リイド社マンガの感想・レビュー362件<<89101112>>思った以上のエンターテイメント!!サザンと彗星の少女 赤瀬由里子nyaeフルカラーというのもあり映画のような雰囲気で勝手にモノローグとか情報量が多そうと思って気負ってしまっていたんですが、トーチで無料公開していたのを機に読んでみました。自分が思っていた500倍くらいはTHE・エンタメな内容でした!ひとりの男の純粋な愛と正義の心に感化されて、敵役だった者たちが仲間になっていくとか皆が好きなやつじゃないですか。最初から最後までページを捲る指が止まらなかったです。 やっぱりうる星やつらとか見てるようなちょい上の人達に刺さるんだろうか。ミーナを「弁天じゃん」って思った人たくさんいるはず。 改めてこれがデビュー作というのはやばすぎると思います… 今回は無料で読みましたけど、紙で買います。買わないとダメなやつだと思った。 ナイトメアバスターズも早く単行本化してほしい!! トンボに構えたくなる薩南示現流 とみ新蔵 津本陽名無し偶然「肝練り」なる奇天烈な文化について知り、それがこの薩南示現流に登場するということで読んでみました。とみ新蔵先生の作品を読むのは初めてだったので、ワクワクしながら読み始めたのですが、結構意外なところがたくさんありました。 【絵柄】 バリバリ硬派に武士を描いていて格好いいのですが、ペンのタッチやコミカルなデフォルメが西洋っぽいなと感じましたなんというか…昔の海外の風刺画っぽいというか、ルパンっぽいというか。 【意外とノリが軽い】 絵とストーリーがバリバリ硬派なのに、コマのスキマで頻繁に先生が自分の作画にツッコミ入れまくりなのに驚きました。(たしかに昔の漫画は作者の独り言とか漫画家仲間への手紙とか多いですけど、こんなにセルフツッコミが多いのは初めて読みました) あと「✧」「♫」「♡」などの漫符が使われていて、野性味溢れる力強い絵とのギャップがすごい。 井上雄彦がバガボンドで極力記号を使わないように描いていると言ってて、それまでその必要性が理解できなかったのですが納得しました。 【作品への感想】 裸足で歩き回って足裏の皮を厚くし、その辺の犬の首ねじって食うのめちゃめちゃで好き。 善吉和尚22歳なの普通にびっくりだし、過去が壮絶すぎ。「道理のない憎しみ」って自分も持ってるんじゃないかなとハッとしました。 重位の修行シーンの描写が長くて濃密なだけに、そのあと長谷場たち弟子が割と簡単に示現流の技を習得しているっぽいのがちょっと気になってしまいました。もっと苦労してほしい。 日本史に明るくないうえ、前情報抜きで読んだので最後に巻末に「(財)示現流東郷財団・ホームページ」とあり、示現流も東郷重位も実在すると知り驚きました。つつがないなあつつがない生活 INA野愛これはたしかにつつがない。 必要以上の温かさも幸せも困難もなく、ただつつがない生活がここにはあります。 いや、ちょっとの不安や不穏さはあるんだけども、それを補うだけのちょっとの愛や優しさがある。 溢れんばかりではなくて、たまにぽたっと降ってくるくらい。 日々の暮らしってこういうのでいい。こういうのがいい。 自分もこういう生活をできている気もするし、できていない気もするし、客観的に見ないとわからないけど今日も生きているのでまあいいかなと思ってます。 この作品は何もない日々の暮らしへの礼賛ではなく、ただただそこにあるものを映し出しているようで、そのつつがなさが素晴らしいなあと思いました。 感想を一言で言うと「ああ、つつがないなあ…」って感じです。日本のお盆はいいですね。盆の国 スケラッコnyaeお盆っていい風習ですね。自分は先祖の霊を迎える準備をしたりするような家庭で育ってないので馴染みがないんですが、一時的に亡くなった方が戻ってきてくれるってロマンを感じました。 この漫画ではとくに、主人公がそれらを視ることができるため街が賑わっているように見えます。ある意味お祭りの前夜がずっと続くような気持ちを味わえました。 あ、それって私がこの世で一番好きなアニメ映画「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」と一緒ですね! トーチ漫画賞大賞受賞作家の新連載つつがない生活 INA名無し多忙なフリーランスの妻と、無職になったばかりの夫の生活を描いた新連載。 素朴な絵柄と上手いとは言えない手書き文字がいい味を出している。 はじめはちょっと、夫婦仲が危ういのかなという雰囲気もあるけど、最後の妻からのメモにあったひとことでホッとしました。 