KADOKAWAマンガの感想・レビュー2722件<<7273747576>>残酷な世界は二人を祝福するか?ささめきこと いけだたかしあうしぃ@カワイイマンガ百合作品には大きく二種類あります。一つは女性ばかりの世界で、同性愛が当たり前とされる物。もう一つは異性愛者が多い世界での同性愛を描く物。『ささめきこと』は後者です。 『ささめきこと』は同性愛を「異質」とする、少し古く見えて今もそう変わらない現実世界を描きます。愛らしいコメディタッチの中に、時折キツい正拳突きを繰り出します。 女子に恋した主人公は、空手の猛者で可愛さとは無縁。主人公が恋した女子は同性愛者で、その事で傷ついた過去を持つ反面「可愛い女子が好き」と公言して主人公を傷つける。 さらに同性愛に理解の無い人、興味本位な人は二人を傷つけ、そして浮かれた味方も二人をかき乱す。しかしそんな人々は決して「悪い」とは描かれません。 一方傷つきたくなくて相手に踏み込まない二人はもどかしいけれども、その大きすぎる傷を想像すれば致し方ない。臆病な二人もまた「悪くない」のです。 誰も悪くないのに、無理解と無遠慮に満ちている。そんな現実世界を描く、残酷な作品です。でもその残酷さの果てにはどんな恋愛漫画よりも大きな感慨と、本当は「悪くない」周囲の人々の祝福が待っているのです。空気読みすぎOLと何が起きても感情が一定おじさんの恋殊子とおじさん 縁と月日 水島ライカnyaeうーわ…すごい良かった良すぎた… 表紙には主人公の殊子しかいないのでぱっと見はなんの漫画か分かりずらいと思うんですけど、最高にキュンな恋愛漫画ですからねこれ… 殊子が恋する“おじさん”こと高山さんは、じつは記憶喪失の真っ只中。体はでかいけどとにかく優しくて何事にも動じない、よく分からないけどめちゃ強そうなことだけは確か。 ふたり以外のキャラもいい味出してます。 高山さんがお世話になってる喫茶店の店主の女性。とにかく謎な人だけど殊子の味方。 殊子の会社の上司・礎は殊子が怒らないのをいいことに毎日ちょっかい(というかいじめ?)の標的に。なんだけどどこか憎みきれない。 主人公が人の感情を読み取りすぎてしまうために、いつもぐるぐる考えすぎているのに対し、高山さんの“the・凪”な佇まいの対比が面白い。 最後、高山さんは記憶を取り戻すことができるのか。そしてふたりの関係は…??? 今いちばん多くの人に読んでキュンしてほしい漫画です!!(キュンの使い方合ってるかな…) #1巻応援垢抜けない感じがいいタイムスリップ漫画未来人サイジョー いましろたかしnyaeアシスタント先の漫画家が急死し、田舎に帰ろうとする道中になぜかタイムスリップ。偶然出会った漫画家志望の青年に世話になり、お返しに漫画の指導を行う… 慌てず、いたって冷静に自分が置かれている状況に対応している様が、おじさん的な落ち着きを発揮していてグッときます。 果たして、なぜ彼はタイムスリップしなければいけなかったのか、この青年との出会いがこの先どう影響してくるのか…全体的に垢抜けない地味な感じなのですが、目が離せません! 塞がった気持ちを解きほぐしてくれる本眠れぬ夜はケーキを焼いて 午後名無しツイッターで漫画を見た時からいいなと思ってました。 すごく癒されて安心する本ですね! 主人公が夜中にケーキを焼いたり料理を作ったりする話。 そのままですが作風からかほっこり安心した気持ちになります。 料理本もエッセイ本も兼ねているような感じ! 本棚に一冊入れておいて、ねれなくなった時にパラパラと読んでみるのに丁度いい一冊だと思います。 近藤ようこ先生も月刊ASUKAで描いてたんだ!水の蛇 近藤ようこstarstarstarstarstar_borderかしこ80年代に月刊ASUKAに描かれた4作品が収録されています。