集英社マンガの感想・レビュー4974件<<182183184185186>>無数の事実としての、無数の奇跡としての・・・キングダム 原泰久影絵が趣味いよいよ『キングダム』が化けの皮を脱ぎ捨てて、その本質を剥き出しにしてきたと思うわけです。これまで毎週のようにキングダムに夢中になっていながら、どうも周囲の熱狂ぶりから一歩身を引いてしまう自分がいました、自分の夢中になるポイントがどうも周囲とはズレているように思われて仕方なかったのです。 あるいは戦術的な細かな考察であったり、あるいは将軍たちの個性をマネジメント能力や経営論の名のもとにビジネス書にまでしてしまう素っ頓狂な連中、そろそろこういったものたちに厳しくノーを突き付けなければならないような気がするのです。やれキングダムから世間を語ろうがビジネスを語ろうが何を語ろうがそれはまったくの自由だが、そうすることでキングダムというこの漫画の一頁一頁に迸っている本来の魅力をうっかり見逃してしまいはしないか、そんな危惧があるのです。キングダムの魅力は、そんなふうに何かに援用されて語られるような二義的なものではないと切に思うのです。二義的であるというのは、すなわち根本的ではないということ。上記のような援用の仕草は、無数の事象の積み重ねによる幾重もの絡まり合いから途方もない事実として現前にあらわれる「いま、ここ」にあるものを単なる何かの理由からくる結果として弄んでしまう。 世間的には支離滅裂だと不評だった犬戎戦で、「元と正せば我こそが貴様らの祖、貴様らの王である」と因果論を振りかざすロゾに対して、フィゴ王は言わなかったか。 「何が王か、何が祖か、一体何百年前の話をしているのだ貴様は 貴様ら犬戎と我ら山の民は大きく違う 貴様らはこの平地の孤島遼陽に滞まり続けたが 我らは西の大山界で覇を争い戦い続けてきた 滞まるお前たちと違い、我らはそれぞれ夢に立ち向かう者」 まずフィゴ王は犬戎と山の民の違いを指摘してみせた、それはまさしく、ひとつの因果としての捏造された物語に組み入れられることへの拒否にほかならない、つまり、お前はお前だが、俺は俺だ、勝手に一緒にしてくれるなということ。その上で「我らは"それぞれ"の夢に立ち向かう者」、つまり、我らはお前が勝手にのたまう因果の物語には生きていない、我はそれぞれの目の前に瞬間ごとに立ちはだかるこの現実をしかと見据えている、ということだと思うのです。 そして最新話、散々騒がれた隊の覚醒とは、ひとはそこに因果を探りたくもなるものだが、じっさいには単なる因果とはまるで無縁の、いや無数の一瞬一瞬からくる因果のはてに荒唐無稽と呼びうるまでになった途方もない現実の積み重ね、ほとんどそのひとつひとつが奇跡ともいえる圧倒的に現前する事実また事実の一回かぎりの繰り返し、そのたったひとつとしての士気の爆発でした。 だいたい私たちはどんな因果の物語に括られようが、じぶんにこの先いったい何が待っているのか、そんなことは誰に言われるでもなくわかっているのです。同じようにキングダムの結果だってわかっているのです、秦は中華を統一して、やがて滅び去るのです。そして、ほかでもない私たちは秦が中華を統一した後の世界に生きている、そこにどんな因果があるだろうかはひとそれぞれにしても、とにかくこの事実だけはどうしてもひっくり返りようのない途方もない奇跡のような事実なのです。 U遊☆戯☆王 カラー版 高橋和希名無し最近の遊戯王はオワコンだから昔のルールはほっこりする心動かされる最後の「選択」選択のトキ 群千キリたか※ネタバレを含むクチコミです。アメフト漫画の最高傑作!アイシールド21 稲垣理一郎 村田雄介ヤウチ小学生の頃から使いっ走りで走ること以外にとりえのなかったセナが高校アメフト界随一のランニングバックになるまでの熱血スポーツ漫画 ゴシックロリータの世界に開眼したBの劇場 中村明日美子starstarstarstar_borderstar_borderかしこAが1巻でBが2巻。短編集だけどAのキャラや物語が引き続きBにも出てくる。 読み手の心を動かすのがすごい上手いな。 美しいものが好きなオトナの為のおとぎ話って感じでとっても贅沢だ。 死の床にいる娘にそっくりな人形を造るように依頼された人形師の話が一番グッときた。 球体関節人形とか興味でてきちゃったなぁ…ソビエト連邦に夢を感じる名作瞬きのソーニャ 弓月光Eight不定期連載なのが残念だけど、面白い。だれか読んでる?