つつがないってこういう意味だったか、と再確認。 つつがな‐い 【恙無い】 《形》無事だ。身に異状がない。息災だ。自転車屋さんいいな…自転車屋さんの高橋くん 松虫あられ名無し自転車屋は輩ってイメージないですがバイクと自転車両方扱ってるとこはたしかにコワモテそうなお兄さんいる気しますね…。 自転車屋の怖いお兄さんとふわふわ系ドジ女子最高すぎて即二巻まで読みました!! 一番すきなシーンはチャリでパンくわえて落ちたとこを拾おうとするシーンですね!! 雰囲気も話も気に入りましたので是非読んでみてほしい…!なんて幸せなサラウンド #1巻応援サラウンド 紺津名子nyaeひとり3,000円お小遣いあげてもいいくらい可愛い。 (そのお金で3人でスイーツ食べに行ってほしい) ただただ読んでるだけで幸せになれるので、ありがとうございますという気持ちです。1巻で終わらずに、2巻以降も出るのかと思うと喜びで踊り出しそう。 たまにある、こういう基本的に会話だけで成り立っていて特段何が起きてるでもないのに面白いマンガ。それを見つけるととてつもなく嬉しい。 3人とも(ついでにいうなら女子も)みんな可愛いけど、強いて言うなら山口くん推しかな☆ あの掃除用具入れの一件から一目置かせていただいてます…! すべての命は奇跡であるかしこくて勇気ある子ども 山本美希nyae自分含めて、生まれた子供の命が無事のまま大人になるまで生きてこれたことって奇跡ですね。でもその奇跡がいとも簡単に奪われたり、悪意によって踏みにじられたりすることが、この世の中には確実に存在しています。 そしてその多くは自分ひとりではどうすることも出来ない。それはもう折り合いというか、そういうものだと受け入れるしかないと思うけど、この漫画を子供を考えている夫婦やいま妊娠している人に読ませたいかというと…違うかな。 それは置いといてもこの漫画の内容は素晴らしいと思うし、よくこの目線で描いたな…と感心します。主人公の夫婦も、あれだけの不安に押しつぶされそうになっても最終的にはやっぱり「こうなってほしい」と生まれてくる子供に願えたときには涙が出ました。なぜか泣きそうになる船場センタービルの漫画 町田洋名無し鬱経験者じゃなくても一回でも大変な時期、心境にあったものには胸にくるものがあります。 たまにこんなフラットに描かれた名作に出会うんですね… 文学のようでエッセイのようで実録漫画で宣伝?漫画 話題になってたから読んだだけですがもう一読した感想はこれですよ 「良いなぁ…この漫画」 「戻りたくないけど懐かしい日々」は誰もが持っている。牛乳配達DIARY INA一平ちゃん漫画の制作自体がほぼ初めてかのような描写があったのですが、そうだとすればすごい漫画力を感じます。さすがはトーチ漫画賞大賞。 何気ない会話、消えたくなるほどいたたまれない失敗、個性的な同僚たち。 この漫画で起こっていることはそこらじゅうに転がってるような日常。だけどそれを漫画にして、読んだ誰かをクスッと笑わせたりするっていうことが、こういう才能によって生まれることが尊い。 「戻りたくないけど懐かしい日々」。 思い出すだけで胸が痛く苦しくなるけど、確かに今の自分の一部になってる出来事ってある。 鬱を経て描かれた町田洋さんの初エッセイ船場センタービルの漫画 町田洋nyaeこの日を待っていました。新作漫画が読めてほんとに嬉しいです! 商業施設の広告漫画の制作依頼を受け、鬱の漫画が描きたいのでといって断ったものの「ではそれでお願いします」と了承されてしまったのには笑ってしまいました。船場センタービルもなかなか懐が深いですね。 自身の鬱を綴るエッセイと、広告漫画が一緒になっているってある意味史上初なのでは。広告に苦手意識があったみたいですが、行きたくなりました。船場センタービル。宝物のような思い出が蘇る #1巻応援姉の友人 ばったんnyae1話の時点ではとくに思うことはなく。しかし2話を読み全身に鳥肌が立ち、3話では心でスタンディングオベーション!読んでよかったと心から思えました。 物語の中心にいるのが表紙に描かれる艷やかな美女・今日子です。彼女とすごした日々を、彼女を取り巻く人々の目線で4編描かれてます。 今日子という女性は美しく色気もあり、自立した大人としてまわりから羨まれる要素をたくさん持っていますが、それ故に人の心を揺るがすことも多い。彼女と共有したものや時間は、誰の記憶にもいろんな形で残り続ける、というようなお話です。 