あさな君はノンケじゃない!

ゲイの“日常”を知る

あさな君はノンケじゃない! あさなさくま
nyae
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性的マイノリティに対して差別したくないと思うと、どうにか理解しようと頑張って、言ってはいけない言葉を覚えようとしたり、腫れ物に触るような対応をしてしまったりと、お互いに居心地の悪い思いをしてしまうのでは…(という心配をしてしまう無限ループ) 身近に該当する人がいないと、ひとりでそんなことを考えてぐるぐるしてしまう。 そんなときに読んだこの漫画は、少し心が楽になったのと同時に、良い教科書にもなりました。 性的指向などに関わらず、もちろんノンケでも、どんな人にも日常があって、その日常を侵害する権利は誰にもない。そしてこの世に「当たり前」のことなんてない。その人が好きなもの・嫌いなものが自分と違ってもいいし、同じだったら気が合うね!って言って仲良くなればいい。個人として付き合えばそれで良いんだなと(あ、でも書いてることは「当たり前」のことだな…)。 この漫画を描いてるあさなくんはゲイだけど、タイトルは「ノンケじゃない」。つまり、「君は〇〇だ」とカテゴライズすることがもう遅れてる。ノンケじゃない(自分とは性的指向が何かしら違う)、了解。で終わりなんだ!てことかな?と自分は解釈しました。

ライデン

マレーシアは関西だった…!? ヒーロー×宅配の南国ドタバタ劇!

ライデン Zint
ななし
ななし

9月にマレーシアコミックが2冊日本で発売されたときに購入したものをやっと読みました。想像していたものと全然違った! 初っ端から金持ちのおばさんの止まらないゲロで始まることから分かる通り、ヒーローモノでありながら立派なドタバタギャグ漫画でした。表紙詐欺〜〜! https://natalie.mu/comic/pp/inboundcomic https://www.cinemart.co.jp/article/news/20201001003282.html 絵のデフォルメの感じが独特。日本の漫画っぽさと、西洋風のお洒落な線画アートっぽさがいい感じで混ざっている。 描き文字の効果音はアメコミ風の英語なんだけど、登場人物たちは小気味よい関西弁で喋り…と、多国籍感が半端ない。 タイ人のキャラが喋る時、セリフの最後にずっと「(タイ訛り)」がついてる演出も面白かった。 学校を卒業してから36回仕事をクビになったというロン毛でロックな雰囲気ただよう主人公のキングがある日突然、ビッグJCというおっさんにヒーロー「ライデン」にされてしまい、ライデン運送という「手紙以外何でも運ぶ配送屋」で働くことになるところから物語は始まる。 ライデンの前には常に「ジャカフ」という敵が立ちはだかるのだけど、このジャカフが生まれた経緯が面白い。 ジャカフは元配送屋で、強盗に襲われ会社に戻ったら仲間は誰も信じてくれず悲しみのあまり自殺、恨んで化けてこの世に戻り会社を燃やす。みかねたジャカフの相棒・コディスが彼を止めようと、黒魔術師に頼んで超能力をねだり「ライデン」となる。その2者の戦いは子孫へと受け継がれながら続いており、ビッグJCこそがその子孫でキングの前のライデンなのだという。 配送屋から生まれたヒーローなので、キングのまわりにはライデンの相棒だったという喋る宅配ボックス・メイシー(女)や、元馬のバイク・フラッシュ(男)など不思議なお助けキャラがいるところが魅力的。 他の海外マンガと同じく、読み始めて作品になれるまでちょっと時間が必要でしたが楽しく読めました。先がどうなるのか全く読めないので気になります。 https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_CW01201874010000_68/

