電書バトマンガの感想・レビュー178件<<12345>>ジョークと思うことなかれ、真剣に恐ろしいショートショートえれほん うめざわしゅんstarstarstarstarstarさいろく奇才うめざわしゅん先生のとんでもないショートショート。 ただ「恐ろしい」というのは全てには当てはまらず、解釈次第である。 趣味趣向の偏向でオタク文化を切り分けたまま極端に育てたらどうなるか、といったような第一話。 ©、いわゆるコピーライト。それはその人名あるいは団体名が保持する著作権物である事を示すが、全てが著作権(IP)に守られていたらどんな未来かを揶揄しながらもさらに捻られまくった第二話。 そして一人の人間として認めるのはどこから?人権って何?というのをもしこうだったらどうなるか?というめちゃくちゃ考えさせられる第三話。 最後に、エピローグ。これも皮肉りまくってて面白い。 余談というかアレだが、自分自身これまで社会で生きてきて、「ただ声がデカいだけの人」というのが10年ほど前までは本当に大手を振っていたが、徐々にそういった社会が変わりつつあることを実感している。 未だに偏った人たちによる意見というのは目立つものだが、よーく考えてみるとそれらの意見は非常にマイノリティなもので、要するに普通じゃないですアピールであったりかまってちゃん的なアピールとなんら変わらないという解釈も出来てしまう。私がそう思っているとは言わないが、そういう事だろう。 うめざわしゅん先生の作品は割とそういった風刺が効いたものが多く、皮肉ってるだけではないものの、読者はある程度「自分でモノを調べる事が出来る」ぐらいの能力(教養?)を必要とする。 また、あえてやってるのにそのまま一本描ききっちゃうから途中から自然すぎて忘れてしまうが、多くは模写から始まる。北条司、藤子・F・不二雄のようにわかりやすいものから最近の漫画家のものまであって、それはそれでわかると(これはリスペクトだと思うが)とてもおもしろい。 本作はとにかく最高である、というのは言えよう。ショートショートは得てしてこういう不気味さが必要だ。終わらない世界線で歯並びを整えるお話歯くん 小児歯科矯正物語 西島大介野愛世界は終わらないし、ぶっ壊して投げっぱなしにもならない。ただ西島先生のお子さんの歯並びが整えられていく世界線がある。 とても平和な小児期歯列矯正エッセイ漫画です。 子どものうちから歯列矯正させた方がいいよね、させてるとこの親御さんえらいわ〜お金もあるんやろな〜 的認識を改めました。 美醜にも健康にも関わることだからやった方がいいけど、お金以外にもいろいろ葛藤があるんだなあと。 歯が出てて舌たらずになっちゃってるのもかわいいじゃん!みたいな親バカ目線もあるのね。 全然違う話だけど、私は歯並び悪い人好きなのでわかる気がする。たしかにかわいい。 親でもないし歯列矯正したことない、ただ西島大介作品が好きなだけの私からすると、西島先生がちゃんとお父さんであることに感動を覚えました。この世界線はぶち壊しちゃだめなやつだ。正体は言い過ぎ殺人犯の正体 鍋島雅治 岩田和久hysysk実際にあった残虐な事件の内容や、それに至る流れが描かれている。正体と言うのであれば事件前後の部分にもっと焦点を当てて欲しかった。情状酌量の余地がない犯人もいれば、社会の構造が生み出したとも思える犯人もいて、やり切れない気持ちになる。 第一話の一家支配解体殺人事件は『闇金ウシジマくん』の「洗脳くん」編のモデルにもなった事件。これと第二話の愛犬家連続殺人事件に関しては巻き込まれて加害者側になってしまった人が不幸過ぎる。とにかく悪い人間に目をつけられると自分も加害者になってしまう可能性があると思うと怖い。道徳だけではどうにもできない。 第八話のホームレス襲撃事件もひどい話だが、これだけで「今そうした子どもたちが確実に増殖している」という結論になるのは違和感を覚えた(ここ20年くらいで少年犯罪の件数も率も減っている)。 