少女漫画のヒロインはそこらの萌え漫画より可愛い子多い説灰原くんはご機嫌ななめ 八田鮎子mampukuムスっとしていて一見冷たそうに見えるが実は思慮深く、不器用なやさしさを持つそんなイケメン灰原くんにもっと心を開いて仲良くなってほしい猪突猛進ヒロインみおちゃんの話 類型のヒーローは数多くいますが、灰原くんは冷たさとやさしさの配分がとても絶妙で気持ちいいです。 ヒロインのほうも、別マらしくとにかく可愛くて底抜けに性格が良い。ただ、いくら性格がよくても思慮が浅くて空回りしがちなので、灰原くんとは良い補完関係でナイスコンビ。 別マヒロインは花ゆめ系とは別の意味で理想が詰まってる感じでよいですね。 最初の1巻の構成が、とくに最後の数ページの畳みかけが素晴らしく、噫これぞまさしく胸キュンであるなと感動してしまいました。 無敵かぁ思うたらここは今から倫理です。 雨瀬シオリ正解は越後製菓センセ、無敵かぁ思うたら あんたも人間じゃのう? 安心したデェ これから楽しみじゃ予告犯予告犯 筒井哲也名無し3巻なので一気に読んでほしい… 映画にもなった予告犯、漫画はどんなもんかと読んでみました。 めちゃくちゃ面白いしブレないし感動する… 誰もが思ってるような社会に対する鬱憤や、時事ネタ、サイバー犯罪なんだけど身近な問題を絡めてあったりして物語にすっと入っていけます。どの登場人物にも共感できます。この人は何がしたいんだ、この人の行動原理は何なんだと終始興味が湧きます。起承転結の結も予想外で本当映画一本見てるかのよう… 一気に読んでその余韻にしばらく浸ってほしい作品。少女漫画とスポ根の融合!2.43 清陰高校男子バレー部 山川あいじ 壁井ユカコ名無し壁井ユカコ先生原作の人気ジュブナイルのコミカライズ。 『バッテリー』と同じ系統の、少女漫画には珍しい正統派スポコン物。 男子バレーを少女漫画らしく、キャラのメンタルの動きを重視して丁寧に描かれており、第一話の時点で傑作の匂いが漂ってくる。 人生に悩める大人のバイブルBread&Butter 芦原妃名子名無し大人になってからも夢を諦められない30代のカップルが、悩みながらも着実に人生を歩んでいく話。 とにかくエピソードが具体的というかリアルで、本当にこんな人たちがいそうだなと思っていっしょに悩んでしまう。 特にお店を始める/辞めるとか、夢だった漫画家/パン屋さんを目指すとか、そのために遠恋になるとか、すごく難しい選択肢だらけ。 仕事や結婚で悩んでいる人にオススメです!リアルな人間vsヒグマ漫画シャトゥーン~ヒグマの森~ 奥谷通教 増田俊也starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞の「シャトゥーン ヒグマの森 」を漫画化した作品。原作は読んでいないんだが、俺の好きな「増田俊也」が書いて生きたの気になって読んでみた。 凶暴なヒグマを生み出したのは生態系を破壊した人間というテーマがベースにあり回を重ねるごとに気になってた謎が解明されていき、あっという間に読んでしまった。 特にヒグマが人間を食うところがすごくて、生きたまま食いちぎるや、頭から丸かじりするなどパターンが豊富でいいし、やっぱりヒグマはすごいなと再確認できる。 ここ最近、クマがかませ犬みたいな扱いばかりされる漫画ばかり読んでいたので新鮮だった。 あとなんか見たことある絵だと思って調べたら「奥谷通教」って「奥道則」の昔の名前なんだな。漫画ゴラクでたまに掲載されている絵だから覚えていた。“夢の国”で働けなかった新入社員が田舎の遊園地に魔法をかけるふしぎの国の波平さん 小森陽一 畑優以名無し感想トピ ジャンプ式 平安風コズミックバトルファンタジー月華美刃 遠藤達哉mampuku 竹取物語をモチーフとし平安時代の日本のような舞台設定のファンタジーでありながら地球~月間を移動するハイテクノロジーを持つ近未来SFでもある。 月の世界の皇女であった主人公・カグヤは敵対勢力によるクーデターに巻き込まれ、皇女の証である宝剣を携え地球へと落ち延びる。その星は「穢星」と呼ばれ、月の重罪人が流される"流刑地"だった。というあらすじ。 精神的にも未熟だった主人公が幾たびの試練を乗り越えていくうちに使命に目覚めめきめきと頭角を現していくという、少年漫画としては割と王道な主人公像じゃないでしょうか(マキバオー、ナルト、東卍のタケミチなど)絵に関してはすごくジャンプの血が濃いなと感じました。デフォルメの仕方がバクマンによく似てます。 