なにより、彼女の美しさをこれでもかと引き立てている描写力はこの著者の為せるワザ。 当時は気持ちの正体がわからなかったり、苦い思いをしていても、時間が立つと気付けば宝物のような思い出に変わっている、この漫画を読んでいるとそれが記憶の底から蘇ってくるような感覚があります。 「もう会えないし会うこともないけど、かつて一緒に過ごした時間は一生忘れたくない宝物になっている」というものを持っている人にはとても心に響く1冊となるのではと思います。人の言葉はわからにゃい猫語辞典 セツコ・山田名無し作者と暮らす猫たちのおもしろおかしい日々の出来事を、猫の視点と言葉によって綴られています。 このマンガ、猫視点を突き詰めているので、人間のセリフは基本的に「○▲✕〜!」のような記号化がされています。 猫にとって、人間のしゃべる言葉はわからないのだから当然、というわけです。 漫画において、かなりの制約だと思うのですが、逆にそれがこのマンガの面白さに繋がっているように感じます。 話しの内容としては、日常的な猫あるあるマンガなのですが、この描き方は猫たちへの愛情が深くないと作れないと思いました。 読めば読むほど猫の気持ちに近付けたような気持ちになりました。 仕掛人藤枝梅安仕掛人藤枝梅安 さいとう・たかを 池波正太郎名無し池波正太郎の小説、仕掛人シリーズがあり、テレビドラマの必殺仕掛人があっての、この漫画「仕掛人 藤枝梅安」な訳ですが、巨匠さいとう・たかを氏の劇画色が強いです、ゴルゴ13みたいな梅安さんを時代劇に登場させ、巨悪を断つ仕掛人を演じさせます。原作の設定に忠実というわけではないのですが、マンガ作品としては充分に楽しめる内容だと思います。人体破壊表現のひとつの到達点いちげき 松本次郎 永井義男ANAGUMA古今東西のマンガで人間の体は多種多様な表現でブッ壊されてきました。 本作では農民上がりの一撃隊が使う粗削りの剣術と 殺しのプロであるサムライの剣筋とが描き分けられていて 重い、鋭い、強い、痛い、などキャラが食らった斬撃が どんなものだったのかが一発で伝わってきます。 それによって損壊される身体も 気持ちよくデフォルメされてるかと思えば、痛々しく醜いほどに写実的に描かれたりとさまざま。 目まぐるしい物語の状況変化や、キャラクターがどんな感情を抱えているのかが ときどきで破壊される身体の表現によって語られていくのです。 ただカッコイイわけでも、ただグロいわけでも、ただリアルなわけでもない。 「人を斬る」ことを真摯に捉えた表現が本作には描かれています。真面目な女性警察官マンガちさと巡査、現場に急行せよ!! 橘芽生子名無し「婦警さん」と呼ばれていた時代も過去のもの。ミニパトに乗って路上駐車を取り締まっていたイメージも過去の話。いまや女性警察官も現場仕事に多く携わるようになっています。このマンガでは女性警察官の苦労話や警察内の実情を描いています。主人公の訓練校時代の話、初めて銃を撃ったエピソードなどをコミカルに紹介していますが、ハコヅメに比べたらだいぶ真面目な雰囲気です。それだけに1巻で終わってしまうにはもったいない作品だと感じました。ちなみにこちらの漫画では女性警察官は、警察内でモテる!と描かれていました。一方、ハコ(以下略 すべての命に祈りを捧げたいかしこくて勇気ある子ども 山本美希野愛産まれてくるすべての命が幸せであってほしいと思う。産まれてから死ぬまで、ずっとずっと幸せであってほしい。 子どもを授かるということは良いこと、幸せなことだとされているけれども、どうなんでしょう。 命がけで産んだ子どもが、幸せな人生を歩むとは限らない。愛情や教育や環境やたくさんのもので満たしても、どう生きるかはわからない。 思い通りになる訳はないし、それどころか避けられない不幸に見舞われることだってある。 大切なものであればあるだけ、失うのは恐ろしい。 産めよ増やせよが生物学上正しいのだとすれば、人間って厄介な生きものだなあなんて思います。 ラストシーン。夫婦が見たものは幻想だったんでしょうか。 わたしには、救いというよりも願いのようなものに見えました。 かしこくなくても、勇気がなくても、すべての産まれてくる命が幸せでありますように。江戸時代の寿司職人すしいち! 小川悦司名無し江戸前の握り寿司の人気店の主人・鯛介の寿司にかける情熱。いまや日本食の代表といえば寿司ですが、江戸時代の頃より握り寿司のテクニックは素晴らしいものがあったんだと感動を覚えました。