事件がきっかけで法律が変わったほどの話もあり、良くも悪くも人間の想像力の限界を突きつけられる。しかし法律が整ったとしても社会が自動的に規律正しくなる訳ではないし、監視を強めたり、ましてや犯罪を起こしそうな人間を排除することは解決ではないだろう。読後感は悪いが、人間がここまで酷くなれてしまうこと、一体社会がどうなっていれば止められたのかなど、考えるきっかけになると思う。受け入れられないぶん祈りたいこの小さな手 郷田マモラ 吉田浩野愛完全なるフィクションだったらよかった、原作者と切り離して読むことができたらよかった。 事件のことを描くわけにはいかないのも、漫画として読みやすく成立させなければいけないのもわかるけど、なんだか受け入れきれないでいる。 作中の主人公も相当に愚かな男だ。 自覚ないまま親になってしまい、子どもが産まれても変わらずにいる。 妻が事故で意識不明になって、やっと妻の苦労に気づく。子どもを施設に預けてしばらく経って、やっと父親の自覚が芽生える。 完全なるフィクションだと思って読んでいたら腹が立つほど愚かだけど、逆に原作者の人となりと結びついて納得できる。 どんな悪い人もだらしない人も優しさや悲しさを抱えている。傷ついても傷つけても人は絶対にやり直すことができる。 それは当たり前だけど、当たり前だからこそ受け入れられないこともある。 子どもを思う気持ち、妻を思う気持ち、そこは真実なんだろうなあ。だからこそやるせないなあ。 わたしは郷田マモラの作品が好きだ。弱くて傷つきやすくて優しい人なんだと思っている。 傷ついた人も傷つけた人もみんな傷が癒えますように。優しいままであり続けられますように。やり直せますように。 「新人クルマ営業×釣り」平成下関ライフ!海峡ものがたり ジョー指月 石川サブロウたか※ネタバレを含むクチコミです。大人になってからの心許せる友達一丁目の心友たち 大久保ヒロミPom 大阪から東京の社宅に越して来たゆみこと、社宅に住む女性達とのお友達(?)物語。 読んでいる限り、大変そう。。 人間関係が濃いし、見られてる感がすごい。。 そんな生活の中でも、心許せる友達と呼べる人ができるのなら楽しいのかもしれないなと感じたお話しでした。 みんな、扉の奥で色々抱えてるんだなぁ。 戦災孤児を扱ったヒューマンドラマ晴れた空 半村良 石川サブロウマンガトリツカレ男確かコミックトムで連載していたが当時とタイトルが変わってる気がする。 あらすじは第二次世界大戦の東京大空襲などで親を失った戦災孤児が生きていく話。戦後の浮浪児狩りや闇市の話があり知らない面も多く興味深い内容だった。途中から少しサスペンス要素も入ってくるが最初から最後まで面白い内容だった。「母の曠野」といいこういう感じ好きだな 最高にかっこよくて小さいヤクザの話ピンキーは二度ベルを鳴らす うめざわしゅん野愛ハードボイルドで小さいヤクザ・通称リトルピンキーがひたすらにかっこいいお話。 トラブルを抱えた美女を救う勧善懲悪ストーリーだけど、ただのお人好しヒーローではないところがたまらない。 ぶれない美学があって、ハードボイルドでクールで洒落ていてひたすらにかっこいい。 「生き方を学んでから生まれてくる奴はいない。皆生きながら学ぶんだ。」 「俺は…惚れた女は抱ける。軽蔑する女も抱ける。だが…尊敬する女を抱くのはむずかしい。」 ピンキーの台詞全部がとにかくかっこいい。日めくりカレンダーにしたい。 ストーリー自体も痛快で面白いし各話の美女達も魅力的なのに、何回読んでもピンキーかっこいい…!以外の感想が出てこない。 読んだら間違いなくピンキーに惚れる。絶対。いつか有害図書になったら素敵えれほん うめざわしゅん野愛こんなんあり得ないとは言い切れない絶妙なラインを突いてくるお話。 