地獄の田中2017/06/05魔に魅入られた妹マコと闇の禁書になぜか詳しい兄トシオが悪夢のような事件に巻き込まれていく両親を事故で亡くしたトシオとマコが不気味な施設に入所する1話目の前に、その前日譚となるような変死・怪死事件の遺体発見者として警察に事情聴取を受けているところマコに特殊な能力があるとわかって捜査に協力するように頼まれるというのが0話が巻頭に収録されている。 死体や臓器が生々しく描かれていてそこも恐怖をそそるのだが、可愛らしいマコが幼女らしく派手な怯え方をする 顔が不気味で怖い(自分が一番よくわからない能力を持っているくせにと言いたくもなる) 高橋葉介や伊藤潤二、楳図かずおが好きなら間違いなくハマると思う。 闇夜に遊ぶな子供たちうぐいす祥子2わかる
地獄の田中2017/06/05リュウ史上初の金龍賞受賞作家のデビュー短編集COMICリュウが主催する新人賞「龍神賞」のいわゆる大賞的な位置づけの金龍賞を今のところ唯一受賞している作家のデビュー短編集。(中国の漫画とかの賞に金竜賞があるけどそれとは別) 受賞作がコミックスの最後に収録されている「バースデイ」、表題作の「人生は二日だけ」は巻頭に収録されている。ほとんどの作品が、SFやファンタジックな設定の中で命や生命を題材に扱っている。 どれもとても面白いんだけど、「バースデイ」はやはり迫力があった。人工的に作り出した赤ん坊の生みの親?の科学者は売り払ってしまおうとするんだが、その精子を提供した男は育てようとする。この後に事件があって、クライマックスにいくんだけど、科学者と男の両サイドを終わりに向かって絶妙な具合で行き来している。 これからの作品も楽しみ人生は二日だけ堤谷菜央1わかる
地獄の田中2017/06/04黒魔術師の双子に弄ばれる恐怖「死人の声をきくがよい」のひよどり祥子の別名(うぐいす祥子)作品。 「死人の声をきくがよい」よりもギャグ的な展開と要素が少なくホラーの割合が多くてとても怖い。 ストーリーは、東都大学に通う主人公がアルバイトとして中学生の双子を教えることになったんだけど、黒魔術の実験台にされたり悪魔召喚の供物にされたりして弄ばれる。普通だったらギリギリのところで助かるんだけど、この漫画はアクセルを踏みっぱなしで、死んだら死んだでいいか!って感じでかわいそう。 伊藤潤二的なでろでろした液体が体から出てきたりして気持ち悪いし、結局ただバケモノに襲われるんじゃなくて、双子に弄ばれた結果バケモノに襲われるっていう人間って怖いなってところに着地させるいいホラー漫画。フロイトシュテインの双子うぐいす祥子
地獄の田中2017/06/01『美術部の海野さんと山田くん』真造圭伍モーニング2017年27号📷【CARNAVAL】の第10弾、この読み切りが真造圭伍モーニング初登場だとか。 美術部で真面目に絵を描いている山田くんは、絵も描かずにだべっているだけの美術部員海野さんがそんなに好きじゃない。けどある日海野さんに絵を褒められて「普段はキモーいってバカにしてくるのに急に褒め出したから何か裏があるのでは?」って勘ぐっていると、案の定マニキュアを塗って欲しいと頼まれた、っていうマンガ。 真造圭伍らしい、なんてことない日常を捉えながらも心情がよく伝わってきてなんだか懐かしい気持ちになるいい読み切りマンガだった。美術部の海野さんと山田くん真造圭伍
地獄の田中2017/05/30大友克洋のかなり初期の頃の作品を集めた作品集大友克洋作品集の中でもかなり初期の頃の作品が集まっている。絵も荒削りで中期頃くらいからの完成された絵の感じとは結構違う。大友克洋はあとがきとかで自分で言っているけど画面が白いのも特徴の一つだが、この作品集の作品は割と暗いものが多い。 内容も闇社会とか心中とか気が触れたような男の話だとか暗くて重たくて、社会のそういった面をかなり写実的に描いているようにも見えて最後の最後で放り投げる軽さのようなものがあって、「気分はもう戦争」とか重いテーマながらとどこか軽さのある作品作りを可能にするバランス感覚の芽は初期からあったんだなと思わされた。 色々な意味で一筋縄ではいかない漫画だけど、童夢やAKIRAに見られる破壊衝動の原点が見られるような気もする。 絶版で手に入りづらく、そして値段も高く、暗くて重たいが大友克洋ファンならぜひ。BOOGIE WOOGIE WALTZ大友克洋
