兎来栄寿
兎来栄寿
5ヶ月前
小骨トモさんの2冊目となる短編集です。 それぞれ発表時に話題になった「リカ先輩の夢をみる」、「それでも天使のままで」、「あの嫌いなバンドはネットのおもちゃ」の短編3作に加え、今回の単行本で先行収録となる「先生のクモのイト」の4篇が収められています。 「先生のクモのイト」は、「あの嫌いなバンドはネットのおもちゃ」に連なる作品となっています。 全体的な読み味としては、1作目の『神様お願い』と同様です。表紙絵のようにベースの絵柄は丸っこくてかわいらしいのに対して、剥き出しの″人間″が顕にされる中身の鋭利さたるや。 最初の「リカ先輩の夢を見る」からして、精神的に余裕があるときでないと食らいすぎるので読む時分とコンディションは選びたい作品です。果てしなく深い共感と、そこに隣接する絶望的な感情。読みながら魂が汗をかき血涙を零します。 1篇だけでも抉られるのに、1冊を通読したときの痛痒感といったら。 心の瘡蓋をガシガシと剥ぎ取られ、傷口をグリグリと穿られるような、そしてそれが痛みだけではなく何か他の感情をも催してくるような。 同じ経験をした訳ではないのに、どこか記憶の奥底にある罪悪感を喚起され撫ぜられるような部分もあります。 鋭敏なセンスが昏い輝きをもって溢れている短編集で、ダウナーな気分に浸りたい方やそうした作品が好きな方にお薦めです。
さんかく
さんかく
5ヶ月前
まず初めに最初は自分もあんまりだなと思ってました。 デスゲーム系の雰囲気で1つ目のゲームというか戦いが終わってもピンとはこなかったです。 なんか矛盾やツッコミどころが多くて脱落する人も多かったですし、私もその一人でした。 しかし、期間を空けて別の作品ついでに今どんな感じかなと冷やかし程度に見に行ったらそこは最初とは全く違っていました。 まずキャラが格段に魅力的になっています!敵も味方もです。 おまけは絶対に見てください。 見ないと後悔するレベルでおまけのギャグセンスが高くて、大体3ページくらいなのに満足度が高いです。 結構重要な情報では?と思わせる話も何でもないことかのように出てきます。 次にストーリーです。 最初は矛盾が多いと感じた部分が進むにつれて回収されていきます。 その上で新たな謎が出てくるので複雑になりすぎず楽しめます。 せめて信長が出てくるとこまで読んでほしい… この作品は基本、人側が不利なデスゲームをどうやって勝利するかのバトルです。 力勝負では絶対に勝てない相手には死亡の条件があり、それが達成されればいくら強い敵が相手でも勝つことができます。 味方と力を合わせて勝利への糸筋を見つける、そんな物語です。 ジャンプラで一気見できるのでぜひ見てください!