パワハラ美少女カンパニー

全リーマン渇望のテクノロジー

パワハラ美少女カンパニー 広間月下
六文銭
六文銭

やれIoTだの、MaaSだの、AIだのテクノロジーの進化で、生活が豊かになる昨今。 ついに、おっさんが美少女に見えるVRメガネがでたようです。 おっさんが美少女にかわるからなんだよ? とお思いかもしれませんが、いやいや、ちょっと考えて欲しいんです。 本作にあるとおり、サラリーマンでいえば職場環境がいかに改善されるかを。 上司からの無茶振り、例えば おっさん上司「予算が未達なんだけど」 ↓ 美少女上司「予算が未達なんだけど」 おいおいおい!なんてこった、字だけなのに全然違うぞ! 後者は「なんだけど~」みたいな語尾上がりで萌える感じがある! (個人的感想) これで従業員の満足度もパフォーマンスも向上し、ブラック企業とかの概念も撲滅されることでしょう。 パワハラ発言も、ドSな発言と解釈され、興奮すること請け合い。 ・・・といった、感じで、本作も、ブラック企業に苦しむリーマンが美少女にみえるメガネの効果によって、職場環境をパラダイスに変え、上司との仲も良好になり、自身の業績も向上して、という夢物語。 イヤな取引先もすべて美少女なんで、会いに行くのも苦ではないのです。 なんという、サクセスストーリー。 公平を期すために、女性側でも、イケメンに見えるメガネが欲しいですね。大変なことになりそうですが。 テクノロジーの進化は、生活の利便性や効率化だけでなく、こういうこともやって欲しいなぁと、つくづく思いました。 もうね、いいんですよ、自動化とかRPAとか。 効率効率で心が貧しくなるので、もっと楽しくなって欲しい。 Goo○leパイセンとかやってくれないかなぁ。

シャトゥーン~ヒグマの森~

勝てない、逃げられない、喰われて死ぬしかない

シャトゥーン~ヒグマの森~ 奥谷通教 増田俊也
名無し

ヒグマは日本に生息する哺乳類の中で最大にして最強。 体重が300kgを超える固体もいる。 一振りで人の首の骨ぐらい簡単にへし折れる腕を持ち、 しかもその腕の先には巨大な爪をも持つ。 人の頭など噛み砕く牙も持つ。 巨体でありながら時速80kmで走れる足腰も持ち、 犬の数倍とも言われる臭覚も持つ。 爪を使って木にも登れる能力すら持つ。 人間が戦って勝てるわけがなく、逃げることすら不可能。 しかし一度、人肉を喰らい人間の味を覚えたヒグマは、 ひたすら人間を襲い、食うようになる。 北海道の奥地、絶滅危惧種のシマフクロウが生息する森林。 電話などの通信手段も車などの移動手段もない、 大学の研究施設のプレハブ小屋に、7人の男女。 外には巨大で既に人肉を喰らったヒグマ。 逃げようにも篭城しようにも戦おうにも、 あまりにも何もかもが足りない。 それまでは絶滅危惧種鳥獣を笑って密猟していた男が、 散弾銃など全く効かないヒグマに引き裂かれ苦痛にのたうつ。 それまで「自分の死で自然が守られるなら本望」 とまで言っていた動物学者が、生きたまま食われて悲鳴を上げる。 我が娘だけは命にかえても守ると決意した母の前で、 強大な爪と牙が娘の体にくい込む、宙に舞う。 人間たちの心の中で、生きたい、死にたくないと 明滅する希望と絶望を、 ヒグマが森が雪が、そして互いの心の中の闇が飲み込んでいく。