表題作の「水の蛇」は少女から女性になることの葛藤がテーマなんですが、これが少女雑誌を読んでる女の子に向けて描かれたものなんだと思うとドキッとします。自分が思春期に月刊ASUKAの読者としてたまたまこの作品に出会っていたら、頭ではまだ理解できないかもしれないけど心には深く刺さっていたはずです。後半にはビッグコミックに描かれた4部作が収録されていますが、やっぱり掲載誌によって作品の雰囲気は全然違いますね。めちゃくちゃクール。…ロスト・ラッド・ロンドン シマ・シンヤymzkrmめちゃくちゃクール。表紙も、1巻のカラーのシックさも、台詞の温度感も、人種に関してポロッと出る一言も、素敵すぎて一目惚れしました。 荒っぽくてシンプルで潔くて癖になる線の抜き方、それを補うトーンの使い方、建物の陰影、黒と白とトーンの三色のバランスが絶妙で1ページ、いや1コマかっこいいぃぃ。 エリス警部とアルのやりとりも好きです。 続きが気になる! とにかくかっこいい。…北北西に曇と往け 入江亜季ymzkrmとにかくかっこいい。線が美しい!硬派で媚びてないシンプルな全身のコマも好きだし、アップになった時の綺麗さったら、もう。5巻、特に37話、リリヤが音楽を奏でるシーンは言葉が無くても魅せられます。一体どんな音だったのか。聴きたい…‼︎ あと三知嵩の「何からやる?」に萌えた。末恐ろしい子です。 あと人物の表情が豊かで、流し目というか、視線の持って行き方がしびれます。好きです。 あと表紙と目次の間の遊び紙?が灰のようでかっこいいです。たまらん。 君はこの特殊すぎる設定について来れるか!?彼誰インソムニア 多田基生名無し※ネタバレを含むクチコミです。ゆるいオフィス・ラブコメうちの上司は見た目がいい 山崎ハルタ六文銭『ヲタクに恋は難しい 』と雰囲気が似ており、なんといいますか、ふわっとしたラブコメです。 自分、この手のジャンル好きなんですよね。 少女マンガとか、たまに己の魂削って恋愛している漫画ありますけど、 そこまで濃厚だと読むのにちょっと疲れるんですよね。 本作もそんな感じで、日常系っぽいゆるさが良いです。 絵もきれい。 見た目が良い上司と、できの良い後輩。 互いに、少し気になっている程度で、進展は少しづつといった感じ。 奪った、奪われたなど、あまり波風もないのがグッドです。 それ以外にも、後輩くんと別の部署の(こちらもイケメンな)主任と、合計3組のカップル?がオフィスでゆるゆるとラブコメ展開されます。 それぞれ性格もタイプも異なる感じが飽きさせません。 ほのぼの、まったりしたい時におすすめしたい作品です。休むも歩むも自分で決める34歳無職さん いけだたかしあうしぃ@カワイイマンガ仕事を失った34歳の女性、バツイチ子供と別居……その「無職さん」は、一年間「何もしない」と決めて、安アパートで一人暮らし。 この作品は物語というよりは、生活の描写をひとつひとつ積み重ねる。それは淡々としていながら、かなり心が痛くなる。 仕事の無い平穏なはずの生活は、気楽さの中に意外な程の腹立たしさ。何度も描かれる、ぼんやりした無職さんの小さな失敗。それを見てモヤッとする私も、実は同じ事を日々している事に気付けば……ああ、無職さんは、私だ。 無職さんに大きなカタルシスは望めない。小さな喜びと不幸がランダムに訪れる日々。しかし彼女は暮らしをきちんとしようとして、それが達成できた瞬間「ちゃっ」とポーズを取る。この時、妄念に満ちた私の心に、リアルな身体感覚が蘇る。これは殊の外、清々しい。 ただ普通に生きる事が難しい……無職さんはそう嘆く。独り身でも〈一人で〉生きている訳では無く、人との関わりに苦しむ事からは逃れられない。それでもなるべく自分の在りたい様に、休むも歩むも自分で決める。 