声の大きいもの順に相手してたらこういう世界になっちゃうだろうな、と他人事のように思いました。 どこからが正義でどこからが人間でどこからが侵害なのか考えるのなんて正直めんどくさい。 見える範囲のものだけ見て与えられた情報だけ信じて生きているのを否定できないので、わたしも実質PDバンドをつけているようなもんかもしれません。 とどのつまり「自分で考えなさい」「あなたが感じたようにしなさい」ということなんでしょうが、何も考えず何も感じないで生きるほうが楽な世界だよね的な皮肉も感じました。 いろいろ考えさせられました!ってとりあえず言って逃げたくなる短編集でした。面白かった。1990年代後半に読んでいたらより楽しめそうだった百年の祭り たかもちげんstarstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男宗教マンガの「祝福王」、代打マンガ「代打屋トーゴー」を描いたたかもちげんの政治マンガ。 児島が尊敬してやまないが政治家の倉塚が総裁まであと一歩と迫りながらも、政敵との争いに敗れ、志半ばで病に倒れこの世を去るあと責任を感じた児島が政界に殴り込みをかけていく話で、多分1990年代の政界をもとに新党ブームや自民党分裂を絡みながら話が進んでいく。最初の方は「百年の祭り」や「アジア主義」などフレーズが登場して新しい政治思想などが登場するが最後は、義理/人情/金/過去を駆使してどうやって権力を握るをやっていくのがメインになっていった。13巻の最後にたかもちげんの長文のコラムがあるがiPhoneで読んでいたので文字が細かすぎて途中で断念してしまった... お嬢様がウォーキングに目覚める!モヤモヤ・ウォーキング 富士宗孔名無し運転手付きの車で送り迎えの通学が当たり前だったお嬢様のヒカリが、ウォーキング部に出会うことで、いままで見えなかったもの知らなかったことを知ってゆくという話。 あまり商業マンガ的なノリじゃないので退屈かな?と思って読み始めましたが不思議と最後まで楽しく読めました! ウォーキング部って歩くだけなのでめちゃくちゃ地味なんですけど、このくらい若い時からウォーキングの楽しさに目覚めてたら楽しかっただろうなと思いました。ほのぼのおフランス妖怪昔話 #完結応援ゴルゴラ クリストフ・クリタ名無し新刊で見つけて表紙の妖怪のデザインがよかったので読んでみたらすごくいい「漫画」でした。1話ごとに神話や伝承に基づいたフランスの妖怪を取り上げ、それに翻弄される人間たちが描かれるのですが、妖怪のビジュアルが素敵なのもさることながら、1話のまとまりの良さが素晴らしく、またナレーションが「フランス昔話」な雰囲気を出していて非常に読みやすかったです。フランスの九井諒子という感じ。 それぞれの時代の町並みや服装が解像度高く描写されているところがまた日本人にはたまらないです。 20世紀に憧れるロワール川で船乗りをしているじいさんといたずらっ子な妖怪。 親の反対を振り切ってパリに上京した娘のアパートを尋ねる母親。 フランスのカウボーイ「ガーディアン」と3人の死神たち。 妖怪が切り盛りする民泊(オーベルジュ)。 スペインとの国境ピレネー山脈でともに育った密輸人と税関捜査官。 …などなど、フランス全土を舞台にその地域の特色を反映した物語が盛りだくさん。 元ネタとなった伝承やその地方についての解説が各話ごとにあって読み応えがあるところもすごく良かったです。ふざけんななんて絶対言ってやらないアトモスフィア 完全版 西島大介野愛西島大介はとんでもなく悪いやつだ。なんとなく恐ろしくて意味があるのかないのかもわからないけれど、雰囲気だけだろと言い切る勇気すら奪うような作品を生み出すのだから絶対に悪いやつだ。 なんて、全部全部言いがかりだけども。 ある日、わたしの前にわたしの分身が現れる。