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スペースカーガールズ

女子ふたり、東北車中泊旅情 #1巻応援

スペースカーガールズ 庄司七
兎来栄寿
兎来栄寿

山形県在住の庄司七さんが描く、車中泊旅マンガです。 かけだしのマンガ家・葉月と、幼馴染のフリーター・ほのかが「スペースラビット号」に乗って東北の名所を中心に、1巻では 山形県 鶴岡市・村山市 宮城県 伊豆沼・内沼 青森県 十和田湖・奥入瀬渓流 秋田県 大曲 を巡っていきます。 東北はあまり行けていないところが多く、個人的には新鮮味もあって楽しめました。宮城だけは複数回行ったことがあるのですが、遊覧船に乗って周遊する伊豆沼内沼のハスの群生沼は未体験。実際に行ってみたいなと思いました。 キャンプマンガ的な、ご飯を作って食べて寝てという部分も楽しく描かれています。回を追うごとに少しずつ車中泊・キャンプ用品を揃えていくのが、RPGで段々と良い装備を整えて強くなっていく感覚に似ていて楽しいです。『ゆるキャン△』などがきっかけでキャンプに入門した人は特に共感も深いのではないでしょうか。 高いキャンプ用品はなくとも、300円ショップなどで何とか工面して 「こういうのでいいんだよねー あたし達は」 とできる友達がいることが何よりの財産です。 1話からエビフライカレーとチャーシューメンと日替り定食とカツ丼を一度に頼んで一口もシェアしない大食いのほのかが、毎回ご当地グルメを爆食いする様子も見どころです。 布海苔を使った西馬音内そば 羽後牛の焼肉丼 五葉豆のジェラート など、知らなかったものも多く行ったら一度食べてみたくなりました。 山形弁全開の葉月は、山形県民の方が読めば安心するのではないでしょうか。山形県の方には特に、そうでない方でも旅やキャンプが好きな方にお薦めです。 余談ですが、私は日本酒が大好きで特にお米が美味しい東北の日本酒にはリスペクトしかなく、とりわけ一番好きなのは山形の十四代。また、あとがきにも書かれていましたが冨樫義博さんを育んだのも山形県。最高のお酒と最高のマンガは山形県なくしては存在し得なかったわけで、山形県に感謝です。

悪役令嬢に転生したらヒロインが元彼だった【コミックス版】お気に入り度
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悪役令嬢に転生したらヒロインが元彼だった【コミックス版】

泣く子とイケメンムチムチ雄っぱい石油王には勝てぬ #1巻応援

悪役令嬢に転生したらヒロインが元彼だった【コミックス版】 絶蝶
兎来栄寿
兎来栄寿

『菊門高校モテ部』の絶蝶さんが描く悪役令嬢モノです。 『菊門高校』から数年経って絵がとても美麗になっており美しいキャラクターたちに見惚れます。その一方で突き抜けたテンションは相変わらずで、もう大好きです! 物語はというと、1ページ目から22歳の乙女ゲーマーであるヒロインの希美(のぞみ)が彼氏をイケメンすぎる石油王にNTRれます。 もう一度言いますね。 1ページ目から22歳の乙女ゲーマーのヒロインが彼氏をイケメンすぎる石油王にNTRれます。 「悪役令嬢」というタイトルなのに、イケメン雄っぱいムッチムチ石油王に彼氏がNTRれるところからスタートする。なかなか想像だにしない展開で、序盤から情報量の嵐とテンションの高さに気持ち良く翻弄されます。 それに対して 「まあまあのんちゃん、尊いBL CPの犠牲になったと思えば…」 という返しをするお姉さんも最高です。開始2ページでもうその先に凝縮されているであろう面白さのエキスをたっぷり感じられました。 そして何やかんやあって希美がハマっている乙女ゲーム『ハイリゲシュヴァンツ』(通称:「ハイチン」)の世界に入り込み、モトカノア・アザリア・ディ・ロ・ストーキングホース15歳として転生してしまいます。 そこで出逢うのは、そのゲームのヒロイン聖巫女ワミアンヌ・サラとして召喚された元彼の環宮くん。 希美はヒロイン役ではなく悪役令嬢として、推しのユーリス=トビア・ブラコニアを始めとするイケメンたちと相対していくこととなります。 とにかくハイテンションな掛け合いや顔芸、強すぎるパワーワードの連発で終始楽しいです。特に、タイトルにもなっている「シュヴァンツ」を巡るパートは抱腹絶倒です。かと思えば、シリアスなシーンは絵のかっこよさと迫力でも魅せてくれます。 一般的な悪役令嬢ものとはまた違った魅力を湛えた作品で、乙女ゲーや女性オタク文化に親しみがある方には特にお薦めです。

