吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
1年以上前
スケラッコ先生の新作。 実在したとされるたくさんの怪異に遭う侍の話が現代版にされてすごくゆるくかわいくなっている。 広島でお好み焼き屋を営む16歳の平太郎の元に、ある日から妖怪たちが現れ始める。 何をするというわけでもなく、驚かせようとしたり、お店の邪魔をしたり。 その怪異、妖怪を流しながら近所の人や彼女、家族との生活を1日ごとに淡々と描いていく。 この淡々と、というのがみそで、恐怖心というものをあまり感じない平太郎は逆に執着みたいなものが無いように描かれるので、人間同士の関係性においてもどこか距離を感じてしまうのだ。 恐怖を感じる源ってやっぱり執着だよね、と思う。 何かを失うのが怖かったり、嫌われるのが嫌だったり、固定観念を壊されるのが怖い人もいると思う。 僕はお腹がすくのが怖いからご飯をできるだけお腹空いてなくても3食ちゃんと食べようとする。 それらは今まで自分が得てきたものへの執着からなんだろうなと思うんだけども、平太郎にはそれがない、ように見える。 日を重ねていくことで平太郎の中に何か芽生えるものがあるのかないのか。 執着を自覚できるのかどうか。あのかわいい彼女のことは。 後編が楽しみです。
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
1年以上前
急遽話をたたみに向かった大ボリュームの2巻、面白かった。 めちゃくちゃ気が合うかって言われたら別にそういうわけでもないし、全部の考え方に共感できるわけでもなし、衝突もあるけど、なんとなく集まると安心できるような人たちっていうのがいる。 友達と言ってもいいような存在なんだけど、なんだかそれだけじゃないというか。 それは、同志なのだと思う。 僕は帰国子女なのだけど、当時現地に住んでいた日本人とは今も距離が近い。 いわゆる共通の何かに対して立ち向かった同志なのだ。 別に仲が良くない人に対しても何か感じるものがあったのは、まさにそれだ。 この話は、ある暴力装置を手に入れたことで、てんでバラバラな方向を向いていたただの同じバイト先の人たちが同志に変貌していく話だと思うと心に来るものがある。 こうやって表層的な部分ではなくより深い芯の部分で繋がっている場合、よっぽどのことがない限り壊れない強い絆が生まれる。 今の世の中を生きていくには、同志を作る必要があるかもしれない。 この漫画の6人の関係性はとても居心地がよかった。 彼女らの5年後、10年後と見守っていたくなる。 韓国映画の「サニー 永遠の仲間たち」なんかたまらなかった。 もっと読んでいたかっただけに2巻で終わってしまうのは本当に残念だった・・。