takaaki
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1年以上前
自分の中で特に印象的なシーンの1つが,14巻にある.主人公が,王の兵士にただひたすら殴られ続けるという話だ. 他のマンガであれば,こんな展開はまずあり得ない.魅力的なキャラクターであるはずの主人公が何の抵抗もせずに殴られまくるなんて,普通に考えればメチャクチャカッコ悪いに決まっているからだ. ところがこのヴィンランド・サガでは,そんな主人公の姿がメチャクチャにカッコ良く描かれてしまっている.そのカッコ良さは,最初は笑いながら主人公をバカにしていた兵士達が,最後には真剣な表情になり彼に敬意を払ってしまうほどだ. 常識的に考えれば絶対にカッコ悪い展開を,メチャクチャカッコ良く描いてしまっていて,さらにサブタイトルは「無敵」. このシーン一つをとっても,とてつもなく深い作品だと感じている 同14巻には,サブキャラクターが「だまって嗤(わら)われる勇気がなかった…!」と,過去の自分の行動を泣きながら悔やむシーンが出てくる. 周りにただバカにされる姿なんて,普通に考えればカッコ悪いに決まっている.でもそれを軸の一つとして,作者は大事な何かを描こうとしているのだ いったい何を描こうとしているのか?現在23巻まで刊行されているけれど,自分にはそれが深すぎて,まだ断片的にしかわからない 「だまって嗤われる勇気…?何だよそれ?」読むたびに考えさせられてしまう. マンガ作品であると同時に文学作品でもある,すさまじい作品だと感じている.
takaaki
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1年以上前
この作品を連載開始から読み続けて17年以上、第26巻に収録の「その日②」を読んだ時、一読者として非常に感慨深いものがあった 「綺麗事過ぎる話だ」、「いくらなんでも美し過ぎる描写だ」、そう感じる人もいるかもしれない でもこの展開と描写こそが、作者が長年の連載を通して描きたかった「愛」に対する1つの解釈だと感じるのだ 「……気安く愛を口にするんじゃねェ」 幸村誠氏の作品を読み続けてきた自分は、ヒルドが自分の父の仇であるトルフィンを赦すと言った時、前作「プラネテス」最終話のこの台詞が頭に浮かんだ きっと幸村氏もこの台詞を意識しながら、長年に渡ってヴィンランド・サガを日々描き続けてきたのだろう この作品の序章には、次のような描写がある 「……ならば親が子を… 夫婦が互いを ラグナルが私を大切に思う気持ちは 一体なんだ?」 「差別です 王にへつらい奴隷に鞭打つこととたいしてかわりません」 幸村氏は「愛」というものに対して、「ほとんどの人が到達困難なもの」と考えていると、自分は感じている 26巻でヒルドがトルフィンに「お前は真の戦士だ」と伝えるシーン、その瞬間において2人の顔は、はっきりとは描かれていない このような描写も、この「ヴィンランド・サガ」が持つ凄まじさだと自分は感じるし、「真の戦士」と伝えてはいても「本当の戦士」と伝えてはおらず、今後の展開も気になってしまう 数多くのフィクション・ノンフィクション作品で語られ続ける「愛」とは、いったい何なのか? この作品を読む度に、自分はそれを考えさせられるのだ
J
1年以上前
# 伊藤潤二『マニアック』20作品のマンガ原作のまとめ https://ji-anime.com/story/ #01 「怪奇ひきずり兄弟 降霊会」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/37 #02 「トンネル奇譚」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/91 #02 「アイスクリームバス」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/63 #03 「首吊り気球」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/79 #04 「四重壁の部屋」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/28 #04 「睡魔の部屋」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/43 #05 「侵入者」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/98 #05 「屋根裏の長い髪」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/45 #06 「黴」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/60 #06 「蔵書幻影」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/115 #07 「墓標の町」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/84 #08 「恐怖の重層」 伊藤潤二研究 ホラーの深淵から https://manba.co.jp/boards/93090 <試し読み> http://sonorama.asahi.com/comic/junjikenkyu-juso.html #08 「漂着物」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/88 #09 「富江・写真」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/4 #10 「耐えがたい迷路」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/49 #10 「いじめっ娘」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/51 #11 「路地裏」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/53 #11 「首のない彫刻」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/71 #12 「耳擦りする女」 https://manba.co.jp/boards/86088/books/8 #12 「双一の愛玩動物」 https://manba.co.jp/boards/84812/books/112