ケミカル黄緑とロックな質感の百合 #1巻応援気になってる人が男じゃなかった 新井すみこあうしぃ@カワイイマンガ鮮やかな特色の黄緑に、スミ多めのイラストが強い表紙のテイストは、本文にも続く。掠れて断ち切れるノンブル、しっかりとしたペンの書き込み、そして目の下のクマが濃い女子。 質感に溢れているこの百合作品は、CDショップの店員と客の二人が実は高校のクラスメイトだった、という物語。二人はロックで意気投合するのだが、本の質感からもガンと響くロックを感じる。 踏み込むのを躊躇いながら、少しずつ相手を知る。音楽への、マイナーな趣味への同調が想いへ繋がり、互いが気になって仕方なくなっていく様は、間違いなく私が何度でも見たい百合。 深まる関係の中で、カッコ良い「おにーさん」は本当の自分を見せることに悩んでいる。彼女に次第に踏み込んでくるギャル女子が起こす化学反応は確かにケミカルな黄緑の誘引力だし、彼女達の回りをパチパチする何かだ。そんなものにあてられて、ドキドキしながら最後まで一気に読み切った。あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前いいですね、ちょっとサイズが小さくて読みにくいのが難点ですが、カラーが綺麗でシリアスなSFですよね。 私も母に『風の谷のナウシカ』漫画版を貸しています。何回も読み返しているみたいです。自由広場親に読ませたい漫画1わかるあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前父親が野球好きなので『おおきく振りかぶって』と『グラゼニ』は貸してる。歴史好きな母親には『新九郎、奔る!』を貸していて私が読めていないという…自由広場親に読ませたい漫画1わかるあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前『WHITE BLUE PINK』をまた読みたいをしました#この2巻を読め!神さまがまちガえる 仲谷鳰あうしぃ@カワイイマンガ意外とこの『神さまがまちガえる』2巻について触れる人がいないなぁ。いやこれ、凄いですよ。 詳しく説明しようとするとネタバレ回避が難しいのですが、「バグが発生する世界と順応する人間」という1巻の楽しさをベースにしながら、人間存在のあやふやさ、世界に対して自分は主か客か、という問題に急速に足を踏み込んでゆくシリアスさとスリリングさがあります。 マンガを読む時、主人公がいて、大抵は主人公の知覚・思考を軸にページが進行してゆき、それにあまり疑いを持たないですよね……おっとこれ以上は言い過ぎだ。読んでない人!1巻で止まっている人!この凄い2巻を読んでね! そして本作の作者は不朽の百合名作『やがて君になる』を生んだ仲谷鳰先生なのですが、本作のようなSF的凄みを味わいたければぜひ『仲谷鳰短編集』を読んでみてください。百合もそうでないのも、不思議な面白さいっぱい! (ハッシュタグは勝手に作りました)漫画家主夫、日本を見る #1巻応援台湾人主夫奮闘記 in Tokyo 米奇鰻あうしぃ@カワイイマンガ『T子の一発旅行』なんかでも台湾人視点の日本人像が面白いのですが(あれはちょっとはっちゃけすぎだけど)、この『台湾人主夫奮闘記 in Tokyo』では一冊通して、東京に越してきた台湾人による鋭い日本観察が楽しめます。 通読した感想としては「なんか日本ごめんね……」ですかね。 まず、日本で働くことになった台湾人女性の描写がなかなかエグい。 真面目で優秀だけどメンタル弱めな彼女は完璧に日本の会社に順応するけど、いつも疲労困憊。日本の会社って、真面目な人ほど損するように出来てるよね。 そんな彼女を支えようと家事にケアに奮闘する漫画家兼主夫ですが、忙しい中でも街中、スーパー、風邪薬、語学学校、そして妻と、観察が止まらない。 良い点もそして悪い点も、あくまでも面白おかしく伝えられるので、笑えるけど確かにその通りだから胸が……痛い……。 また夫として、働く妻を真剣に支えるスタンスがすごいし、学ぶところが多い……というかこれこそ、胸が痛い男性が多そう。アジアの男にこんな人いない!(このセリフ、作中から探してみよう!) そんな夫にちゃんと癒される妻。