恋人も家族も居場所もすべて奪われるけれど、わたしは一切取り乱したりしない。「ふざけんな」なんて絶対に言わない。 わたしは全てを赦しているから。 そこにあるものを受け入れること、赦すことは救いだと思っている。怒りなんて生産性のない感情を手放し、ただそこにあるものを見つめる。自分にとっても世界にとっても正しいことだと思っている。 この考えを手放すつもりはない。そうでなければ自分を保てないと思っている。 この広い世界のどこかで手放した自分が自分として生きていたらどうしよう。 飲み込んだ言葉が、切り捨てた感情が実態を持って生きていたら。殺した自分が生きていて、自分の目の前に現れたら。 そんなことある訳ない。 でも、作品中のわたしだってそんなことある訳ないと思っていたはずだ。 自分は自分である。誰にもわかってもらえなくても自分だけはわかっている。 曖昧にして唯一の揺るぎない真実だと思っていたことを、いとも簡単にぶち壊しにきた。ぶち壊して怖がらせるだけ怖がらせといて、最後の最後は電源をぶちんと切るみたいにぶん投げて終わる。こんな終わり方信じられない。本当に本当に西島大介は悪いやつだ。 でも赦す。 飼い猫「ままごと」が趣味を紹介していくマンガままごとは、ほんのむし。 たからもも。マンガトリツカレ男全くしらない作者だったので試しに買ってみたが予想以上によかった。飼い猫「ままごと」が紅茶/中国茶/料理/アンティークなどにハマっていきいろんな蘊蓄が紹介していくが知識だけのマンガではなく趣味に対する理解が感じられてよかったおもしろかった!ブラックジャックによろしく 佐藤秀峰LM昔、病院の待合室においてあるのを途中まで読んでおり、続きが気になってしまったため再び読み始めた。 若いエリート研修医が、自分が理想とする医者としての志を追うストーリーで、一番印象に残るのは、主人公が当直で重体患者を前に逃げ出してしまったシーンです。小説家とそのファンの束縛百合…私の彼女 南Q太 デルフィーヌ・ド・ヴィガンANAGUMAときいて飛びついてしまったのですがことはそう単純ではありません。 ベストセラーを書き上げたあと、スランプに陥った主人公の小説家・ユウが出会ったのは自身のファンを名乗る不思議な女性・エル。お互いの悩みや身上を打ち明けるうちにふたりの距離はどんどん近づいていき、エルは書けなくなってしまったユウに対してゴーストライターを申し出ます。 生活と創作の両側面に入り込んでくるエルの存在。ユウは心身ともに大きく揺り動かされることに…と途中からヤバそうな空気がじわじわ漂い始めて読むのが止まらなくなりました。 ふたりが支え合っている姿に心を温められつつも、何が起こるのか常にゾクゾク…というふたつの意味で目が離せません。 ユウに度々送られてくるストーカーらしき手紙や、エルの性格の掴みどころのなさが洋画テイストといいましょうか、サスペンスの緊張感を演出していてよいです。この辺りの味わいはもしかしたら原作小説の『デルフィーヌの友情』からきているものなのかも? とはいえあとがきにもあるように原作とは物語の進め方がかなり違っているようです。『デルフィーヌ〜』そのものがまさに作家の自伝風に書かれた小説らしく、ユウのキャラクターとも重なってくるところがあり、こちらもどんな作品なのか読んでみたくなりました。 救いにも呪いにもなる曖昧な定義、家族ぼくの家族 南Q太野愛子どもがいる男女が結婚し、一緒に暮らし家族になっていくお話。 家族ってものすごく曖昧で不安定なコミュニティだ。夫婦なんてそもそも他人同士で、離婚するという権利も与えられている。離婚したら子どもは父と母どちらかと離れることになるし、再婚したら父か母が増えたり兄弟姉妹ができたりするし。 離れてようが血縁があろうがなかろうが、全部含めて家族である。家族じゃないよと突き放す権利もたぶんある。 同じ境遇、同じ立場でも、同じだけ相手を思いやるのは難しいこと。