お宅の夫をもらえませんか?

隣の芝生は青いというけれど

お宅の夫をもらえませんか? いくたはな みこまる
六文銭
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マンバさんのレコメンドで出てきて、タイトルから興味しかなく、即読みました。 結論からいうと、中々の後味の悪さ。 この手のジャンルはこれくらいビターな結末なほうが、リアリティがあって好きなので、個人的には良かったです。 さてその内容ですが、農家の家に嫁いだ主人公。 義理の両親と同居し、農家の手伝いをするもひたすら嫌味を言われる日々。 夫は主人公に無関心。 むしろ自分が継がなかった農業だけでなく、家事や育児も主人公に押し付けるクズっぷり。 結果、家のどこにも居場所がないと感じる主人公。 そんな中、近所にスーパーが開店。 家から逃げるようにパートをはじめ、自分の価値を認めてくれる職場に本当の居場所を感じるようになる。 そして、普段から優しく接してくれた、職場の上司でもある店長と不倫をしてしまう。 しかも、彼は同じ保育園に通うママ友の夫で・・・という流れ。 みんな、自分以外は幸せそうに見えてしまうものです。 そんなわけないんですけどね。 気になったのが、店長の動機。 店長の奥さんはよくあるキツイ性格でもなく、むしろ支える系の奥さん。田舎に赴任することになっても、好きな仕事を辞めても、文句言う事なくて店長についてきたという尽くしっぷり。 後腐れなくカラッとした性格なのに、なぜ店長は主人公とそんな関係になったのか?がちょっと疑問でした。 完璧すぎて、店長として逆に窮屈だったってことでしょうか。 そこに主人公のちょっと抜けている感じと、境遇の不憫さに共感したという感じですかね。 なんとなくわかります。 1人で何でもできて、幸せそうな人だと、自分の存在価値ってなんだろう?ってなりますからね。 しかし、まぁ、店長の奥さん、あんなにいい奥さんっぽいのに、不倫がわかったときのガチギレ具合はちょっとしたホラーでしたね。そこも見どころです。 最終的に主人公は、どういう決断をするのか? ご堪能ください。

泥酔彼女

ストレスフリーなラブコメ

泥酔彼女 ぽんこつわーくす 加川壱互 串木野たんぼ
六文銭
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芸能事務所のマネージャーを姉にもつ主人公。 そこに所属する女性の1人が、酒飲みにやってくるという話。 年上女性×年下男性。 大きなくくりではそうなのですが、女性のほうが大酒飲みでウザ絡みをしてくるというのが本作の設定。 そして、ラノベ原作ではもはや様式美の、第3者の幼馴染がそのシチュエーションにヤキモキすると言った感じ。 年上のお姉さんが大酒飲みで泥酔がてら絡んでくるなんて、現実ならワンチャン期待しちゃうものですが、そこもラノベの主人公。 謎の貞操観念で、この状況でも何も起きない。 ひたすらダベって、たまにイチャコラして、それに嫉妬したりなんやりしするも、関係性にあまり進展はしない。 だが、それがいい!不思議とそれがいいのです。 この何も起きないヌルくて、ゆるい展開が、無駄にドギマギしなくて逆に良いのです。 ストレスフリーにペラペラと読める。 また、男女であっても上記のような関係が続くのって、今っぽい関係性の作品だなと思います。 ラブコメ作品ですが、ラブは少な目、というか主人公が安定の鈍感系なのであまり全面にでないのも個人的には良かったです。

【無料連載】19歳のぼくが母のおむつを替えた日~ヤングケアラーの現実と再生~

ヤングケアラーの実態が知れる

【無料連載】19歳のぼくが母のおむつを替えた日~ヤングケアラーの現実と再生~ 一ノ瀬かおる
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読んでいて凄く苦しくなりました。 誰も悪くないのに少しずつおかしくなって、気づけばどうにもならなくなって、結果家族全員が不幸になる感じが現実社会そのものでキツイ。 主人公は、幼い頃に父親が他界し母子家庭。 そこから母親は女手ひとつでお店(お好み焼き屋)を切り盛りしていき、主人公もそれを手伝うようになる。 ところが母親には、もう1つの顔があり、いわゆるスピリチュアルカウンセラー的なもので、これによって主人公の生活が大きく影響を受ける。 色んな人から悩みを相談され、店を閉めてまで遠方にいったりするから、生活はますます困窮していく。 しかもお金はとらない。 お金はまくものだと、神さまがちゃんとみているから、良いことをすればちゃんと返ってくると信じている。 ここまでなら、ただのお人の好しのお母さんなのですが、自分がリアルだなと感じたのは、有りていに言うとお金の問題は子供である主人公を使うところ。 大家さんに滞納した家賃を払いにいかせたり、親族の遺産相続の場に主人公を使ったり・・・ あまつさえ、 「お前を学校にいかせるためのお金なんだから」 と言われてしまう。 親ってなんだろうって思ってしまった。 金銭的に何不自由なく・・・は難しいんだろうけど、少なくとも、親なら子供の成長や教育、それに付随する費用は、這いつくばってでも何とかするのが親なんじゃないんだろうか。 少なくとも、自分はそう思うので、この親のセリフや行動はやはり理解できないし、主人公にただただ同情しかなかった。 その後も、タイトル通り母親が病気で倒れた後は介護などで追われ、子供でありながら母親の奴隷として、肉体的にも精神的にも縛れていきます。 共依存関係ってこうして産まれるんだと、身にしみます。 まだ完結していないようですが、その後、自分の人生を歩むことができたのか?気になるので続きを楽しみにまとうと思います。