最終的に「この二人が惚気てくれればそれでいっか」と明るい気持ちになれるのですが、でもやっぱり全体的に「ごめんよ……」と言いたくなる、そんな作品でした。 (個人の見解です!!)台北女学生は食の交差点を駆ける #1巻応援友繪の小梅屋備忘録 黒木夏兒 清水あうしぃ@カワイイマンガ日清戦争の下関条約で割譲が決まった台湾。日本の統治が始まってから、多くの日本人(内地人)が台湾に渡り、様々に台湾人(本島人)と関わりはじめます。 本作の主人公・台北に住む友繪の家は、日本式の料亭。友繪の祖母一家が明治期に、どのように台北に根を下ろしたかは番外編に描かれていますが、本島人と内地人の関わり方、本気でその地に根を下ろす事が丁寧に描かれていて、考えさせられます。 本編はそんな時代を知らない大正の女学生・友繪のお話。彼女は級友たちと、女学校の園遊会のおもてなし料理を探すべく、おじに連れられて食に溢れる台北を食べ歩き。 和食も洋食も揃った台北。それだけでも私には驚きなのですが、やはり気になるのは台湾料理。ですがここで彼女たちは壁にぶつかります。 いくつかのピンチに萎れそうになる友繪。しかし友繪のとった行動、分け隔てない真っ直ぐな気性は、ある奇跡を起こします。そこからの快進撃、不測の事態を咄嗟の判断で回す現場力。これはワクワクする!そして園遊会の料理絵図、豪華絢爛! 最後まで読むと、友繪の気性が祖母や母から受け継がれているのが分かって嬉しくなるし、友繪の今後が(そして出会うキャラの今後も)とても楽しみになります…… ……え、続きがあるのかって? あるんです!2巻はすでに台湾で発売中!そして3巻も……?あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前『花園に幹が立つ』をまた読みたいをしました笑顔になれるよきっと #1巻応援夢見るメイドのティータイム みやしろあうしぃ@カワイイマンガか、可愛いカバー……淡い色調と愛らしいキャラに魅了されながら読み始めた本作は、「変わりたい」と願う人の成長物語でした。 主人公は緊張しいで恥ずかしがりで、笑顔が下手な女の子。そんな自分を変えたいとメイド喫茶で働き始めますがそこで運命の出会い。 彼女の目標を知り、手助けしようとする同級生のバイト仲間はいつも前向きに、時に彼女の隣に立ち、時に背を押す。二人の女子の距離が縮まってゆく過程がエモーショナル! 次々と登場するバイトと店長のキャッキャウフフ空間で、意外なほど真摯で切実な物語が展開され、想像以上の読み応えでした。 今は「人を笑顔にしたい」どころか自分の笑顔さえままならない主人公。この愛らしい絵柄で最後に見せてくれる笑顔を想像すると、胸がドキドキして仕方ないのです! (同僚たちの百合もあります!)プロ幼女の胸の内 #1巻応援おねロリキャバクラ 春日沙生あうしぃ@カワイイマンガ疲れたSEの女性がふと辿り着いたのは、幼女とお話ししながらお昼ご飯を食べる「おねロリキャバクラ」。そこでNo. 1のキャストと出会ってしまったSEは……というお話しなのですが。 このお話を大人目線で「幼女に癒されてぇー」と言ってしまうとまぁ、そうかもね、で終わってしまう(ばかりか白い目で見られるかもしれないのでご注意を♡)けれど、キャストの幼女の視点で考えると何倍も面白くなる、と私は思います。 No. 1キャストとして、たくさんのおねえさんを癒して来た彼女は、冴えない・お話ししない・お金も落とさないSEのおねえさんに何故かご執心。その理由を読み取ると、キャバクラだろうが実生活だろうが人と優しい関係を築く人って、こんな感じかなーというのが見えてくる気がします。 完璧に大人を接遇する「プロ幼女」が、このおねえさんを癒しつつ実は自分も満たされて、嬉しいのにこのおねえさんには素直になれなかったりする。おねえさんとプロ幼女がお互いに心を開いて接近する物語に今後、期待大!女声二重唱『道』二篇 #1巻応援夏・ユートピアノ ほそやゆきのあうしぃ@カワイイマンガ輝く人の物語は私の心を掴むが、輝けずに足掻き、うつむく人の物語は私の足首を捉えてしばし立ち止まらせる。その時私は「道」を振り返る。 ★★★ 二篇の物語が紡がれる。 『夏・ユートピアノ』は調律師の卵とピアニストの娘の物語。偉大な親を持つもの同士、苦しみや諦めの中、辛うじて調律師の卵が、時を止めてしまったピアニストの娘の手を取る。 