画力、世界観、キャラクター、どれを取ってもハイレベルですが、元ネタが中学古文で習う竹取物語だったり地球の重力に苦しんだりするのに一切の注釈や解説がないハイコンテクストぶり、衣服や装飾品の細やかな描き込みも含めて、週刊でなくウェブでもなくSQという雑誌に合っていたなと思います。「いとウザし」「マジあはれ」などのフレーズは中学生が喜びそうです。 絵やセンスがすごく好きな作家さんなので長編の新作が読みたいと思いながら6年が経ってしまった…これは美味そうゴールデンカムイ 野田サトル名無しこりゃたまらんな単行本のおまけ漫画イッキ読み谷川史子 告白物語おおむね全部 30th anniversary 谷川史子かしこなんと30年分の作品あとがきと作者近況がイッキに読めます。本編と同じ位おまけ漫画が楽しみなタイプなので、もう夢中で読みました。あ!これ当時コミックスで読んだわ~懐かしい~みたいなのも多々あり。谷川史子先生ファン、少女漫画の4分の1スペースが好きな方はぜひぜひ! まさに「かわいい顔して甘くない」くらすはこ HOUSE IS WONDERLAND ねむようこにわかかわいい顔して甘くない、ねむようこ作品の「まさに」って部分だと思う。女の子は本当に可愛らしいんだけど、ただ可愛いだけじゃない。綺麗な薔薇にはトゲがあるってのとも違ってて、なんというかリアル。感情の揺れ動きとか、執着とか、あるいは無関心とか。どれもなんだかホントっぽい。そこが楽しくて、ちょっと怖い。そんな物語が宝箱のように詰まっている。 ねむようこの本領発揮って感じのとても良い短編集だと思う。顔のめっちゃ怖い天使エンジェル伝説 八木教広にわかこの作品の次に描いた漫画が「CLAYMORE」だと知った時、とても驚いた。それくらい真っ直ぐに楽しめる青春漫画。 顔がめっちゃ怖いがゆえに最怖のヤンキーだと思われている主人公は、テンパると奇声をあげながら迫ってくる。彼はたしかに怖い! けどまぁ実際は優しい。勘違いされながらもちょっとずつ周りに彼の本質が伝わっていく、そんな漫画。思いつきのような設定を無理なく楽しく続けていった良い作品未完なのが残念雑草家族 小路啓之霧兵衛良かった点 回を重ねるごとにテンポよく進んで読みやすかった。少しずつずれつつも最後に綺麗にまとまりそうな感じがいい。映画の「わらの犬」の使い方が良かった。 総評 単行本のあとがきにも書いてあったが、最終回執筆中に作者の小路啓之が亡くなったのが残念。どういう結末で終わるのかはもう誰もわからない はいきゅーもいいけど、四谷先輩を忘れないで!詭弁学派、四ッ谷先輩の怪談。 古舘春一みつこ結構早めに打ち切りになっちゃったんですけどね、面白かったんですよ…新設高校を舞台にした学園ラブコメ、矢沢あいの出世作天使なんかじゃない 矢沢あいリョーコ創立されたばかりの私立聖学園の生徒会を舞台に描かれる友情あり恋愛ありの青春のいいところをぎゅっと詰め込んだような作品。 翠が晃のことを好きになってしまうきっかけが雨の日に捨て猫を拾う優しい一面をみたから…というコテコテ少女漫画展開をはじめとしてありとあらゆるところにコテコテ展開が用意されています。ただ、そんなコテコテが散りばめられていながらも、心を閉ざしがちだった友達との友情、2人の間で揺れる恋心、すれ違い、家族の問題や進路などが、学園祭やら運動会を通して描かれていて、ああこんな高校生活を送りたかった…と思わされます。 ドロドロした展開がないのも読みやすいポイントですね。購入する場合は電子版を推奨墓場の七人 山田秋太郎mampuku画楽ノ杜(現・月間Z)という耳慣れないウェブサイトで連載されていた漫画ですが、読んでみると驚くほどクオリティが高い。 http://comip.jp/Z/ ほどよくレトロ感、アナログ感があり、バトルの絵に迫力があるだけでなくメリハリがあってとても読みやすいです。レトロだけど古臭くなく、荒々しいけど粗雑じゃない。最近ではあまり見ないようなメタネタも、ただやるだけでなく巧さを感じられる演出になっていて飽きさせません。ちなみに絵はヒラコーそっくりw 紙派としてきわめて残念なのが、完結の3巻が電子のみという点。なんで3巻だけ???最終巻のみ未読ですが、通販サイトのレビューなどを見る限り打ち切りの駆け足展開っぽい雰囲気ですね。 最新作「じゅうしまつ」も気になりますが麻雀はあまり嗜まないので、次読んでみるならR.O.D.かなぁ。あれは良いアニメでした。 読者の愛で存続したギャグ漫画星の王子さま 漫☆画太郎にわか漫☆画太郎が20年ぶりに「ジャンプ」名義の媒体で連載を始めた作品。