うちらはマブダチ

自分と友達はどうだったかなと思い出して浸ってしまう

うちらはマブダチ やまもとりえ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

やまもとりえ先生の、大学時代から現在までの少し変わった友人たちとの思い出の日々を描いたコミックエッセイ。 同じ内容をポッドキャストでも話してます。 https://open.spotify.com/episode/5WjmBjW1p7GmQXsDWxLJUW?si=d199b921940442c2 読み始めてすぐ「いつも谷間が見えている友人Yちゃん」というバズった投稿を見たことがあったのを思い出ました。 https://twitter.com/yamamotorie/status/1595362304576868352 作者さんが「大好きで仲が良い私の素敵な友達をぜひ知ってほしい」と紹介してくれてるような形だからこそ、読んでいると自分の友達もぜひ紹介させてくださいよ、という気分になってきて楽しかったです。 自分の学生時代の友人たちとの思い出がいろいろよみがえってきました。 エッセイなので、フィクションのように特別ド派手なドラマがあるわけじゃない、でも等身大の青春劇がそこにある。それがいいんですよね。 美大ならではのクリエイティブな話もあるけど、基本的には普遍的な友達の話。 そして、なんといっても一冊としての構成が素敵でした。 困ったときに友人が助けてくれた最高の人生だったんだなと。そしてこれからもそれが続くと思うと最高です。 どの友人のエピソードも面白くて、その個別の友人紹介の話があったからこそ、最後のエピソードに集約されて際立って輝いて見えて、感動しました。 同時に、男同士の友人グループだともしかしたらこうはならないだろうなっていう羨ましさもありました。男同士は楽しさを共有はしても弱みはあまり見せないこともあるから。 読んでるときの感覚としては、友達の結婚式の新婦側の仲良したちでの出し物とか、学生時代の写真のスライドショーとか見てどういうふうに仲良かったのかなーと想像したときの、最高に楽しい青春の「中身」をしっかり見せてもらった気分でした。 共感ポイントとしては、「自分たちの用語辞典作ったな~!」って思いました。 小さい界隈だけで通じる用語・共通言語ができて集団としての絆が熟成されていく感あって楽しいんですよね。秘密の合言葉みたいで。 ふわっと思い出した自分のエピソード ・Nくん、高校で誰とも全くしゃべったことなくて会話はいつも筆談していたらしく、大学で僕が普通にNくんと話してるのを見られて「どうやってあいつの心開いたんだ!?」って驚かれたことがある。そのNくんは窓が割れたままの部屋にずっと住んでて、いつもお菓子でお腹いっぱいにしてた。 ・Mくん、子供がどうやってできるか知らなくて、植物みたいに受粉するものだと思って通学で乗る満員電車に毎朝めちゃくちゃ緊張してた。その反動か、気づいたらテニスサークルに入って遊びまくってた。 などなど。 一気に読むのもったいないので、ちょびちょび1日2ページずつとか少しずつ読むのもいいかも。とはいえラストはどうやっても一気に読んでしまうはず。

娘がいじめをしていました

めちゃくちゃ考えさせられた

娘がいじめをしていました しろやぎ秋吾
六文銭
六文銭

自分の子供がいじめられた・・・という話は、よくありますが本作は、いじめた側の話。 というか、いじめ加害者・被害者双方の親がW主人公といっていいような話。 それぞれの視点で物語がすすむので、双方の状況や言い分がわかるのが、本作の特徴です。 最初は当事者同士で物語がすすむのですが、いじめの様子が動画に残されておりSNSで拡散され、名無しの正義感によって炎上。 いじめた側も、社会的に制裁をうけてしまう。 この一連の流れが今っぽくて、めちゃくちゃ考えさせられました。 自分自身、いじめた人間は、いじめられた人間と同じ苦しみを味わうべき論の人間だったのですが、実際、この様子を目の当たりにすると、びっくりするほどこれじゃない感がすごかったんですね。 目的が達成されたとはいえ、なんとも言えない後味の悪さが残るんです。 この後味の悪さってなんだろうって考えているのですが、結局、当事者間で何も解決していないことが原因なんだと思いました。 いじめた側が、そりゃもうゲッソリするほどいじめたことを後悔・反省しても、それが、こういうSNSで炎上して身バレして不特定多数の人間におもちゃにされるやり方だったのが、どうなんだろう?ってことなんですよね。 こんな再現性のない無責任なやり方ではなく、社会システムとして取り組んで欲しいとさえ思いました。 いじめも立派な犯罪として、隔離して、少年院みたいなところでブチこんで反省させるとかでもいいです。 また、いじめは100%いじめた方が悪いのですが、いじめられた側も一定期間で謝罪や反省を受け入れるようなこともして欲しいと思った。 恨み続けても、人生の無駄で何も解決しないことに気づかせて欲しい。 とはいえ、これは自分がいじめられたことがない人間なだけなので、実際、いじめ経験者は加害者がたとえSNSの不特定多数の人間からでも制裁をうけている様子に「ざまぁみろ」とか思うのだろうか。 そういう人にとって、モヤスカな内容なのかもしれません。 などと、めちゃくちゃ考えさせられる内容でした。

デビルズキャンディ

ハロウィンに読みたいマンガ2023第1位 #1巻応援

デビルズキャンディ Bikkuri Rem
兎来栄寿
兎来栄寿

渋谷ハロウィンにも大規模な規制が入り大人しかった今年。代わりに池袋ハロウィンでは小林幸子さんが鬼舞辻無惨のコスプレをするなど大いに盛り上がっていたようですね。 ハロウィン本番は今日10月31日なわけですが、そんな本日にこそ読みたいのがこのアメリカ発のアクションモンスターコメディです。さまざまな悪魔や怪物たちが暮らす世界で、幽霊が暴れ、コウモリが舞い、骸骨が郵便配達を行う。そして、ヒロインはフランケンシュタイン的な美少女。これ以上ハロウィンにぴったりなマンガもなかなかありません。 物語は、主にヘムロックアカデミーという学校を舞台に、人造悪魔のパンドラを作ったインプの少年・カズを中心としたドタバタ劇です。生徒も教師も軒並み強い個性を持っていて、ひとりひとりの濃ゆい特徴も見所となっています。 特に、カズのことが好きなサイクロプスの女の子・ヒトミの片思いラブコメ部分は力が入れられており注目です。 アメコミというともっとコテコテな画風をイメージすると思うのですが、本作の画風は表紙絵だけでも解るようにとても日本のマンガに寄っています。またページこそアメコミと同じく右開きですが、ネームや演出などもかなり日本のマンガに寄っており多くの日本人が親しみ易いことでしょう。 ファンタジーならではの架空のさまざまな競技が登場し、アクションの見せ場となるシーンの演出も派手で楽しく、国境を越えて目で見ているだけでも楽しめる作品です。 果たしてカズの作ったパンドラはどのように成長していくのか、その道程を見守る楽しみもあります。 皆さんが良きハロウィンを過ごせますように。 HAPPY HALLOWEEN!