ほんのひととき、共にいた程度の関係。それで何故二人が前を向けるのか、言葉では明示されないが実感はよく伝わる。調律の機微、少し進む事の重要性、大事な物から離れない事。過程の一コマひとコマが切実なのだ。 『あさがくる』は宝塚受験に失敗した人と、これから受験する人の物語。他人との関係が下手な受験生も、彼女と関わりながら落選の傷が癒えない人も、なかなかもどかしい。 しかし最後まで読むと、自分にもあるそのもどかしさが決して無意味なものではない、という希望が見出せる。 ★★★ 一筋縄ではいかない、強いカタルシスもない、もどかしい二人の物語はそれでも、私の希望になる。それはかつて何かを得ようともがき、得られずに終わった「道」も実は終わっていない、という事を描くから。 二人の道も、私の道も、本当の終わりまではどんなにもどかしくても終わらない。そして本当の終わりまでは、何度でも立ち上がっていいのだ……そんななかなか気付きにくい勇気をもらった気がした。あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前『エクソシストを堕とせない』をまた読みたいをしました « First ‹ Prev … 14 15 16 17 18 19 20 21 22 … Next › Last » もっとみる
ケミカル黄緑とロックな質感の百合 #1巻応援気になってる人が男じゃなかった 新井すみこあうしぃ@カワイイマンガ鮮やかな特色の黄緑に、スミ多めのイラストが強い表紙のテイストは、本文にも続く。掠れて断ち切れるノンブル、しっかりとしたペンの書き込み、そして目の下のクマが濃い女子。 質感に溢れているこの百合作品は、CDショップの店員と客の二人が実は高校のクラスメイトだった、という物語。二人はロックで意気投合するのだが、本の質感からもガンと響くロックを感じる。 踏み込むのを躊躇いながら、少しずつ相手を知る。音楽への、マイナーな趣味への同調が想いへ繋がり、互いが気になって仕方なくなっていく様は、間違いなく私が何度でも見たい百合。 深まる関係の中で、カッコ良い「おにーさん」は本当の自分を見せることに悩んでいる。彼女に次第に踏み込んでくるギャル女子が起こす化学反応は確かにケミカルな黄緑の誘引力だし、彼女達の回りをパチパチする何かだ。そんなものにあてられて、ドキドキしながら最後まで一気に読み切った。あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前いいですね、ちょっとサイズが小さくて読みにくいのが難点ですが、カラーが綺麗でシリアスなSFですよね。 私も母に『風の谷のナウシカ』漫画版を貸しています。何回も読み返しているみたいです。自由広場親に読ませたい漫画1わかるあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前父親が野球好きなので『おおきく振りかぶって』と『グラゼニ』は貸してる。歴史好きな母親には『新九郎、奔る!』を貸していて私が読めていないという…自由広場親に読ませたい漫画1わかるあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前『WHITE BLUE PINK』をまた読みたいをしました#この2巻を読め!神さまがまちガえる 仲谷鳰あうしぃ@カワイイマンガ意外とこの『神さまがまちガえる』2巻について触れる人がいないなぁ。いやこれ、凄いですよ。 詳しく説明しようとするとネタバレ回避が難しいのですが、「バグが発生する世界と順応する人間」という1巻の楽しさをベースにしながら、人間存在のあやふやさ、世界に対して自分は主か客か、という問題に急速に足を踏み込んでゆくシリアスさとスリリングさがあります。 マンガを読む時、主人公がいて、大抵は主人公の知覚・思考を軸にページが進行してゆき、それにあまり疑いを持たないですよね……おっとこれ以上は言い過ぎだ。読んでない人!1巻で止まっている人!この凄い2巻を読んでね! そして本作の作者は不朽の百合名作『やがて君になる』を生んだ仲谷鳰先生なのですが、本作のようなSF的凄みを味わいたければぜひ『仲谷鳰短編集』を読んでみてください。