ただ美味しいだけでなく、真心のこもった寿司職人の心意気が気持ち良い。キャラクターたちが、やや演技過剰な感じなのはご愛敬です。寿司バトルも面白いですが、歴史トリビアや日本文化の知識も身につくので勉強になります。江戸時代の食文化勤番グルメ ブシメシ! 土山しげる 酒井伴四朗 青木直己名無し江戸時代の紀州藩の武士の日記を土山しげる先生が独特のタッチで描いたのが本作の魅力と言っていいでしょう。 現代でいうところの粗食が多くなるものの読んでいると食べたくなること間違いなし、特に練馬大根などに代表されるような“江戸野菜”そして漬け物の描写は絶妙。 和歌山では朝食は芋粥が常識だったなど豆知識もたっぷり。 本作品とラズウェル細木先生の「大江戸酒道楽~肴と酒の歳時記」をおさえておけば、江戸時代の食だけでなく文化を知ることができ、グルメ、歴史好きはもとより受験にも役にたつかも!? 伊庭三尉は戦国時代を変えられるか戦国自衛隊 森秀樹 半村良名無し原作の小説とは自衛隊が戦国時代にタイムスリップしその時代で生き抜くという部分では同一であるが、この漫画も角川で映画化された物と同様に原作者半村良氏が描かれた世界とはかなり異なる。だからと言って本作品の魅力が削がれる訳でなく、現代人が歴史を遡り、過去の時代にもがきながら生きて歴史に関与する姿を、新たな気持ちで読ませて貰いました。人情味あふれる時代活劇探し屋の女房 大島やすいち名無し江戸で「探し屋」なる仕事を生業とする、夫婦の物語。 現代の探偵に近い感じでしょうか。 俊之介と美咲 江戸っ子らしい粋な主人公・俊之介と、その妻・美咲が暮らす長屋へ、様々な依頼が舞い込みます。 おかまっぽい三代目の一心太助、にぎやかな長屋の人々、口うるさい岡っ引きなど、にぎやかで活気がある時代劇の世界に入ったような感じがします。 そして、奥さんは少しドジですがかわいらしくそして強い! 江戸時代の雰囲気、謎解き、人情ドラマ、アクションが一気に楽しめる爽快な作品です。表紙買いしましたストレンジ【電子版特典付】 つゆきゆるこ名無しなんて独特な感性! なかなか選ばないような二人を選んで描かれるんだな〜と言う印象です。 どのキャラクターも個性があってどこか妖艶だったり不甲斐なかったり素敵です。 まず絵がいい。 高校生とゲイとか遠いような存在なのに距離が縮まって屈託無く笑う二人を見てると多幸感を感じてきます。 1話1話なんでもないような日常なんですが登場人物がいいのですごく魅力的な話。 「生きていこう、まるで挫折したことがないかのように」SAD GiRL 高浜寛名無し「ニュクスの角灯」で第24回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞された高浜寛先生ですが、こちらの「SAD GiRL」でも第21回同文化賞にノミネートされています。しかし「ニュクス」から高浜作品を読んだ人はちょっと驚かれるような内容なんじゃないでしょうか。印象としてはとても暗くて重い話だと受け取られるかもしれません。でも高浜先生の本流ってこっちだと私は思うんです。絶望のただ中にいる人間には希望なんて届かないという悲しい現実を知ってる人だから。そういう人の「生きていこう、まるで挫折したことがないかのように」という言葉には信じられるものがある。たまにお祈りみたいに思い返したりします。【マンバnote】2話まで読んで!傑作・大正文士マンガエコール・ド・プラトーン 永美太郎マンバマンバスタッフによるマンバnoteに本作のレビューを掲載しています✍️ こちらもチェック‼️ https://note.mu/manba/n/n2798a8f1d384<<89101112>>
フルカラーというのもあり映画のような雰囲気で勝手にモノローグとか情報量が多そうと思って気負ってしまっていたんですが、トーチで無料公開していたのを機に読んでみました。自分が思っていた500倍くらいはTHE・エンタメな内容でした!ひとりの男の純粋な愛と正義の心に感化されて、敵役だった者たちが仲間になっていくとか皆が好きなやつじゃないですか。最初から最後までページを捲る指が止まらなかったです。 やっぱりうる星やつらとか見てるようなちょい上の人達に刺さるんだろうか。ミーナを「弁天じゃん」って思った人たくさんいるはず。 改めてこれがデビュー作というのはやばすぎると思います… 今回は無料で読みましたけど、紙で買います。買わないとダメなやつだと思った。 ナイトメアバスターズも早く単行本化してほしい!!