」だから。そこも確かに紛れもなく大事な青春の要素なのです。 それこそ、2巻完結の本作ですがもし『別冊マーガレット』で連載されていたらあと10巻くらいは擦った揉んだが続いていたことでしょう。正直、このふたりに関してはそこも見たいという気持ちは否めません。じっくりじっくり気を揉ませてくれても構わないし、2巻の最後まで読んでこのふたりのその後をもっともっと読んでいたいと思うのは自然なことでしょう。 ただ、本作はその先に待ち受ける無限は読者の想像に委ねられています。それもまた一興。 1巻だけ読むと別の意味で悶えると思いますので、この機会に2冊まとめて買い、一気に読むことを推奨します。