あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前『佐原ミズ』をフォローをしました黄昏の世界の生命賛歌風の谷のナウシカ 宮崎駿あうしぃ@カワイイマンガあまりにも有名なアニメ映画の原作にあたる、宮崎駿先生の漫画作品。映画上映後も連載が続いたこの漫画は、主人公ナウシカが世界の秘密に到達するまでを、緻密に活き活きと描いています。 映画版と内容が違うので、ちょっと世界観を整理します。 ----- 栄華を極めた人類文明は千年前、「火の七日間」と呼ばれる破滅的戦争と、突如として現れた毒を吐く森「腐海」により、多くの人命と住む土地を失い、技術も途絶えました。 千年の内に三回の、腐海の爆発的拡大「大海嘯」と、その後の土地を巡る戦争で、人類文明は黄昏の時を迎えます。 大海嘯に沈んだ古の大国エフタルの残存部族は、北のトルメキア王国の実質的支配下に置かれました。風の谷や工房都市ペジテも、そんな部族の一つです。 南には宗教国家の土鬼(ドルク)があり、首都のシュワにある「墓所」には、火の七日間や腐海に連なるロストテクノロジーが眠ると目されてきました。トルメキアは墓所を入手しようと土鬼に侵攻。さらに、ペジテで発見された生物兵器「巨神兵」の奪取を目論み、第四皇女クシャナを派遣します。 風の谷の族長の娘・ナウシカは、ペジテとトルメキアの巨神兵を巡る諍いに巻き込まれ、そのまま土鬼へ侵攻するクシャナの軍に従軍します。土鬼による蟲を操る作戦を止めた時に、ナウシカは大いなる蟲・王蟲の友愛に触れ、彼らの「南の森を救う」という声を聞きます。 ナウシカの奮闘虚しく、繰り返される愚行。王蟲への友愛と人類への絶望から、森の一部になろうとするナウシカでしたが、王蟲と愛する人間に生かされます。 探求の行軍を続けるナウシカが辿り着く、世界の深淵とは……。 ----- ナウシカの行動力の源泉は「すべての命への愛情」。常に彼女は生命の生きる意志を尊重して、生命を愚弄する存在に抗います。 まるで再生医療や遺伝子工学の危険性への警鐘のように私達に響く、ナウシカの怒りと生命賛歌、そして世界の秘密を、震えながら共有したい。 (画像は2巻79ページより。映画版とは、この台詞を言っている人が違うのが、おわかりいただけるだろうか?)あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前『タアモ』をフォローをしましたあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前ご紹介ありがとうございます! 試し読みしてみました。 確かに秋田で、お祭りも出てくるし、なんと言っても内容がいい! これは切ない話になるのかな…楽しみです。読んでみます!自由広場方言・訛りがいい漫画まとめ巨大で不気味な「魔」の魅力ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 完全版 藤原カムイ 小柳順治 川又千秋あうしぃ@カワイイマンガゲーム「ドラゴンクエスト」の世界観を基にした漫画作品として、『ダイの大冒険(以下ダイ大)』と双璧をなす『ロトの紋章(以下ロト紋)』。いずれも独創性に溢れた、感動的な物語だが、作品の雰囲気はだいぶ異なる。 ロト紋で印象的なのは、敵対する魔王軍側のキャラクターの気味悪さだ。 バラモスゾンビ、知性を失った海王、ヤマタノオロチ、冥界の王、そして大魔王・異魔神……肉体がまるでアメーバや粘菌の様に広がり、触手を伸ばし、猛スピードで再生する彼ら。 スミベタで表現される闇の世界で、敵の余りの巨大さと不可解さに、手に負えない絶望的な戦いを強いられる勇者達。 ここで描かれるのは、人間の価値観の埒外にある者達の生き方、分かり合えなさだ。 ダイ大が、敵味方無くキャラクターの葛藤や成長を描き、読者の倫理観と共鳴する(大魔王バーンや冥竜王ウェルザーを除く)のに対して、ロト紋の敵キャラクターは、しばし倫理を根底から無効にして、読者を絶望させる。 そして不思議な事に、そんな絶望を、何故かもう一度味わいたくて、私達はこの作品に再び手を伸ばす。絶望からの回復が欲しいのではない。絶望の深淵を覗き込む事で、退廃的な安らぎを得る為に。あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前プレゼントいいですね! ハードカバー上製本なので、プレゼントには最適です!