吉川きっちょむ(芸人)
1年以上前
スケラッコ先生の新作。
実在したとされるたくさんの怪異に遭う侍の話が現代版にされてすごくゆるくかわいくなっている。
広島でお好み焼き屋を営む16歳の平太郎の元に、ある日から妖怪たちが現れ始める。
何をするというわけでもなく、驚かせようとしたり、お店の邪魔をしたり。
その怪異、妖怪を流しながら近所の人や彼女、家族との生活を1日ごとに淡々と描いていく。
この淡々と、というのがみそで、恐怖心というものをあまり感じない平太郎は逆に執着みたいなものが無いように描かれるので、人間同士の関係性においてもどこか距離を感じてしまうのだ。
恐怖を感じる源ってやっぱり執着だよね、と思う。
何かを失うのが怖かったり、嫌われるのが嫌だったり、固定観念を壊されるのが怖い人もいると思う。
僕はお腹がすくのが怖いからご飯をできるだけお腹空いてなくても3食ちゃんと食べようとする。
それらは今まで自分が得てきたものへの執着からなんだろうなと思うんだけども、平太郎にはそれがない、ように見える。
日を重ねていくことで平太郎の中に何か芽生えるものがあるのかないのか。
執着を自覚できるのかどうか。あのかわいい彼女のことは。
後編が楽しみです。