ちょっと社会不適合者さん

ちょっとだけ社会と合わない女性の話 #1巻応援

ちょっと社会不適合者さん ウシハシル
sogor25
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小犬丸さんは、ちょっと不器用でちょっと臆病な女性。なので就職先でも仕事が上手くできず、人間関係も上手に立ち回ることができず、でも不満を誰にも打ち明けることができない。そんな彼女と同じアパートに住む男性・木下さんが偶然アパートの屋上で出会うところから物語が始まる。 社会に上手く迎合できない主人公の女性とそんな彼女を助ける男性という構図は、どことなく「アスペル・カノジョ」を彷彿とさせる作品。違いを挙げるとするなら、小犬丸さんは特別奇怪な行動をするわけではなく、あくまでちょっと人より不器用で、自己肯定感が低くて、引っ込み思案な女性だということ。それが極端にデフォルメされて描かれているように見えるけど、誰しもがどこかしらに彼女への共感を覚える部分があるはず。公式のあらすじには"「コミュ障」なのか「アスペ」なのか…"とあるけど、私には彼女そういう病名ではなく、等身大の1人の女性のように見える。 そして彼女に対する木下さんの振る舞いはというと、場面場面で臨機応変に立ち回っているけど、基本的には"全肯定"で一貫している。これが小犬丸さんの自立へと向かう物語なのであればもっと違った方向性があるかもしれないし、そういう意味でこの作品は全ての人に好まれるような作品ではないのかもしれない。それでも、この小犬丸さんのこと、延いてはこの作品の存在を認めてもらえるような世界であればいいなと思う。 1巻まで読了

19番目のカルテ 徳重晃の問診

臓器ではなく"人間を診る"専門医の物語 #1巻応援

19番目のカルテ 徳重晃の問診 富士屋カツヒト 川下剛史
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みなさまは「総合診療科」という言葉に聞き覚えはありますでしょうか? 病院の"診療科"といえば、「消化器内科」「脳神経外科」など、疾患の部位とそれに対応した処置で分けられた科が思い当たるかもしれません。それぞれの科ごとに専門的な知識や技術を有した医師が活躍している、というのはこれまでの医療マンガでも描かれてきた部分だと思います。しかし、実際の医療現場では、"熱がある"や""咳が出る"という誰にでも起こるような症状なんだけど治療をしても症状が改善されずしかも原因が分からない、もしくは、診断をした疾患では説明できない症状が現れた、ということが少なからず起こり得ます。そんな患者に対し、病気の部位に囚われず包括的に診療を行なって原因疾患を特定する、という目的で設置されているのが「総合診療科」です。 https://ho.chiba-u.ac.jp/section/soshin/index.html 総合診療専門医は、2018年から始まった新専門医制度において既存の18基本領域に加えた"19番目の基本領域"として新たに制定された専門医でもあります。 そしてその「総合診療科」の医師を主人公に描いたのがこの『19番目のカルテ 徳重晃の問診』という作品です。 かつて、NHKで総合診療医をテーマにした番組が放送されていました。 『総合診療医 ドクターG』 https://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009050706_00000 "ドクターG"と呼ばれる総合診療のプロフェッショナルが自身で実際に経験した症例をピックアップし、医師2年目の研修医3人と討論して疾患を絞り込んでいくという番組です。その番組で繰り返し強調されていたのが、「問診」の重要性。患者の発言、表情、動き、もしくは近親者による目線、そのどこかに隠されている手がかりを常日頃から行なっている「問診」で見つけ出す・見逃さないようにする。それがが総合診療医として大切なことだと伝えているように感じました。『19番目のカルテ』の第1話を読んだだけでも、診療の上で問診で"患者の声を聴く"ことの重要性が感じられると思います。 また、この作品の真髄は、実は第1話以上に第2話に隠されているのではないかと思っています。一話完結型の医療マンガだと、患者さんの病名を推測するという推理小説的な要素も含まれてきます。しかしながら、実際の医療現場においては"病名を当てること"が目的ではなく、それどころか患者さんが本当になにかの病気なのかもわからない。そんな中で、どうすれば患者さんの抱える問題が解決するのか、"人間を診る"ことで道しるべを立てていく、そんな総合診療医の特徴が見事に描かれています。 特別な技術や大掛かりな手術は登場しない、だけど医師という職業の専門性や凄さを感じられる、もちろん人間ドラマとしても面白い。そんな作品になっていくだろうと期待しています。 1巻まで読了

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