自由広場小学校低学年が読んで面白い漫画7わかるあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前低学年には難しいかもしれませんが、 『郵便配達と夜の国』(大庭賢哉先生)などはいかがでしょう? 大庭賢哉先生は、児童書の挿絵がメインの先生で、親しみやすい絵で日常とファンタジーの間を描く作品は大人も必読の作品です。 3冊ある単行本の中で、郵便配達〜は一番平易だと思います。 漢字の振り仮名がないので、そこはフォローが必要です。 もし児童文学的なものがお好きであれば、ご自身で楽しんでからお子様に差し上げるのもよいのでは?自由広場小学校低学年が読んで面白い漫画10わかるあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前ちょっと趣旨とは逆になってしまうのですが、児童書の挿絵、カバー絵を多く手掛けておられる大庭賢哉先生(シノダ!シリーズ、ティーン・パワーによろしくシリーズなど)は、漫画作品も描かれています。単行本も3冊あります。 私にとっては漫画家さんが挿絵に進出した感覚だったので、こちらで紹介させてください。 https://manba.co.jp/authors/19162自由広場マンガ以外のマンガ家の仕事まとめ2わかるあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前5巻読みました。 なかなか考えさせられる感じで、いいですね! 主人公ももは転職し、着物関連のお店で働き始めます。 何と仕事着が着物! そしてコーディネートを店長に厳しくチェックされる日々。 コーディネートは上達するも、自分の感性を出すべきか悩むあたりは、感性を仕事にする難しさですね。 恋愛は何か大どんでん返し!でも…みたいな、相変わらずままならない感じで、やきもきします。頑張れ。 最初から、ももは奥手、というイメージがあるけれど、実は自分から告白してたりと、いつも自ら小さく前へ進んでいて、だから見ていて気持ちいい。じわじわと成長を実感できる、小気味良い物語だと思うのです。そんなももの周りはいつもキラキラしていて、前向きに頑張る人の素敵さが実感できるお話になっています。 ひとつ言えるのは、カラーで見てみたい、という事です。恋せよキモノ乙女着物は大人の変身ドレス!2わかるあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前『重野なおき』をフォローをしました世界の真理に迷い込む子等屋根裏の私の小さな部屋 大庭賢哉あうしぃ@カワイイマンガ書籍で好みの挿絵に出会うと、いっその事、この絵で物語を漫画にしてくれたら、と思う事がある。 大庭賢哉先生の挿絵のお仕事は、物語を邪魔することなく、不思議な空気感やワクワクする世界観を伝える。しかし反面では、この絵で物語世界の空想が動き出す程の、強い魅力を持っている。 その魅力を漫画として(あのユリイカに!)連載し、単行本にした青土社の慧眼!名久井直子氏の端正な装丁に包まれ、送り出される世界観は、子供目線から見た世界の裏側、秘された真相、空想と現実のあわい。鋭く根源的な発見と、優しい読後感に満ちている。 その画面の質感と、闇と光のあわいを見据える表現は、例えば五十嵐大介先生や漆原友紀先生と比較されてもいいかもしれない。 今後も独特なポジションでの漫画表現を、見続けたい。 ●おるすばんと嵐 お母さんは僕より先に死なないよね?嵐の中、僕を脅し、唆す声に負けない! ●猫のリリー 気に入った猫を、結局飼わなかった。後日、その猫が友達に飼われたと知る。自分が選んだかもしれない可能性。 ●小人の小人の話 現れた小人には、さらに小人がいる。全ての小人にはその小人がいる?嘘だ!証明して! ●斜め前のヨシムラさん 学校でも家でも空想逞しいヨシムラさんは、嘘つき扱いされがち。彼女の空想に寄り添い、現実に繋ぎ止めるのは私だと、ぼんやり気付く。 ●ひみつのへや 引っ越しが悲しいタカコが、新居の自室を開けると……ここ前の家だ! ●となりのカナちゃん 僕は家族と似てるよね?クラスの女子に一番似てると言われ、不安になる。 ●かえりみち 公園に最後まで残っている転校生は、本当に家に帰ってる?みんなは? ●わたしの日 成長していく自分の、内面の成長を感じられず、落ち込む。周囲の方が変わっていく気がして……。 ●鳥の世話 学校で飼育する九官鳥の、本当の名前を巡る、飼育委員の女子と、二人の男子のお話。 ●朝の夢と夜の風 はじめて海に入る前に、母を振り返り安心するように、はじめての恋に踏み込む時、振り返る。 ●カミナリを捕まえる話 雷が落ちると言うなら、拾える筈じゃない?完全武装で嵐の中へ。 (画像は137ページより引用)闇に遊び、光へ帰る子等郵便配達と夜の国 大庭賢哉あうしぃ@カワイイマンガ日常に倦む子供達は、ふとそこに潜む闇……影、死角、秘密の空間……を見つける。自分だけの楽しい「夜の時間」は、本当は危うくて、触れてはいけないと知る。 ----- 大庭賢哉先生の二冊目の単行本は「ユリイカ」の青土社から。『トモネン』より線が整理された、親しみやすい絵。ハードカバーも漫画には珍しく、名久井直子氏の装丁で「大人の児童書」の雰囲気を醸す。 子供達は世界に疑問を持ち、見えない世界を空想し、その世界に迷い込む。現実への帰還を巡り、時にシビアな冒険と決断を経て、子供達は、現実世界を生きる勇気と希望を手にする。 子供も大人も、ちょっぴり怖い空想世界にドキドキした後に、前向きな気持ちになれる作品集だ。 ●今日、犬が届く 届いたプードルはやたらでかい。対して動物園の白熊が妙に可愛い。明らかにおかしいのに、名付けられ、定義された彼らに何も疑問を持たない人々の中に……。 ●郵便配達と夜の国 現実に倦んだ少女は郵便配達夫と旅に。見知らぬ場所に行けると思ったのに……。 ●森 弟が産まれてから、家族に構ってもらえない女の子は、家出して変な森に迷い込む。そこで会った少年は……誰? ●逃げたオオカミ 怖がりの弟に「狼と七匹の子ヤギ」の狼の最期を端折って話したら、弟は狼の行方が怖くなった。曲がり角の向こうには……? ●お引っ越し 幼稚園の先生は、僕らが帰った後、幼稚園を独り占め?確かめようと隠れていたら……。 ●隣のミミ子 裏山にフクロウがいるかも!翌日現れた転入生に、夜の森に誘われて……。 ●まねっこさがし ガサツなヨリ子が隣町で目撃された。どうやら自分の偽物がいるらしい。捕まえるため、ちょっとおしとやかに変装。しかし……。 ●きつねしばい 幼稚園の劇でキツネ役になりきったサチコ。役のままで道を歩いていると、動物の言葉が分かるように!そのまま動物のテリトリーへ。 ●6:45 地下坑道を抜け、日のもとへ。昼から夜、そして昼へと歩き続ける少女と犬の、見開きイラスト集。 ●ひきだしのなか 自分の机が欲しい少女は、海岸で古びた机を見つける。少しずつ自分の秘密を作っていく。 (画像は30ページより引用) « First ‹ Prev … 149 150 151 152 153 154 155 156 157 … Next › Last » もっとみる
あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前『佐原ミズ』をフォローをしました黄昏の世界の生命賛歌風の谷のナウシカ 宮崎駿あうしぃ@カワイイマンガあまりにも有名なアニメ映画の原作にあたる、宮崎駿先生の漫画作品。映画上映後も連載が続いたこの漫画は、主人公ナウシカが世界の秘密に到達するまでを、緻密に活き活きと描いています。 映画版と内容が違うので、ちょっと世界観を整理します。 ----- 栄華を極めた人類文明は千年前、「火の七日間」と呼ばれる破滅的戦争と、突如として現れた毒を吐く森「腐海」により、多くの人命と住む土地を失い、技術も途絶えました。 千年の内に三回の、腐海の爆発的拡大「大海嘯」と、その後の土地を巡る戦争で、人類文明は黄昏の時を迎えます。 大海嘯に沈んだ古の大国エフタルの残存部族は、北のトルメキア王国の実質的支配下に置かれました。風の谷や工房都市ペジテも、そんな部族の一つです。 南には宗教国家の土鬼(ドルク)があり、首都のシュワにある「墓所」には、火の七日間や腐海に連なるロストテクノロジーが眠ると目されてきました。トルメキアは墓所を入手しようと土鬼に侵攻。さらに、ペジテで発見された生物兵器「巨神兵」の奪取を目論み、第四皇女クシャナを派遣します。 風の谷の族長の娘・ナウシカは、ペジテとトルメキアの巨神兵を巡る諍いに巻き込まれ、そのまま土鬼へ侵攻するクシャナの軍に従軍します。土鬼による蟲を操る作戦を止めた時に、ナウシカは大いなる蟲・王蟲の友愛に触れ、彼らの「南の森を救う」という声を聞きます。 ナウシカの奮闘虚しく、繰り返される愚行。王蟲への友愛と人類への絶望から、森の一部になろうとするナウシカでしたが、王蟲と愛する人間に生かされます。 