地獄の田中2017/05/30時代劇もあってバラエティに富む大友克洋の作品集。大友克洋の作品集。初期の方は金もないし女にもモテない学生のアングラチックな日常とかバンドマンとかヤクザとかの話が多いし、「GOOD WEATHER」にもそういう話はあるが、「信長戦記」とか「CHUCK CHECK CHIKEN」は時代劇の漫画で珍しいなと思った。 信長戦記は「戦国自衛隊」の逆っていう感じで、戦国時代の武将たちがタイムスリップしてきて襲ってきた…っていう始まり方。時代劇っぽさがありながらSFも少し混じっていて結構面白かった。やや「気分はもう戦争」のような気配もあるかも。「CHUCK CHECK CHIKEN」もっとコテコテのドタバタ時代劇って感じ。 表題作の「GOOD WEATHER」は雨が降る寸前の海の家の話だけど、読後感の良い情緒的な話。 全体的にコミカルな調子があってダークさはあまりない。結構好きだった。 ただ、絶版で値段も高いので、大友克洋が大好きなら良いと思うが、少なくと「童夢」「AKIRA」的な話はないのでそこに期待しているのなら違うと思う。 「気分はもう戦争」から戦争テイストを抜いた感じかな?(違うか)GOOD WEATHER大友克洋
地獄の田中2017/05/29静謐な空気の中で修道女の苦悩と葛藤が静かに描かれるまず全ページカラーで単行本化されているんだけど、光の感じが全ページ凄まじい。これだけで引き込まれるものがある。 物語はある修道院の修道女の話で、基本的に修道女としての務めを果たしていく姿が描かれているんだけど、言葉にしがたい不穏さのようなものがどこかから漂ってきて、平和な世界のはずなのに終わりが用意されているような緊張感が常にある。 漫画に音というのはないんだけど、それでも静かな漫画と表現をしてしまいたくなるほど、静けさが全体に満ちている。修道女という与えられた生き方の中で自分と神と家族への愛を静かに問いかけ続ける漫画。とても良かった。かごめかごめ池辺葵5わかる
地獄の田中2017/05/28不思議な桃を食べてタオを使えるようになった武闘家の戦いジャンプGIGAの新連載。2017年の最初の号で連載系は出切ったかなと思っていたが、2号目からの新連載だった。 不思議な桃を食べるとタオを使えるようになって、タオを使う武道家が悪さをしているから同じく桃を食べた主人公が仙人からのお役目としてタオ使いの武道家を倒して、人間界に安定をもたらすって言う感じのマンガ。 絵が普通に綺麗なだけじゃなくて、戦いのシーンが、武道とタオの魔法的な絵柄がとてもマッチしていて迫力もあってとてもいい。 そして久しぶりにタオという設定を見てちょっと胸熱だった。TAOTAO -タオタオ-那波歩才2わかる
地獄の田中2017/05/27天才プロ棋士の兄を越えるためにプロを目指す、ジャンプGIGA新連載ジャンプGIGA新連載の将棋マンガ。天才プロ棋士として有名な兄を持つが主人公の紅葉は中学でもちょっと強いくらいの実力。ある日、女性初のプロ棋士の銀杏に強制的に弟子入りさせられて奨励会(プロ棋士養成所)を目指すことになる話。 奨励会をじっくりと描いている珍しい将棋マンガかなぁと思うのもあるけど、将棋っていうちょっとかたい雰囲気になりそうなテーマながら軽いテンポ感と少年誌らしい盛り上がりを持ってて面白い。モミジの棋節里庄真芳
地獄の田中2017/05/26番外編 伊橋・ボンさんの 漫画家食紀行スペリオールの新連載として番外編 伊橋・ボンさんの漫画家食紀行が始まった。 大御所漫画家を巡って伊橋・ボンさんが話を聞く漫画。 1話目はモンキー・パンチ。 「おお、さすが金持ちだな」ってところから始まって、どうやって漫画家デビュー頃の話と今も3徹くらいしているっていう話があって面白かった。 デジタルマンガ協会の会長らしいが、だからってフォトショくらいならプログラム組めるのはすごいな味いちもんめ 食べて・描く! 漫画家食紀行あべ善太 倉田よしみ
地獄の田中2017/05/25『マル!』武川展子 アフタヌーン 2017年7月号📷『マル!』武川展子、四季賞受賞作。 捨てられていた介護女性ロボットを拾った青年の話。 ロボットへの向けていた感情が、少しずつ変化していっているのがよく伝わってくる。そして… 審査員である鶴田謙二先生が「ここで終わるのが良い!!」とコメントしていて、「ああ、確かに笑」と思った。マル!武川展子1わかる