百合もそうでないのも、不思議な面白さいっぱい! (ハッシュタグは勝手に作りました)漫画家主夫、日本を見る #1巻応援台湾人主夫奮闘記 in Tokyo 米奇鰻あうしぃ@カワイイマンガ『T子の一発旅行』なんかでも台湾人視点の日本人像が面白いのですが(あれはちょっとはっちゃけすぎだけど)、この『台湾人主夫奮闘記 in Tokyo』では一冊通して、東京に越してきた台湾人による鋭い日本観察が楽しめます。 通読した感想としては「なんか日本ごめんね……」ですかね。 まず、日本で働くことになった台湾人女性の描写がなかなかエグい。 真面目で優秀だけどメンタル弱めな彼女は完璧に日本の会社に順応するけど、いつも疲労困憊。日本の会社って、真面目な人ほど損するように出来てるよね。 そんな彼女を支えようと家事にケアに奮闘する漫画家兼主夫ですが、忙しい中でも街中、スーパー、風邪薬、語学学校、そして妻と、観察が止まらない。 良い点もそして悪い点も、あくまでも面白おかしく伝えられるので、笑えるけど確かにその通りだから胸が……痛い……。 また夫として、働く妻を真剣に支えるスタンスがすごいし、学ぶところが多い……というかこれこそ、胸が痛い男性が多そう。アジアの男にこんな人いない!(このセリフ、作中から探してみよう!) そんな夫にちゃんと癒される妻。最終的に「この二人が惚気てくれればそれでいっか」と明るい気持ちになれるのですが、でもやっぱり全体的に「ごめんよ……」と言いたくなる、そんな作品でした。 (個人の見解です!!)台北女学生は食の交差点を駆ける #1巻応援友繪の小梅屋備忘録 黒木夏兒 清水あうしぃ@カワイイマンガ日清戦争の下関条約で割譲が決まった台湾。日本の統治が始まってから、多くの日本人(内地人)が台湾に渡り、様々に台湾人(本島人)と関わりはじめます。 本作の主人公・台北に住む友繪の家は、日本式の料亭。友繪の祖母一家が明治期に、どのように台北に根を下ろしたかは番外編に描かれていますが、本島人と内地人の関わり方、本気でその地に根を下ろす事が丁寧に描かれていて、考えさせられます。 本編はそんな時代を知らない大正の女学生・友繪のお話。彼女は級友たちと、女学校の園遊会のおもてなし料理を探すべく、おじに連れられて食に溢れる台北を食べ歩き。 和食も洋食も揃った台北。それだけでも私には驚きなのですが、やはり気になるのは台湾料理。ですがここで彼女たちは壁にぶつかります。 いくつかのピンチに萎れそうになる友繪。しかし友繪のとった行動、分け隔てない真っ直ぐな気性は、ある奇跡を起こします。そこからの快進撃、不測の事態を咄嗟の判断で回す現場力。これはワクワクする!そして園遊会の料理絵図、豪華絢爛! 最後まで読むと、友繪の気性が祖母や母から受け継がれているのが分かって嬉しくなるし、友繪の今後が(そして出会うキャラの今後も)とても楽しみになります…… ……え、続きがあるのかって? あるんです!2巻はすでに台湾で発売中!そして3巻も……?あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前『花園に幹が立つ』をまた読みたいをしました笑顔になれるよきっと #1巻応援夢見るメイドのティータイム みやしろあうしぃ@カワイイマンガか、可愛いカバー……淡い色調と愛らしいキャラに魅了されながら読み始めた本作は、「変わりたい」と願う人の成長物語でした。 主人公は緊張しいで恥ずかしがりで、笑顔が下手な女の子。そんな自分を変えたいとメイド喫茶で働き始めますがそこで運命の出会い。 彼女の目標を知り、手助けしようとする同級生のバイト仲間はいつも前向きに、時に彼女の隣に立ち、時に背を押す。二人の女子の距離が縮まってゆく過程がエモーショナル! 次々と登場するバイトと店長のキャッキャウフフ空間で、意外なほど真摯で切実な物語が展開され、想像以上の読み応えでした。 今は「人を笑顔にしたい」どころか自分の笑顔さえままならない主人公。この愛らしい絵柄で最後に見せてくれる笑顔を想像すると、胸がドキドキして仕方ないのです! (同僚たちの百合もあります!)プロ幼女の胸の内 #1巻応援おねロリキャバクラ 春日沙生あうしぃ@カワイイマンガ疲れたSEの女性がふと辿り着いたのは、幼女とお話ししながらお昼ご飯を食べる「おねロリキャバクラ」。