吉川きっちょむ(芸人)
1年以上前
面白かった。
同作者の「ネメシスの杖」にも出てくる寄生虫の権威で天才的な紐倉博士が主人公の1話完結病気サスペンスもの。
「リウーを待ちながら」が秀逸すぎたので作者の過去作品を辿っていく形で読んでいるが、1話完結型でも内容が濃くて満足感がかなり高い。
このシリーズでの連載をずっと読んでいきたかったのだが、もう出ないのだろうか。
この漫画で扱っているテーマは、
・水際対策を越えて入ってきた致死性のウィルスに対する初期対応
・いきすぎたアンチエイジングブームからの不老不死への欲望
・遺伝がもたらすものと環境因子
といった感じの濃厚な3話。
話の内容もかなり掘り下げられていて面白いが、登場人物の関係性も良く描かれている。
かなり変人だが天才の紐倉博士と、元医者の優秀な助手のやりとりがいい。
紐倉博士は目的のためには手段を選ばないタイプで、助手は倫理観、正義感から融通が利かない堅物なので当然衝突するのだが、二人とも優秀なので平行線ということもなく会話は案外建設的だ。
紐倉博士は興味で動き、助手は高い給料で釣られ正義感で動くのも対照的だ。
ドラマで見たいなとも思う。
インハンドというタイトルだが、全ては神の手の内ということだろうか。