相手の過去や親族との関わり方。血が繋がってないから、あるいは繋がってるから生まれる距離感。 家族にならなければ見えてこないもどかしさがリアルに描かれている。 最後は駆け足でハッピーエンドに向かっていった感があるけれど、許せないことも理解できないことも含めて、受け入れようと思えるものが家族なのかなあと感じた。 救いにも呪いにもなるようなテーマだからこそ、あたたかく終わってくれて嬉しかった。うめざわしゅんのデビュー単行本ユートピアズ うめざわしゅん名無しデビュー単行本はこちらですが、これ以前の作品は「パンティストッキングのような空の下」に収録されています。まだまだ荒削りなところが「パンティストッキング〜」にはありましたが、「ユートピアズ」は安定感が増してますね。うめざわしゅん流SF(少し不思議)な短編集といったところでしょうか。この後には「一匹と九十九匹と」を描かれていて、どうしても傑作の間に挟まれて影が薄くなっていますが、うめざわしゅん好きだったら読んで損はないと思います。ゆるくてゲスいはおもしろい派遣OLローテーション!! 藤真タケシ野愛結局のところゆるくてゲスいのがいちばん面白い。心からそう思っているし、なんなら自分もそういうひとでありたい。 ハル・カオリ・マキの派遣OL3人が仕事中暇な時間にどうでもいい話をするだけの漫画です。シフトの組み合わせ上、3人が揃うことはありません。 2人だからちょうどよく話が盛り上がったり盛り下がったり組み合わせの妙が楽しめます。 リアルなガールズトーク的なゲスさじゃなくてエグいけど雑な感じの下ネタが多くて好きです。マキちゃんすぐキン○マの話するし。 絶妙にディスりあったり噛み合わなかったりすることもあるし、超仲良しって感じじゃないところも好感が持てますね。適度な距離感保ちつつキン○マの話できる同僚って最高。 続編ではないけど大人になった宝くんにも会えるひらけ駒!return 南Q太かしこ「ひらけ駒!」の続きかと思って読み始めるとそうではないのでガッカリするかもしれない…。これは途中で連載が終わってしまったことに対する南Q太先生のリベンジなんだと思います。最初は主人公の宝くんが将棋にハマり出した頃から始まるので「ひらけ駒!」と内容が重複してしまうのですが、2巻の後半くらいから宝くんが中学生になり奨励会の入会試験を受けるエピソードが始まります。あとがきには『思い描いてたところまで描けました』とありました。実際に南Q太先生の息子さんが将棋をされているそうで、最終回は現実とリンクするところがあったんだろうなと思いながら読みました。しみじみ。将棋のルールを知らない人にこそオススメ!ひらけ駒! 南Q太かしここれって南Q太先生の初めての週刊連載だったんですね!その週刊連載が大変だったことは「ひらけ駒!return」のあとがきに書いてありました。力作揃いの週刊モーニングでは不評だったかもしれないけど、私としてはすごく面白かったので8巻で完結されてしまったのは残念です。まだ幼稚園に通ってるくらい小さい子がとっても強かったり、ふんわりおっとりしてて美人な女流棋士さんがめっちゃ強かったり、印象的だったあのキャラクター達はあれからどうなったんだろう…と気になってしまうことはたくさんあります。でも、今までルールも知らずに色んな将棋マンガを読んできた私にとって、初めて自分も将棋をやってみたいと思った作品でした!主人公の宝くんのママが見よう見まねで将棋を覚えてハマっていく姿を見ていたらマネしたくなり、今はアプリをダウンロードして勉強しています。将棋が強い子は「算数が得意!」とか「頭がいい!」なんてイメージがありましたが、宝くんを見ていてそういう自分の思い込みが払拭されていくのが快感でした。何かに熱中することのドキドキと挑戦することのキラキラを味わえます!