そこでNo. 1のキャストと出会ってしまったSEは……というお話しなのですが。 このお話を大人目線で「幼女に癒されてぇー」と言ってしまうとまぁ、そうかもね、で終わってしまう(ばかりか白い目で見られるかもしれないのでご注意を♡)けれど、キャストの幼女の視点で考えると何倍も面白くなる、と私は思います。 No. 1キャストとして、たくさんのおねえさんを癒して来た彼女は、冴えない・お話ししない・お金も落とさないSEのおねえさんに何故かご執心。その理由を読み取ると、キャバクラだろうが実生活だろうが人と優しい関係を築く人って、こんな感じかなーというのが見えてくる気がします。 完璧に大人を接遇する「プロ幼女」が、このおねえさんを癒しつつ実は自分も満たされて、嬉しいのにこのおねえさんには素直になれなかったりする。おねえさんとプロ幼女がお互いに心を開いて接近する物語に今後、期待大!女声二重唱『道』二篇 #1巻応援夏・ユートピアノ ほそやゆきのあうしぃ@カワイイマンガ輝く人の物語は私の心を掴むが、輝けずに足掻き、うつむく人の物語は私の足首を捉えてしばし立ち止まらせる。その時私は「道」を振り返る。 ★★★ 二篇の物語が紡がれる。 『夏・ユートピアノ』は調律師の卵とピアニストの娘の物語。偉大な親を持つもの同士、苦しみや諦めの中、辛うじて調律師の卵が、時を止めてしまったピアニストの娘の手を取る。 ほんのひととき、共にいた程度の関係。それで何故二人が前を向けるのか、言葉では明示されないが実感はよく伝わる。調律の機微、少し進む事の重要性、大事な物から離れない事。過程の一コマひとコマが切実なのだ。 『あさがくる』は宝塚受験に失敗した人と、これから受験する人の物語。他人との関係が下手な受験生も、彼女と関わりながら落選の傷が癒えない人も、なかなかもどかしい。 しかし最後まで読むと、自分にもあるそのもどかしさが決して無意味なものではない、という希望が見出せる。 ★★★ 一筋縄ではいかない、強いカタルシスもない、もどかしい二人の物語はそれでも、私の希望になる。それはかつて何かを得ようともがき、得られずに終わった「道」も実は終わっていない、という事を描くから。 二人の道も、私の道も、本当の終わりまではどんなにもどかしくても終わらない。そして本当の終わりまでは、何度でも立ち上がっていいのだ……そんななかなか気付きにくい勇気をもらった気がした。あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前『エクソシストを堕とせない』をまた読みたいをしました
あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前いいですね、ちょっとサイズが小さくて読みにくいのが難点ですが、カラーが綺麗でシリアスなSFですよね。 私も母に『風の谷のナウシカ』漫画版を貸しています。何回も読み返しているみたいです。自由広場親に読ませたい漫画1わかる
あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前父親が野球好きなので『おおきく振りかぶって』と『グラゼニ』は貸してる。歴史好きな母親には『新九郎、奔る!』を貸していて私が読めていないという…自由広場親に読ませたい漫画1わかる
鮮やかな特色の黄緑に、スミ多めのイラストが強い表紙のテイストは、本文にも続く。掠れて断ち切れるノンブル、しっかりとしたペンの書き込み、そして目の下のクマが濃い女子。 質感に溢れているこの百合作品は、CDショップの店員と客の二人が実は高校のクラスメイトだった、という物語。二人はロックで意気投合するのだが、本の質感からもガンと響くロックを感じる。 踏み込むのを躊躇いながら、少しずつ相手を知る。音楽への、マイナーな趣味への同調が想いへ繋がり、互いが気になって仕方なくなっていく様は、間違いなく私が何度でも見たい百合。 深まる関係の中で、カッコ良い「おにーさん」は本当の自分を見せることに悩んでいる。彼女に次第に踏み込んでくるギャル女子が起こす化学反応は確かにケミカルな黄緑の誘引力だし、彼女達の回りをパチパチする何かだ。そんなものにあてられて、ドキドキしながら最後まで一気に読み切った。