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俺のリスク

自縄自縛おじさん×自由奔放JK #1巻応援

俺のリスク イシイ渡 鳥トマト
兎来栄寿
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「東京最低最悪最高!」「おちてよ、ケンさん」の新鋭・鳥トマトさん原作、『とりま、風呂いかね?』『水族カンパニー!』のイシイ渡さん作画で綴られるホームコメディです。 東大数学科院卒で生命保険会社に勤める吉住寛治(40)。 社内恋愛はリスク。 国内旅行も交通事故リスク。 一番のリスクは長生きする家族。 と、あらゆるリスクヘッジをして独身で安定した生活を送る日々。 そんな彼の初恋の相手だったのが、寛治とは対照的で自由闊達な唐草マリア。そのマリアの突然の訃報により、寛治はマリアの娘である璃透(りすく)と出逢って彼女と暮らしていくことになります。 寛治は公認会計士などと同レベルに資格取得が難しいとされるアクチュアリーであり優秀で仕事ができますが、一方で働いてお金を稼いでそのお金でエネルギーを摂取してまた働く、毎日帰ってお風呂に入って寝るだけという生活をどれくらい続けるのだろうという疑問も内心もたげていました。マリアの血を色濃く受け継いで自分の自由意志に忠実に生きる璃透の存在が、そんな寛治の日常を大きく変えていく化学反応が見どころです。 "Risk is Opportunity(危険は可能性)" というマリアの言葉は、人生を生きる上で大事な言葉だと思います。人間の心理は安定を求めてしまいがちですが変化こそが世界の条理であり、変わり続ける環境に適応して成長・進化していくことこそが生きていくことに繋がり、また自分のみならず周囲の幸せにも続く道へと繋がっていきます。 また、このコマを始めとしてイシイ渡さんの絵も大変良いです。シンプルにマリアや璃透がかわいくて魅力的なのはもちろん、絵と物語というそれぞれの歯車がガッシリと噛み合って相乗効果を生み出しているのを感じられます。 3話のオートコーヒーブレイクマシーンの件などギャグシーンも面白ければ、大輪廻バックブリーカー教編における新興宗教団体の解像度の高さは鳥トマトさんの持ち味がよく出ていると感じられます。笑える部分、考えさせられる部分、沁みる部分の配合が絶妙です。 稲村ヶ崎の断崖絶壁の住居、住みたくはないですが毎朝絶景を眺めながらしっかりと淹れた美味しいコーヒーを飲むのはちょっと良いなと思います。 また、『俺のリスク』執筆前に描かれたという外伝的短編「マリアゲーム」が単体でもあまりにも最高なので、ぜひ読んで欲しいです。特に百合がお好きな方には。

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ふたり暮らしのおとりよせ日和

この鍋はあと2回の変身を残している #1巻応援

ふたり暮らしのおとりよせ日和 柚子桃 司馬漬け
兎来栄寿
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『めしに導かれしエルフ』の柚子桃さん&司馬漬けさんのコンビによる、新たな飯テロマンガです。 新入社員のみやこが、会社で憧れていた先輩・つばきとルームシェアをするようになるという社会人女性同士のちょっとした関係性もありながら、メインは食に置かれています。 この作品の恐ろしくて素晴らしいところは、紹介されているお取り寄せグルメはすべて実在しており、その気になれば頼めてしまうことです。そして、またすべてが美味しそうに描かれているのですよ。 最初が覚王山フルーツ大福弁才天から始まっているのが個人的にビビビと来ました。ジューシーなフルーツと求肥のもちもちとした食感のコントラスト、そこに乗っかってくる天にも昇るような上品な甘み、堪りません。 「『TAKUNABE』の極上生パスタで〆る国産牛もつ鍋チリトマト味」も大変に破壊力が凄まじいです。ビールの温存の仕方や、付属の生パスタだけでは〆が飽き足らずリゾットもやってしまうあたりは解釈一致です。 大人が楽しいのはね、こういう瞬間ですよね。いくら豪華なご飯でも、ひとりだと食べられる量も限られるし味気ないものです。しかし、気心の知れた誰かとならシェアしながら少しずつたくさん食べれますし、美味しさも何倍にもなります。みやことつばきは、性格的にも生活レベル的にも一緒にいてとても馬が合う感じがいいですね。片方だけがお酒は全然飲めないとかだと遠慮してしまうものですが、そういうこともなくハイボールやビールやワインをどんどん開けていく姿は爽快です。 今年は既に花粉も飛散しており、外に出るのが辛いという同士の方も多いことでしょう。そんなときは、この作品を読んで美味しいものを取り寄せて食べることで気分を晴らすのも良いのではないでしょうか。 グルメマンガに出てくるお店はいつも都会ばっかりでずるい! という地方の方にもお薦めです。

