高杉さん家(ち)のおべんとう

少女と博士の食卓風土記

高杉さん家(ち)のおべんとう 柳原望
あうしぃ@カワイイマンガ
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母・美哉を亡くした久留里と、彼女を預かる美哉の甥・温巳。彼はかつて美哉に「捨てられた」過去があった……美哉の共通の思い出を「食」に見出しながら、毎日の弁当と食卓を積み重ねて家族になろうとする、二人の日々の営みの物語。 ----- 研究者として職を探す高杉温巳。彼の専攻は「地理学」である。 近代地理学の祖・フンボルトを引き合いに出しつつ温巳は、久留里と美哉を「全部見る」事で、二人ときちんと向き合おうとする。 それはかつて、家族として家事をしてくれていた美哉に甘え、酷い態度を取ってしまった後悔からだった。温巳の頑張りは空回りするが、久留里は彼を信頼し、二人は少しずつ、家族になっていく。 そんな日々を描く本作は、登場人物の姿勢を超えて、作品そのものが、フンボルト的「全部見る」方法論で描かれている。 この作品では ●久留里と美哉と温巳の家族物語 ●久留里の学校、友人、恋愛事情 ●温巳の属するアカデミズム界隈 ●中部地方の地理学的案内 ●高杉家の食卓→弁当のレシピ と、盛り沢山の内容を、有機的に関連させつつ纏めており、一話の内容はかなり濃い。 ほんの六年間でも、毎日の事象を結び付けつつ積み上げる事で、温巳と久留里の絆は、次第に確かなものとして描き出され、読む側は思い入れを増してゆく。 (美少女とひとつ屋根の下的な)ファンタジーなあらすじからは想像のつかない、細やかさと温もりのある「記述」の積み重ねに、強くこころを動かされる、そんな作品。 地理好き、中部地方好き、昆虫食好き、弁当や日常の食卓にアイデアが欲しい等、様々な興味からこの作品に触れて欲しい。

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恋せよキモノ乙女

着物は大人の変身ドレス!

恋せよキモノ乙女 山崎零
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OLの野々村ももの趣味は、祖母の形見の着物で外出すること。四季折々の柄を取り合わせ、特別な自分に変身!友達と、家族と、そして素敵なあの人と……軽やかに情緒を纏って巡る、関西周遊記。 ----- 週末になると、ももは外出先を選び、そこに似合った着物を選ぶ。そして、着付ける手順が毎話2〜3ページ費やして、丁寧に描かれる。 楽しい時も辛い時も、気を取り直して、すっと背を伸ばし、着物に袖を通す。ゆっくりくるりと帯を締めると、不思議と気持ちが華やいでいる。その瞬間、ももは「特別な女の子になる」と言う。 これは……「変身物」だ。 そう、魔法少女とかのアレ。 派手さはないけれど、確かに非日常の衣を身に纏うことで、奥手なももは、恋に新たな目標に、前向きに頑張れるようになる。毎話の着付けシーンは、特別な自分になる「変身シークエンス」のようだ。 勇気をもらえる、綺麗で落ち着く「魔法のドレス」としての着物。 この物語は、休日に日常を離れ、着物という法衣を着て世界を彷徨う、大人の恋の冒険譚……と言えるかもしれない。 ままならない恋模様に、ももが健気に頑張る姿を追いながら、ももが訪れる、着物が似合う関西の素敵スポットをチェックして、楽しみたい。 その内に着物の専門用語も、何となく耳慣れてくるので、大丈夫! 第5巻が2020年1月9日発売!

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