そうして人生を自分の物にして脱力している無職さんの在り方は、私の肩の荷を少し、降ろしてくれた。 LINEスタンプのやつだしろまるびより いしいともこ名無しどっかで見たことあるな…と思ったら人から送られてくるLINEスタンプのやつだ。 ただの白い丸なのにキャラクターとして成立してるのすごい。 カナヘイとかすみっこぐらしと見分けるのがちょっと困難だけどこれで終わってはダメなやつ北の女に試されたい 箕田海道名無し絵がとにかく良い。文句のつけようがないくらい良い。ただ、それだけに内容がう〜ん…。結局なんの話だったのかなーとちょっとモヤっとした読後感。2巻以降も続くなら良いけど、表紙に1巻て書いてないしこれで終わりだとすると消化不良は否めない。あ〜キャラと絵がいいだけにーッ!頼むから続いてくれ!! 北海道と北海道の女が好きな女たちが旅しながら女を愛でる話だと思うんですが(なので女しか出てこない)、いろんな要素が詰め込まれてるけど散漫してるように感じてしまったな…。 いやー、でも絵がいいなー。意外性のカタマリみたいな家庭教師人見知り専門家庭教師 坂もっちゃん ぬこー様starstarstarstarstarひさぴよ超が付くほどの人見知り主人公・池野しらすと、家庭教師”坂もっちゃん”の二人が出会い、少しずつ勉強を通じてコンプレックスを克服し、成長していくお勉強コメディ。コワモテの坂もっちゃんだけ別世界のキャラみたいですが、全体的に絵は可愛いくて読みやすいマンガでした。 勉強も生活態度も不出来なしらすに対して、めちゃくちゃ怒ってると見せて優しくも厳しく指導する坂もっちゃんが面白おかしくもあり、同時に教育者として真っ当な意見を言ってたりして、読んでる方も指導されてるようでドキッとさせられます。 作者のぬこー様氏は代々木アニメーション学院の講師をされてる方だそうで、「人に教える」という事柄に関しては、非常に説得力があるように感じました。 ギャグの引き出しも多くて、主にモノローグで突っ込むのですが、地味に本部以蔵(守護れねェ)パロディとか入れてくるのでニヤリとさせられます。 ページ数の薄さ以上に濃い本でした。 沼編…そこは深い深いところ。百合ドリル 奥たまむしあうしぃ@カワイイマンガさすが沼編。作家さんにとっての「沼」を暴きながら、私を百合沼に引き摺り込む、強力な誘引力。 全体の半分を占める「はじめてハマった百合沼」と「今ハマっている百合沼」は、作家さん毎にセットになっていて、各作家さんの「癖」が見える興味深い内容となっています。 続く「三角関係百合」もディープな作品が並び、スイーツ多めな「アイドル百合」「おっぱい百合」と来て、最後の「結婚百合」でかなり重いパンチを受けます。 そこでは同性パートナーに関して多様なアプローチが見られますが、作品下のコメントを読めば作者さん達の本気度……同性婚が受け入れられる世の中への願いが見え、この「百合ドリル」という企画に重みを与えています。 初参戦の先生方が多く、個人的にはまだ作品を知らない先生も結構おられたので、好みの作風を見つける楽しみも沢山ありました。 私の百合は、これからだ! 注:TS百合と銘打った作品がありますので、ご注意を。異世界に飛ばされてイケメンと暮らすことになった件行き倒れもできないこんな異世界じゃ 赤井てら 松井トミー 夏野夜子異世界スキー異世界もの読んでて思うのが飛ばされてもみんな別に帰る方法を探そうとしたりしないんですよね。特に本作は主人公のスミレの適応力が半端なく高く、転移半年後にはギルドの仕事を仕切るまでになっているのがじわじわきました。 自身と同じく森で死にかけていた謎のイケメン、フィカルに懐かれながらのんびり異世界ライフを送ることになります。 ちょっと遠出していたフィカルが実は魔王を倒していたことがわかり騒動になるまでが1巻。