赤白つるばみ・裏/火星は錆でできていて赤いのだ

実は漫画家マンガです

赤白つるばみ・裏/火星は錆でできていて赤いのだ 楠本まき
かしこ
かしこ

楠本まき先生って作家性が強くて難解な作品を描いてそう…というイメージがあったのですが、エッセイ漫画「A国生活」を読んでから印象が変わりました。思ってたより読みやすくて、でもセンスがあってユニークな作家さんなんだと。 この作品は「赤白つるばみ」のスピンオフらしいのですが、これだけ単体で読んでも内容を理解するのに問題ありませんでした。色々と話題になったジェンダーバイアスについてのセリフがある作品ですが、全編通して読んでみると漫画家マンガとして面白かったです! 美大生のノエル子さんは少女漫画誌ガーマレットで新人漫画家としてデビューしますが、編集者からは読者が共感してキュンキュンするような漫画を描いてくれと言われてしまい、自分の作家性との違いに悩みます。そんな時に大ファンの谷崎真珠先生のアシスタントをしに行くことになり、谷崎先生はどんなことを思いながらガーマレットで連載しているのかを聞くことになります。 ノエル子さんも谷崎先生も楠本まき先生ご自身がモデルになっているところが多分にある気がします。マーガレットでデビューされて今もココハナで活躍されている楠本先生のまんが道のような側面もある漫画です。ぜひ気軽に読んでみて下さい!

はやくしたいふたり

令和のソーシャルディスタンスラブコメ? #1巻応援

はやくしたいふたり 日下あき
sogor25
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高校2年のJK・長谷川結理は、近くの男子校に通う同学年の男子・葛城慶一郎に告白し、付き合うことになる。その告白の流れで慶一郎にキスをしようとする結理だったが、なぜか慶一郎から拒絶されてしまう。「完全にキスの流れだったじゃん」という結理に対して慶一郎は、告白にOKはしたが「性的な接触については同意していない」という謎の回答をする。 実は慶一郎は祖父・父ともに元内閣総理大臣と言うエリートで、さらに"葛城家のしきたり"として「十八歳まで異性との性的接触を禁止されている」という厳格な家庭に育った人間だった。結理と同い年である慶一郎が18歳になるまではあと1年半。つまりそれまでの間、結理が慶一郎に気安く触れることは許されないらしい。 それからというもの、結理が不意打ちで彼に触れようとしたらまるで痴漢を撃退するかのごとく関節を決められたり、2人でいるときも実は葛城家のSPに監視されているということが判明したりと、なかなか恋人として(物理的に) 距離を近づけることができない。 そんな、恋人同士のイチャイチャに夢を持っていた結理と、何よりも自身の家柄としきたりを重んじる慶一郎との交際を描いた作品。 あらすじを見ると、アプローチを仕掛けて行く結理に対して慶一郎があしらっていくという形のラブコメのように見えるのだが、実際にはそれだけではない作品。というのも、導入部分からは読み取れないのが、読み進めていくと結理が慶一郎のことを好きな以上に慶一郎が結理のことを大好きで、彼自身も結理に近づきたい、触れたいという感情を我慢しながら彼女に接しているということが分かってくる。 そんな彼が、基本的には葛城家のしきたりを第一に行動し結理との距離を保とうとするが、ある時には正攻法で、ある時にはしきたりの隙を突いて結理の期待に応えようとしてくれる、そのギャップが可愛らしい。 ただ、そんな慶一郎の行動が若干的外れだったり、そもそも結理の期待しているようなイチャイチャとはかけ離れていたりして、なかなか結理自身が満足する交際はできない、その様子もラブコメとして楽しい作品。 1巻まで読了