鳴かせてくれない上家さん

麻雀文化の広がりを確かに感じる麻雀ラブコメ

鳴かせてくれない上家さん 古日向いろは 更伊俊介 内川幸太郎
兎来栄寿
兎来栄寿

2018年にMリーグが発足してから早2年経ちますが、そのお陰もあってか今世間で再び麻雀が盛り上がっています。3シーズン目を迎えた今年は視聴者数も100万人を突破。とある大手企業では全自動卓の売り上げが4倍にもなったとか。 『咲-Saki-』のように世界の競技人口が億単位になるにはまだ暫くかかりそうですが、それでもノーレートの健康麻雀が老若男女問わず広がりを見せ続けているのは確かです。 となれば、当然マンガ業界にもそこ人気は波及して新しい麻雀マンガが生まれます。『鳴かせてくれない上家さん』は、『一色さんはうまぶりたいっ!』と並んで今注目の麻雀ラブコメです。 作画を担当するのは『バガタウェイ』や『サクラクエスト』の古日向いろはさんということで、女の子のかわいさはお墨付き。メインヒロインの後輩キャラ・上家さんはもちろんのこと、同級生で黒髪ポニーのお嬢様系ヒロイン筒井さんが個人的に推せます。 上家さんの奔放な行動や笑顔に翻弄されつつ、相手が自分のことをどう思っているのか、これから先どうなるのかドキドキするラブコメ分と、「鳴かせてくれない」にフィーチャーした麻雀分、どちらも詰まっていて一粒で二度美味しいです。 監修にはしっかりMリーグ所属の内川幸太郎選手が入っているのもポイント。巻末のおまけマンガでは、古日向さんが元々麻雀を解らなかったもののMリーグを観るようになってハマったというエピソードもあり、麻雀好きとしてはこうして麻雀文化が根付き広がっていくのは嬉しいなぁとしみじみ読みました。

保健室のせんせい。

男性養護教諭は「信頼」が命!

保健室のせんせい。 水島ライカ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

全国4万人の養護教諭の内、男性は百人に満たないという事実に、驚く反面納得もする……だって見たことないもの。そんなレアキャラ、新任の男性養護教諭の日々の奮闘記。明るくも緊張感の漂う、真剣な作品だ。 主人公は常に周囲からの「信頼」を得るために、気を配ることになる。 当然女子児童との関わりは酷く神経を使うが、そうでなくても児童の心と向き合い、信頼を得て悩みに寄り添う行程は、繊細で難しい。そのプレッシャーにハラハラしてしまう。 更には同僚や、男性医師等からも懐疑の目を向けられるとなると、心の休まる時がないなぁと、かわいそうなくらい。しかし彼のモチベーションと誠実さで、次第に周囲と歯車が噛み合ってくる時の喜び! 登場する子供達は、決して暗い性格ではない。普通だったり、明るかったり、しっかりしていても、それぞれに悩みを抱える。子供が抱きがちな痛みに共感してしまうし、それが救われる様は自分ごとみたいに嬉しい。 大人も子供もスマートな美形キャラで貫かれているので、暗さや生々しさがない(主人公・同僚・保健医の美男スリーショットが素敵♡)。美麗なイラストを気軽に楽しみながらも、大切な事を教えてくれる内容に、心を掴まれた。 (取材、参考文献も充実。安心して読める)

無敵の未来大作戦

冗談じゃなく本気(マジ)で全人類に読んでほしい! #1巻応援

無敵の未来大作戦 黒崎冬子
nyae
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まず試し読みだけでもしてほしい。それで面白いと思ったら、気づいたら1・2巻ポチッとしているはずです。これは絶対。 これは簡単にいうと少子化対策で打ち出された「聖婚」という制度によって、結婚とは?愛とは?そして、自分の幸せとは?を考え、見つけ出す物語です。表面的にはわちゃわちゃおふざけして小ネタの大渋滞が起こってるから思いっきり笑えて楽しいんですけど、芯の部分では社会問題(少子化、児童の貧困、性差別、ルッキズム思想などなど)に真摯に向き合っていて、信念を持って描いているというのが伝わる本当に素晴らしい漫画です。フキダシ外の手書き文字すらも一文字も見逃せない。作者の愛に溢れた作品。 わたしはコミックビームの連載が始まったときからずっと、たくさんの人に読んでほしいと思って単行本を待ち望んでいましたが、結構な焦らしを経ていま、満を持して1・2巻同時発売したこと、通して読んで理由がわかった気がします。 もちろん試しに1巻だけ…というのもアリですが、1巻を読んだが最後、2巻を読まないという選択肢は無いでしょう。これも絶対。 このマンガがすごい!をはじめとした漫画賞でこの表紙を見る日は遠くないと確信しています。大好きです。 連載では毎号しつこいくらいにファンレターを募集してるところもほんと好き。