何者だこいつ。このまま定住ライフが続くのかどこかに旅立つのかわかりませんが、願わくば幸せに暮らして欲しいですね。亡くなった母の故郷、スペイン・グラナダで始まる新しい生活あかねさす柘榴の都 福浪優子名無し日本人の少年・夏樹がひとりで飛行機に乗り、スペイン・グラナダへ訪れるところから始まる物語。どうやら母親が亡くなってしまい、母の故郷で叔母・アルバの世話になり暮らすことになった様子です。いろいろ違うけど、無愛想な叔母と親を亡くした14歳の少年が世話になるという話なので違国日記を思い出しますね。 地球に実在する場所なのに日本と違いすぎて非現実感があります。 なんかわからないけどワクワクする事が起こりそうな予感がする。楽しみな新連載。 ページをめくるたび美しさでため息をつく乙嫁語り 森薫六文銭物語ではなく、絵を読んでいる感じ。 それでも不思議と面白いのは、この作家さんの唯一無二の特性だと思います。 息を呑むような、美しい木彫り細工とか綿密な刺繍とか、本当にリアルでそれを描く画力の高さに惚れ惚れします。 牧歌的な雰囲気の中(時々、荒々しい面もありますが)、そこで過ごす生活や、人と人の繋がり、ゆっくりと進む感じのストーリーも、本作の魅力です。 まさに「人間」を描いている作品と言えるのではないでしょうか。この人の漫画はいつも面白い。裸足のマジカルホームタウン 木原悠里子名無し※ネタバレを含むクチコミです。「忙しい人向けSHERLOCK」ドラマの完璧なコミカライズ!SHERLOCK Jay. スティーヴン・モファット マーク・ゲイティス名無し軽い気持ちで初めてSHERLOCKを観てみたのですが、あっという間にどハマりしてシーズン3+特別編まで観てしまいました。日曜の夜に観始めるもんじゃないですね。 その流れでドラマをコミカライズした1巻も買って読んだのですがものすごいクオリティ。 ベネディクト・カンバーバッチのあの表情が見事に漫画の絵柄で表現されてるうえ、ドラマにあった場面が構図や俳優のポーズが忠実に再現されている。 映像ならではの「たっぷりとした間」とBGM以外、全てのものが漫画に取り入れられてる気がする。 セリフは字幕と違うとこが多々あるのでおそらく吹き替えに準拠。 推理中に英単語がモーショングラフィックで浮かんでくる表現が好きなんだけど、それが日本語(しかも平凡なフォント)で書かれてたのが、他の部分が完璧なだけに浮いてるように感じた。 ドラマは1話1時間半くらいあるけど、忙しい人は各巻1冊を読めば30分もかからず理解できるのでおすすめです。 バトルもののワクワク感あるリビルドワールド 綾村切人 ナフセ 吟 わいっしゅ cell名無し男の子ってこういうの好きでしょ?要素を詰め込んだファンタジーバトルアクションもの! 幽霊のような、主人公にしか見えないお姉さんが相棒で進んでいきます。 バトルのワクワク感あり、ラノベ主人公特有の最底辺からの下克上ストーリーありの「好き」を詰め込んだ漫画な気がします!死にたがり少女の喰べ頃は… #1巻応援私を喰べたい、ひとでなし 苗川采あうしぃ@カワイイマンガ海辺に暮らす女子高生と、彼女を喰べたい人魚が出会う物語。グロそうな内容にも関わらず、流麗な絵が心地良い。 水面が煌き、纏わり付く水泡が美しい光景の中で、主人公は生きる気力が無い。それ故に人魚に食べられると分かっても、それを受け入れている。無力感と水の浮遊感が絶妙にリンクして、厭世的な気分を共有出来る。 そんな彼女を「喰べ頃」まで守るという人魚は、同じ高校の生徒となる。活きの良い状態にしたい人魚に健康を気遣われ、主人公は元気になるのか?そして食べられる時、まだ死を受け入れられるのか? この無気力な浮遊感に癒されながら、様々な謎が明かされる時を待ちたい。 (愛媛県伊予がモデルとの事ですが、同じ愛媛の『熱帯魚は雪に焦がれる』の様な美しい海辺の光景が見られます)永島慎二先生公認?パロディ漫画家超残酷物語 青春増補版 唐沢なをきかしこ永島慎二先生の「漫画家残酷物語」を読まれたことがある方はぜひこちらもお読み下さい。第1話は登場人物もストーリー展開もそっくりなパロディ作品です。かなり下ネタが多いですが、クオリティーが高くて感動しました!第2話からは永島先生風のキャラクターが登場するオリジナルストーリーになっています。なぜかオチが日野日出志のパロディになっていたり、新トキワ荘を名乗る若者達が登場したりして面白かったです。唐沢なおき先生の元版と新版のあとがきと、評論家の呉智英さんの作品解説も読み応えがありました。 最強村人、幼馴染の勇者を守る村人ですが何か? 鯖夢 白石新 マイクロマガジン社 白蘇ふぁみ六文銭ありていにいうとそういう話。 異世界系は数あれど、転生時点でチートスキルをもらい、それを軸に無双していく。 異世界系では、ある種定番で様式美すら感じる展開。 本作も基本はその路線なのですが、2回ほど転生し、スキル「不屈」を手にして、ひたすら鍛えまくるという、結構泥臭い展開。 そうまでして頑張る理由が、勇者として担ぎ出された幼馴染を守るため、というこれまた少年マンガ的展開。 異世界チートで、国盗りをしたり、無双したりするなかで、 こういうアツイの嫌いじゃないです。 村人っていうのもいいですね。最初は、村上春樹小説の主人公的に斜に構えて 「やれやれ、村人ですけど(最強ですが)何か?」 みたいな、イメージでいましたが、 良い意味で期待を裏切ってくれました。 ゲーム感覚で強くなったりするのも見ていて気持ち良いですが、守る人がいるために強くなるっていう、ど真ん中な動機も良いですね。 漫才みたいな会話するJKイイヨネ #1巻応援フードコートで、また明日。 成家慎一郎あうしぃ@カワイイマンガフードコートでダベる二人の様子を、ただ眺めるこの作品。会話劇の面白さに全く飽きが来ない。 お嬢っぽい和田とギャルっぽい山本。素の顔を見せ合う二人は親友。山本の聡明さとカッコよさも意外すぎるのだが、見ていて面白いのは、カワイイ和田の変顔。これが良い顔するんだ……。 考える事もアホで結構下衆い事を言う和田。それを気怠げに山本が受け止め、突っ込む会話は不思議なテンポの漫才みたいで、横で聴いていたい心地良さ。 ズケズケ言い合う二人の信頼関係も随所に示され、至高のロマンシス。例えば親友同士の同居物語『伊勢さんと志摩さん』と併せて読むと、幸せになれるかも。<<7273747576>>
百合作品には大きく二種類あります。一つは女性ばかりの世界で、同性愛が当たり前とされる物。もう一つは異性愛者が多い世界での同性愛を描く物。『ささめきこと』は後者です。 『ささめきこと』は同性愛を「異質」とする、少し古く見えて今もそう変わらない現実世界を描きます。愛らしいコメディタッチの中に、時折キツい正拳突きを繰り出します。 女子に恋した主人公は、空手の猛者で可愛さとは無縁。主人公が恋した女子は同性愛者で、その事で傷ついた過去を持つ反面「可愛い女子が好き」と公言して主人公を傷つける。 さらに同性愛に理解の無い人、興味本位な人は二人を傷つけ、そして浮かれた味方も二人をかき乱す。しかしそんな人々は決して「悪い」とは描かれません。 一方傷つきたくなくて相手に踏み込まない二人はもどかしいけれども、その大きすぎる傷を想像すれば致し方ない。臆病な二人もまた「悪くない」のです。 誰も悪くないのに、無理解と無遠慮に満ちている。そんな現実世界を描く、残酷な作品です。でもその残酷さの果てにはどんな恋愛漫画よりも大きな感慨と、本当は「悪くない」周囲の人々の祝福が待っているのです。