めちゃくちゃ面白かったのは、一巻までの内容が漫☆画太郎らしい不条理ギャグをやっているのに原典に忠実なところ。ただ徐々に漫☆画太郎ワールドに飲み込まれていっているので、どうなることやら。。。 ジャンプ+で読んでいると漫☆画太郎の近況報告を暖かくツッコむ読者の姿が見れるのは見どころの一つ。作者から読者に対する企画もちょこちょこあり、ほのぼのとした空気が広がっている。 一時は連載が危ぶまれたが、クラウドファンディグによりその危機は脱出した。この作品の読者と作者の繋がりの強さを感じさせる一件。このことは今後のマンガ連載の一つの可能性として良い例を残したと思う。まぁ色々な意味で楽しみな作品咲坂伊緒先生の最新作思い、思われ、ふり、ふられを語ろう思い、思われ、ふり、ふられ 咲坂伊緒片桐安十郎僕は男ですが少女漫画も好きです。 特に最近の作品ではこの思い、思われ、ふり、ふられはレビューも書いてしまうくらい好きです。(読めば恋がしたくなる『思い、思われ、ふり、ふられ』 - LINE Q http://lineq.jp/note/77811) ぜひ思い、思われ、ふり、ふられを読まれてる方がいましたら語りませんか?<<182183184185186>>
いよいよ『キングダム』が化けの皮を脱ぎ捨てて、その本質を剥き出しにしてきたと思うわけです。これまで毎週のようにキングダムに夢中になっていながら、どうも周囲の熱狂ぶりから一歩身を引いてしまう自分がいました、自分の夢中になるポイントがどうも周囲とはズレているように思われて仕方なかったのです。 あるいは戦術的な細かな考察であったり、あるいは将軍たちの個性をマネジメント能力や経営論の名のもとにビジネス書にまでしてしまう素っ頓狂な連中、そろそろこういったものたちに厳しくノーを突き付けなければならないような気がするのです。やれキングダムから世間を語ろうがビジネスを語ろうが何を語ろうがそれはまったくの自由だが、そうすることでキングダムというこの漫画の一頁一頁に迸っている本来の魅力をうっかり見逃してしまいはしないか、そんな危惧があるのです。キングダムの魅力は、そんなふうに何かに援用されて語られるような二義的なものではないと切に思うのです。二義的であるというのは、すなわち根本的ではないということ。上記のような援用の仕草は、無数の事象の積み重ねによる幾重もの絡まり合いから途方もない事実として現前にあらわれる「いま、ここ」にあるものを単なる何かの理由からくる結果として弄んでしまう。 世間的には支離滅裂だと不評だった犬戎戦で、「元と正せば我こそが貴様らの祖、貴様らの王である」と因果論を振りかざすロゾに対して、フィゴ王は言わなかったか。 「何が王か、何が祖か、一体何百年前の話をしているのだ貴様は 貴様ら犬戎と我ら山の民は大きく違う 貴様らはこの平地の孤島遼陽に滞まり続けたが 我らは西の大山界で覇を争い戦い続けてきた 滞まるお前たちと違い、我らはそれぞれ夢に立ち向かう者」 まずフィゴ王は犬戎と山の民の違いを指摘してみせた、それはまさしく、ひとつの因果としての捏造された物語に組み入れられることへの拒否にほかならない、つまり、お前はお前だが、俺は俺だ、勝手に一緒にしてくれるなということ。その上で「我らは"それぞれ"の夢に立ち向かう者」、つまり、我らはお前が勝手にのたまう因果の物語には生きていない、我はそれぞれの目の前に瞬間ごとに立ちはだかるこの現実をしかと見据えている、ということだと思うのです。 そして最新話、散々騒がれた隊の覚醒とは、ひとはそこに因果を探りたくもなるものだが、じっさいには単なる因果とはまるで無縁の、いや無数の一瞬一瞬からくる因果のはてに荒唐無稽と呼びうるまでになった途方もない現実の積み重ね、ほとんどそのひとつひとつが奇跡ともいえる圧倒的に現前する事実また事実の一回かぎりの繰り返し、そのたったひとつとしての士気の爆発でした。 だいたい私たちはどんな因果の物語に括られようが、じぶんにこの先いったい何が待っているのか、そんなことは誰に言われるでもなくわかっているのです。同じようにキングダムの結果だってわかっているのです、秦は中華を統一して、やがて滅び去るのです。そして、ほかでもない私たちは秦が中華を統一した後の世界に生きている、そこにどんな因果があるだろうかはひとそれぞれにしても、とにかくこの事実だけはどうしてもひっくり返りようのない途方もない奇跡のような事実なのです。