レオナ・ロイヤル・ロード

大いなる目標へと至る道を歩こう #1巻応援

レオナ・ロイヤル・ロード 杉谷庄吾(プロダクション・グッドブック)
兎来栄寿
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『パルワールド』が物議を醸しつつ発売1週間で1000万本に迫る超絶的なセールスを叩き出し、実に14年ぶりの最新作となる『風来のシレン6』が発売し、『龍が如く8』も発売となって明日は『グランブルーファンタジーリリンク』も満を持してアーリーアクセス開始と今日も盛り上がっているゲーム業界。 ゲーム大好き兎来さんな私ですが、それら全てを我慢して土日も仕事に励んでいます。 そんな今週末ですが、杉谷庄吾さんの『ニャリウッド!』2巻と新作『レオナ・ロイヤル・ロード』が2冊同時発売されました。もう、これだけで最高にハッピーな週末と言えますね。 『レオナ・ロイヤル・ロード』は、ひきこもりゲーマーだった少女・汰糸(たいと)の下に「レオナ・ロイヤル・ロード」というゲームの世界のお姫様がやってきてゲーム作りへと導いていく物語です。 こと「創作」に関して杉谷庄吾さんが描くものに間違いがないことは『映画大好きポンポ』さんシリーズに触れたことのある方であればご存知でしょう。本作でも創作論的な部分の熱さと面白さは健在で、そこに主要キャラクターたちの感情がしっかりと乗せられています。 タイトルにもなっている「ロイヤル・ロード」は「大いなる目標へと進む道」「幸せになる道」として規定され、この現実世界で誰しもが歩むことができるそれぞれの道として示されます。読めば、あなたにとってのロイヤル・ロードを改めて見つめ直すきっかけになるかもしれません。それは、もしかしたらどこかで諦めたり妥協してしまっていたりした道かもしれませんが、汰糸が覚悟を持って踏み出す姿には勇気を貰えるでしょう。 そして、その道が決して甘くないことも描かれます。失敗して、落ち込んで、どうしようもなくなるときの最悪な気分。しかし、それすらも自分が本気で頑張ったからこそ得られる感情で、魂の燃料ともなるかけがえのない宝物なのだと成長した汰糸に言わせるところは最高です。 ゲーム作りの部分でも個人的には共感しました。ノートにたくさんの世界設定や武具や魔法や必殺技や敵味方キャラのステータスを夢中で書き殴っていた過去を思い出します。この作品の世界ではSteamならぬSPARKというプラットフォームがありますが、自分の作ったゲームが世界に出てほんの少しでも誰かに遊んで楽しんでもらえたら、その喜びといったらないでしょうね。 ゲーム作りはもちろん、ものづくりに興味のある方、行き詰まっていた人生を打開していく物語を読みたい方にお薦めです。

だいすろーる!お気に入り度
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だいすろーる!

女子高生も仲間とすなるTRPG #1巻応援

だいすろーる! あらたとしひら
兎来栄寿
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TRPG、良いですよね。 自分ではないキャラクターになり切って演じる面白さ。 1%のダイスロールを成功させて大逆転を果たす快楽。 非日常が詰まったセッションは格別です。 ただ、たくさんの時間と仲間が必要なので、なかなか社会人になると遊べなくなってしまいます。今はスマホやタブレットで諸々のパラメーター管理からBGMや効果音、映像などまでまかなえてしまうので良い時代になったものだなぁと思います。それでも、ダイスは電子ではなくアナログのものを転がしたいですけどね。 何なら、デジタル的な繋がりが増えた現代においては人と人とが触れ合えるアナログゲームの価値というのはますます増していると思います。どこまで行っても、人はオフラインでの対面の交流に大きな価値を感じ続けるのではないかと。人狼や各種ボードゲームやマーダーミステリーやポーカーやポケカやワンピースカードゲームなどが流行るのもそういう側面もある気がしています。ようやくコロナも落ち着きましたし、TRPGもまた再評価されて盛り上がる日が来るかもしれません。 そうなったときに、盛り上がりを助けることになりそうな作品がこちら。 不幸体質でTRPGをやっても失敗判定続きになる赤井千幸(ちさち)。 冒険ギルド部部長でお金持ちのお嬢様である黒音美歩(くろねみほ)。 父親がTRPGを嗜んでいる千幸のクラスメイト黄ノ瀬りねん。 アウトドア系の部活と勘違いして冒険ギルド部にやってきた黒髪ロングストレートの蒼崎依理(あおざきえり)。 彼女たち4人を中心に、冒険ギルド部の活動であるTRPGを中心とした活動が描かれます。何も知らない千幸が初めて遊ぶところから始まるので、元々TRPGが好きな人はもちろん、これから知って好きになる人にも良いと思います。 TRPGのセッションシーンはもちろんですが、ダイスなどのアイテムを皆で買い物に行くシーンにも楽しさが溢れています。初めてイエローサブマリンのような専門店に行ったときに見る、あのカラフルに輝く普段は触れない8面・10面・20面ダイスは蠱惑的なんですよね。コンポーネントは見ているだけでも楽しいです。マイダイス、良い響きです。 お泊まり会をして夜更かししながら行うTRPGなんて最高に楽しいですからね。それに付き合ってくれる仲間がいるというのは本当に幸せなことだと思いますよ。大切にしてあげてくださいね(鑑定団の中島さんの面持ちで)。

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