高機動無職ニーテンベルグ

働きたくない思いを戦う力に変えて

高機動無職ニーテンベルグ 青木ハヤト
ANAGUMA
ANAGUMA

「働かずに食べるメシはうまいかっ!!N.E.E.T.ッ!!」「美味しいですよ!!」 ロボット作品の開闢以来、戦闘中のコックピットで発されたセリフの中でも相当上位の切れ味を誇るのではないでしょうか。せめて少し迷ってほしい。 開幕のこのセリフが象徴するように、本作は働くことと働かないことをめぐり、命懸けで戦うパイロットたちの姿が描かれます。 主人公の不動遊(無職)はひょんなことからデスマーチ軍に抗う存在、無職同盟(リガ・ジョブレス)に加入し、黒い人型兵器(ワークマン)・ニーテンベルグに搭乗。彼の「働きたくない」思いとともに、世界の命運をかけた社畜と無職の戦いが幕を開けるのでした。全部マジです。 ロボットもののテンプレートに乗せて一貫して働く者と働かざる者の対比が描かれるのが最高に笑えるポイントです。 レジスタンスに加入してもぐだぐだしている遊に比べて、ライバルのワーカ・ホリック大佐が社会人としてまともに見えるのも読んでいてじわじわくるところ。本当に倒すべき敵なのか彼らは…? イカれた設定が繰り広げられる中でメカの作画やバトル描写はすごくカッコイイのが更に面白い。ちゃんと機体のパワーアップとかもあってロボットものの楽しさも味わえますし、物語自体は王道の熱さを備えているのがすごいです。 ガンダムのパロネタ(※超秀逸)だけではない「自由を求めて戦う」という重厚なテーゼが奥底に織り込まれているのが本作の魅力なんでしょうね。実際には労働から逃げているわけですが。 働きたくね〜と思った時に読むと元気が出るのでおすすめです!

私のジャンルに「神」がいます

全ての創作物に感謝したくなる

私のジャンルに「神」がいます 真田つづる
六文銭
六文銭

話題になって読んだが、特定のコンテンツにのめり込んだような経験がある人にはあるある的な内容だと思います。 自分は創作まではいきませんが、のめり込んだ先に色んな人のレビューや別の角度でとらえた新説なるもののブログ、はては二次創作の作品まで深入りした経験があるので、よりしっくりきました。 さて、本作の内容ですが、二次創作(BLジャンル?)界隈で才能を輝かせる綾城(あやしろ)とそれに触発された読者をオムニバス形式で展開し、加えて「おけけパワー中島」というSNS上で綾城と絡んでくる謎の存在がシリーズ通してでてくるというのが基本の流れ。 綾城という彼女の読者(というか信者)にとっては神的存在に、「おけけパワー中島」が馴れ馴れしく接する姿が、良い感じでイラッとさせるんです。 特に、文面上でしか出てこないという、その不気味さも残しながら人間味もある感じが妙にリアル。 また 「おけけパワー中島」 という、一度聞いたら忘れられないネーミング! たまに、SNS上でセンスフルなネーミングの人いますけど、そういう感じなんだと思います。 綾城に触発され創作意欲を燃やす人、嫉妬する人、綾城に会いたがる人など色んなパターンの悲喜こもごもが描かれ、読んでいて自分の中にある人格の全パターンが網羅されている感じ。 オタクとしては共感の嵐です。 創作の苦しみや喜びを感じるとともに、作家様の創作物を拝ませていただけるということのありがたさを痛感する作品です。