地獄の田中2017/05/22人情味のある話がまとまっている、大友克洋の短編集大友克洋といえば『AKIRA』『童夢』の超能力とか近未来SFっていう印象が強かったけど、「さよならにっぽん」はそういうSF要素はない。 収録されているのは『East of The Sun, West of The Moon』『さよならにっぽん』『聖者が街にやって来る』『A荘殺人事件』の4作品で、『A荘殺人事件』だけがミステリー調で他は人情味溢れるいい話。だから、大友克洋=AKIRAって期待するとちょっと外れるかも。少なくともでかいクジラがNYを押しつぶす話ではない。 ただ、『East of The Sun, West of The Moon』『さよならにっぽん』『聖者が街にやって来る』の3つは大友克洋の初期に、社会の闇の部分とか退廃的な人間とかを多く描いていた頃よりももっとライトに読みやすくなって、じんわりと心に残るとてもいい短編だと思う。 『さよならにっぽん』が1〜5まである連作。『East of The Sun, West of The Moon』と『聖者が街にやって来る』は内容的なつながりはないけど登場人物がかぶる。『聖者が街にやって来る』が一番好きだな。 『A荘殺人事件』はカツ丼が出て来るから『GOOD WEATHER』って短編の『カツ丼』と繋がっているのかもしれない。 値段もそんなに高くないからおすすめ。さよならにっぽん大友克洋4わかる
地獄の田中2017/05/22『AKIRA』『童夢』の元になったらしい『Fire-Ball』も収録されてるSF短編集『Fire-Ball』は『AKIRA』『童夢』の元になったらしい(Ballなのかballなのかこの短編集内でもブレてるんだよね) 自由にSF描きたくて『Fire-Ball』をやったんだけど、ページ数とかの制限がありなかなか上手いこといかず、AKIRAは自由にやろうと思った。『Fire-Ball』を描いている時に童夢の構想を思いついた。この二つがあとがきで描かれていたので、広い意味では元になったと言えるかと。読んでみるとAKIRA・童夢と繋がっているように十分思える内容。 個人的には表題作の「彼女の想いで…」「武器よさらば」が好きだな。「武器よさらば」の表現の仕方がすごいので読んでもらいたい。 どれもいいSF作品なので、大友克洋好きなら買って損はないと思う。古本屋で800円くらいで買えた(定価は1500円)から見つけたら買おう。彼女の想いで…大友克洋
地獄の田中2017/05/22ネタバレ戦後ハリウッドを舞台にした表現の戦いの歴史ビッグコミックオリジナルで新連載の「赤狩り」はハリウッドを舞台に、『猿の惑星』『エデンの東』『ローマの休日』の製作者と当局が進める赤狩りとの戦いを描くよう。 流し読みできないくらいストーリーが濃密ですごかった。楽しみな新連載。ビッグコミックオリジナルは最近すごいな赤狩り THE RED RAT IN HOLLYWOOD山本おさむ
地獄の田中2017/05/22週刊ポスト特別掲載の書き下ろし読み切り📷週刊ポスト6月2日号(5/22発売)にBLUE GIANT SUPREMEの読み切りが載っていた。 8p全部カラーで、そのあとに石塚真一へのインタビューもある。 カラーが綺麗だから読んだ方がいいと思う。BLUE GIANT SUPREME石塚真一 NUMBER8
地獄の田中2017/05/19荒んだ戦後を義理を通して生きていった女の話空襲で母を亡くして一人で戦後を生きていかなければならなくなった翔子の幼少期から成人するくらいまでの話。 「受けた恩は倍にして返せ、受けた恨みは三倍にして返せ」というセリフが序盤で出てくるんだけど、これが翔子の人格を象徴していると思う。 特に、娼婦のためにマッチ売り(米兵相手の売春のようなもの)をして金を稼いだ話は結構ジンときた。 梶原一騎の荒々しさがストーリーに結構反映されていたように思うけど、上村一夫の艶やかな絵がうまくバランスを取っていたと思う。昭和一代女梶原一騎 上村一夫