股間無双~嫌われ勇者は魔族に愛される~

転生モノをとことん下品にした感じ

股間無双~嫌われ勇者は魔族に愛される~ ジブロー 脇道それる
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転生モノで無双するのはよくあるのですが、 股間で無双とな? とタイトルから下ネタであることはある程度予想していたのですが、その予想の何十倍もすごかったというのが率直な感想。 それが、天下の講談社の、しかもヤンマガでこれをやるのだから恐ろしい。 自慰行為をしすぎて死亡(バカ)した主人公は異世界に勇者として転生する。 転生前によく出てくるチュートリアル的な女神・オナ神に、主人公が転生前に童貞の平均オ○ニー回数で世界1位だった(バカ)ことで、射精特典(有り体に言うと治癒的な能力)を付与され、その効能が魔族にも人類にも影響与えるという設定。 特に、魔族には魔力を上げるようで、魔族(といってもきぐるみを来たような女性)に、色んな意味で好かれてしまう。 基本的には下ネタとギャグ中心で、謎の画力の高さとあわせて、グイグイ読ませてくれます。 ヤリマーン帝国首都テマーンとか、しょうもないところも個人的には好き。 時折、HUNTER×HUNTERの名シーンのパクリ、もといオマージュのようなものが出てくるのも一興です。 一般誌でよく出せたなってレベルな作品なので、それ系が苦手な人は避けたほうがいいかもです。

くちべた食堂

口下手な二人のじれったさがたまらない

くちべた食堂 梵辛
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近所にある定食屋に、気になっていたが入りたくても入れず、時間ばかりが過ぎて5年間。 5年間ってすごいなと思うのですが、客足が少ない個人店って入るのめっちゃ勇気いるので、入るの躊躇するのはわかります。 そこで美味しかったことを伝えたい!店員は着てくれて嬉しいと伝えたい!が、双方、口下手で言えない。(タイトル回収) 悶々と葛藤したすえにふりしぼった二人の言葉は 「また来ます」 「また来てね」 この時点で、自分のなかで名作が確定しました。 店員との会話ってハードル高いし、ましてや気に入った店ならあんまり声かけて気まずくなりたくない人間なので話すことの抵抗はよくわかります。 それでも何か感謝の言葉を伝えたいという気持ちも伝わってきて、最終的に感謝が上回る感じのカタルシスが半端なかったです。 全編通して、口下手な二人が思いを伝えたいのに言わない、じれったい感じが見ていてたまらないし、だからこそ時折思いが一緒になるときの謎の感動が半端ないです。 ご飯を純粋に楽しむ姿もかわいいです。 ずっと眺めていたくなる。 あぁ、この2人の関係が「尊い」というのか?と実感させてくれた作品です。

わたしは家族がわからない

最後にビビる

わたしは家族がわからない やまもとりえ
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率直に言って、 読んだ後 え? ってなって、もう1回読み直してしまった。 で、確かにこういう結末になるようなフラグ的なものはあったが、それでもビビってしまった。 そして、平凡って何なんだろうなって考えてしまった。 本作にもあるように、平凡が一番難しく尊いのかもと。 一緒に生きているだけで、特に嫌なところってのは目につくわけで、それを我慢した上で「いつもどおりの日常」を送るって並大抵のことではないんだなと。 「それでも町は廻っている」(石黒正数)という名作で、主人公の同級生・真田のお母さんの葬式の回(4巻 第31話 一ぱいのミシンそば)のなかに、主人公・歩鳥が涙するシーンがあるのですが、それを著者である石黒正数先生が、 「真田に同情したからではなく、当たり前の日常を送るために、周囲の人がいかに努力しているかに気づいたから涙した」 的なことを書いてましたが(これだけ読んでも意味不明だと思うので「それ町4巻」を読んでほしいw)ホントそうだなと思います。 みんなが少しずつ我慢したり、ある時は誰かが我慢したり、その繰り返しの中に「当たり前の日常」があるんだと痛感しました。 本作に出てくる主人公も平凡を望むあまり、突然、夫が1週間失踪してもまるでなかったかのように我慢した結果がアレだとしたら悲しすぎる。 問題と向き合わなかった結果と言われればそれまでだけど・・・ 遅かれ早かれこの結果になっていったのかな?普通に生きていくって?とか考えると、どうにもモヤモヤしました。 何にせよ、問題提起や考えるきっかけという意味では、本作は秀逸だと思います。

六文銭
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1年以上前
マンバで見つけた面白そうな漫画をひたすら書いてくトピックフォローをしました

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