裏社会の日常を覗いているようで面白い新のぞき屋 山本英夫名無しのぞき屋は好きで読んでいたけど、タイトルに「新」がついているのが出ていることは知らなかったです。盗聴器を仕掛けるシーンなどハラハラしながら読める内容です。 それぞれの愛の形椿-Camellia- ひうらさとる野愛その人がどうやって人を愛するかを本当に描こうとするならば、その人のルーツも描かねばならない。社会での在り方、家族との関係、どのように生まれどのように生きてきたのかまで描かねばならない。 などと、ひうらさとる先生が思っているかどうかは知らないけれど、短い作品の中でも人生を描こうとする気概みたいなものを感じた。 お話自体はすごく短いけれど、恋愛だけじゃない愛の形を見せてくれた。とにかく動物の絵の緻密さがすごいオレの瞬間 石川サブロウ名無し『オレの瞬間』全4話 ・野生のヒグマ ・イリオモテヤマネコ ・本当のハヤブサ ・最後の捕鯨 動物カメラマンを目指す単純でしょうもないお調子者の青年の話。1話のヒグマVSヒグマと、最終話の1986年のIWCによる捕鯨禁止を受けての最後の鯨漁が迫力があって面白かった。 『天と大地と』 校内で喫煙ポイ捨て、女嫌いで喧嘩三昧というゴリゴリのツッパリという兄の天と、東大も狙える学校始まっての秀才という弟の大地の話。 弟が兄が惚れた女の子を偶然奪ってしまい、なんやかんやあって喧嘩に巻き込まれボコボコにされたところに兄が現れ、弟にハッパをかけつつ助けてくれる。 喧嘩上等を地でいく世界観でまるで異世界だった。 『遠い路』 うだつの上がらない26歳の会社員が主人公。野良犬・シロを拾ったことで運が向き始め会社で昇進・結婚を掴むが、妻が犬嫌いだったため泣く泣くシロを手放すと全てが上手くいかなくなる。譲り先の北海道まで会いに行くと、シロはなんと脱走していて主人公の家まで足を血塗れにしながら戻ってきていた。 26歳独身が30年ローンで一軒家を買うというシーンに時代を感じた。<<12345>>
奇才うめざわしゅん先生のとんでもないショートショート。 ただ「恐ろしい」というのは全てには当てはまらず、解釈次第である。 趣味趣向の偏向でオタク文化を切り分けたまま極端に育てたらどうなるか、といったような第一話。 ©、いわゆるコピーライト。それはその人名あるいは団体名が保持する著作権物である事を示すが、全てが著作権(IP)に守られていたらどんな未来かを揶揄しながらもさらに捻られまくった第二話。 そして一人の人間として認めるのはどこから?人権って何?というのをもしこうだったらどうなるか?というめちゃくちゃ考えさせられる第三話。 最後に、エピローグ。これも皮肉りまくってて面白い。 余談というかアレだが、自分自身これまで社会で生きてきて、「ただ声がデカいだけの人」というのが10年ほど前までは本当に大手を振っていたが、徐々にそういった社会が変わりつつあることを実感している。 未だに偏った人たちによる意見というのは目立つものだが、よーく考えてみるとそれらの意見は非常にマイノリティなもので、要するに普通じゃないですアピールであったりかまってちゃん的なアピールとなんら変わらないという解釈も出来てしまう。私がそう思っているとは言わないが、そういう事だろう。 うめざわしゅん先生の作品は割とそういった風刺が効いたものが多く、皮肉ってるだけではないものの、読者はある程度「自分でモノを調べる事が出来る」ぐらいの能力(教養?)を必要とする。 また、あえてやってるのにそのまま一本描ききっちゃうから途中から自然すぎて忘れてしまうが、多くは模写から始まる。北条司、藤子・F・不二雄のようにわかりやすいものから最近の漫画家のものまであって、それはそれでわかると(これはリスペクトだと思うが)とてもおもしろい。 本作はとにかく最高である、というのは言えよう。ショートショートは得てしてこういう不気味さが必要だ。