地獄の田中2017/05/18『アンロック』 原作:小林靖子/漫画:鎌谷悠希 モーニング25号📷モーニングの35周年読み切り企画CARNAVAL第七弾は原作小林靖子、漫画鎌谷悠希のコンビで『アンロック』しかも3号連続のストーリーになるよう。 テーマパークを改修して作られた刑務所が舞台で、そこでは囚人たちの懲役年数を金に換算して借金として扱っている。罪は働いて返せということらしく刑務官とかもいない独立都市的監獄。ちなみに殺人だと1億円くらいらしい。 そこに宗教大学の見習い僧が授業の一環?として「位牌回収」にやってきたんだけど、その位牌がなにやら事件を呼び起こしそうっていうところで終わった。 伏線というか話の盛り上がりそうなところが結構あって面白かった。アンロック鎌谷悠希 小林靖子
地獄の田中2017/05/17ネタバレ新シリーズ菊之丞が連載開始!ビッグコミック6月増刊号から菊之丞編が始まった 今回は三代目菊之丞の話のよう。3部作で行われるようだけど、1話目は面白かった。鼻紙写楽一ノ関圭
地獄の田中2017/05/17『キスアンドクライ』池田祐希 週刊マガジン 2017年24号📷タイトルからわかる通りフィギュアスケートの漫画。 16歳でありとあらゆるタイトルを取ったフィギュアスケーターが事故?で1年間意識不明&起きたら記憶喪失になっていた…っていう話。 話の終わり方が、「え?ここで終わっちゃうの?」っていいう終わり方で、連載を見据えているんだと思うし、ぜひ連載になってほしい。 スケートの描き方も上手だし、話の作りも面白いし、いやー続いてほしいキスアンドクライ(読切)池田祐希1わかる
地獄の田中2017/05/12少し重たい空気感があるバンド漫画高校生を主人公に置いたバンドの漫画って結構爽やかな空気が多いように思うけど、空電ノイズの姫君はどことなく空気感が重たいというか独特の雰囲気がある。 ギター少女の磨音は友達がいないし、綺麗な声を持っていてそのうちバンドのボーカルになりそうな夜祈子は美人すぎてクラスメートかやっかまれて転校してきたばっかりなのにすぐにいじめられている、けど、二人はそれを苦にしているわけじゃなくてどうでもいいと思っているそういうふたりの空気が作品全体に広がっているような感じがする。 まだ演奏シーンも今のところあんまりないし、バンドの結成もまだだけど、色々なものが噛み合ったらかなり爆発力のある展開が待っていそう。空電ノイズの姫君冬目景
地獄の田中2017/05/12『河原の怪人』野田彩子 FEEL YOUNG 2017年6月号📷三十歳の男がコンビニのバイトをクビになって入水自殺をしようと川を訪れたんだけど、いざ死のうと思ったら自称幻覚の美人の女に自殺を止められる。女はしょぼい奇跡を起こして自殺をさせないようにする…っていう話。 前半は三十歳の男の境遇が悲惨なんだけどどこか振り切った悲惨さで笑える面白さがあるんだけど、最後ひっくり返される。 さすが野田彩子って感じでした。河原の怪人野田彩子1わかる
地獄の田中2017/05/12『○休SF大会』 コミックビーム2017年6月号久正人パロディの「イッキュウガン」 永井豪パロディの「トンチーイッキュー」 三部けいパロディの「一休だけがいない街」 石ノ森章太郎パロディ「イッキュウの道」 一休さんでここまでパロディするか?ってくらい盛りだくさんで面白かった夜は千の眼を持つ上野顕太郎
地獄の田中2017/05/11地球以外はなんでも運ぶ貨物便地球以外はなんでも運ぶと豪語するロクデナシ機長モーガンと二人の副機長がいろんな物を世界中に届ける漫画。 積荷は基本的に貨物なんだけど、たまに亡命しようとしている人を運んだりもして、よく戦闘機に追いかけられてミサイルとかを打ち込まれているんだけど、空軍上がりの技術で逃げ切ったり撃退したりもするとんでも機長。 モーガンは女に弱くて下ネタも多くて、基本的にダメなおっさんっていう感じなんだけど、輸送法の裏をかいて亡命の手助けをしたり人情味溢れるいい話も結構あって好きだった。 ワンピース1着保守管理者2名を運んだ話が一番好き。ミリタリー系漫画とまではいかないけど、そういう系好きな人にはおすすめ。アリス12新谷かおる
地獄の田中2017/05/11池田エライザ×吉沢亮で6月からドラマ配信ドラマ版『ぼくは麻理のなか』が、6月5日からフジテレビオンデマンドで配信されらしい。 全然知らなかったからマジかって驚いてる。 そして麻理が池田エライザだったらそりゃコンビニで見かけるだけで幸せになれるわって納得感がありました。 http://www.cinra.net/news/20170511-bokuhamarinonakaぼくは麻理のなか押見修造