スポーツ経験者は、
成功した人は成功例として、
失敗した人は失敗例として、
自分の実体験を他者に伝えたいと思うだろう。
それは紛れもなく自分にとっての真実だから。
本気で、それが正しい、教える価値があると思って
「良かれと思って」指導することになる。
そうでなければ困る面もあるわけだが、えてしてそれは
「素人、未経験者が知ったようなことをほざくな」
に繋がりやすい。
しかしそれは「本気」ではあっても「正解」で
あるかどうかは定かではない。
だが指導する側される側、それぞれにとって
「信じること」は美化されやすい。
正義とされやすい。
信じて教えることも、信じて教わることも。
そのほうが波風もたたないし。
トレーニング・流した汗・指導者・チームメイト、
それを信じて疑わない。
信じることに価値があり美しさがある。
そうされやすい。

この漫画「ダウト」は、そこに踏み込んでいる。
スポーツ、とくに少年スポーツで
なにが正しくてなにが楽しいのかは
人それぞれだし、この漫画も必ずしも
正しいとはいえないかもしれない。
けれどダウト(疑う)ということが
必ずしも悪いことではない、とは気づかせてくれる。
そしてそれを面白い漫画にしてくれている。

巨人の星」は野球漫画だが、
親子野球漫画でもあったと思う。
連載当時としても珍しかったであろう頑固親父
父・一徹は息子・飛雄馬に有無を言わせずに
スパルタ特訓を課した。
漫画だからではあるが、普通は飛雄馬は体を壊すか
野球が嫌いになるか、下手すればその両方だ。

ダウトに登場するお父さんたちは、
もちろん星一徹タイプではない。
いかにもいまどきの父という感じだ。
子供に野球や練習を無理強いはしない。
もちろん怪我なんかさせたくない。
子供が野球が好きなら応援したい。
そういう普通の親で、だからこそ悩む。
監督が星一徹タイプの野球チームに
子供が入団して。
でもそれでいいのか、このままでいいのか、と。
監督やコーチの技術論や指導法や戦略。
親同士や子供同士の人間関係。
そして親子の関係。
とはいえ星一徹にはなれない。
割り切った行動を起こせない。
色々な疑問や危機感がつのり、
さらにあるキッカケでやっと行動を起こす。

それが普通というか、普通は結局なにも行動できない。
人間関係や技術論でなにが正解かわからなくて、
どうすればいいのか迷ってしまう。
星一徹が正しいとは思わないが、
ああいうふうにできたらな、と思ってしまいそう。
そんなお父さん達の葛藤が描かれている。

そういう意味でダウトは
良くも悪くも星一徹にはなれないリアルなお父さん達の
親子野球漫画だと思った。

何度も読み返したい。スポーツに関わる人には読んでもらいたい。にコメントする
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