探求の行軍を続けるナウシカが辿り着く、世界の深淵とは……。 ----- ナウシカの行動力の源泉は「すべての命への愛情」。常に彼女は生命の生きる意志を尊重して、生命を愚弄する存在に抗います。 まるで再生医療や遺伝子工学の危険性への警鐘のように私達に響く、ナウシカの怒りと生命賛歌、そして世界の秘密を、震えながら共有したい。 (画像は2巻79ページより。映画版とは、この台詞を言っている人が違うのが、おわかりいただけるだろうか?)あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前『タアモ』をフォローをしましたあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前ご紹介ありがとうございます! 試し読みしてみました。 確かに秋田で、お祭りも出てくるし、なんと言っても内容がいい! これは切ない話になるのかな…楽しみです。読んでみます!自由広場方言・訛りがいい漫画まとめ巨大で不気味な「魔」の魅力ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 完全版 藤原カムイ 小柳順治 川又千秋あうしぃ@カワイイマンガゲーム「ドラゴンクエスト」の世界観を基にした漫画作品として、『ダイの大冒険(以下ダイ大)』と双璧をなす『ロトの紋章(以下ロト紋)』。いずれも独創性に溢れた、感動的な物語だが、作品の雰囲気はだいぶ異なる。 ロト紋で印象的なのは、敵対する魔王軍側のキャラクターの気味悪さだ。 バラモスゾンビ、知性を失った海王、ヤマタノオロチ、冥界の王、そして大魔王・異魔神……肉体がまるでアメーバや粘菌の様に広がり、触手を伸ばし、猛スピードで再生する彼ら。 スミベタで表現される闇の世界で、敵の余りの巨大さと不可解さに、手に負えない絶望的な戦いを強いられる勇者達。 ここで描かれるのは、人間の価値観の埒外にある者達の生き方、分かり合えなさだ。 ダイ大が、敵味方無くキャラクターの葛藤や成長を描き、読者の倫理観と共鳴する(大魔王バーンや冥竜王ウェルザーを除く)のに対して、ロト紋の敵キャラクターは、しばし倫理を根底から無効にして、読者を絶望させる。 そして不思議な事に、そんな絶望を、何故かもう一度味わいたくて、私達はこの作品に再び手を伸ばす。絶望からの回復が欲しいのではない。絶望の深淵を覗き込む事で、退廃的な安らぎを得る為に。あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前プレゼントいいですね! ハードカバー上製本なので、プレゼントには最適です!自由広場小学校低学年が読んで面白い漫画7わかるあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前低学年には難しいかもしれませんが、 『郵便配達と夜の国』(大庭賢哉先生)などはいかがでしょう? 大庭賢哉先生は、児童書の挿絵がメインの先生で、親しみやすい絵で日常とファンタジーの間を描く作品は大人も必読の作品です。 3冊ある単行本の中で、郵便配達〜は一番平易だと思います。 漢字の振り仮名がないので、そこはフォローが必要です。 もし児童文学的なものがお好きであれば、ご自身で楽しんでからお子様に差し上げるのもよいのでは?自由広場小学校低学年が読んで面白い漫画10わかるあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前ちょっと趣旨とは逆になってしまうのですが、児童書の挿絵、カバー絵を多く手掛けておられる大庭賢哉先生(シノダ!シリーズ、ティーン・パワーによろしくシリーズなど)は、漫画作品も描かれています。単行本も3冊あります。 私にとっては漫画家さんが挿絵に進出した感覚だったので、こちらで紹介させてください。 https://manba.co.jp/authors/19162自由広場マンガ以外のマンガ家の仕事まとめ2わかるあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前5巻読みました。 なかなか考えさせられる感じで、いいですね! 主人公ももは転職し、着物関連のお店で働き始めます。 何と仕事着が着物! そしてコーディネートを店長に厳しくチェックされる日々。 コーディネートは上達するも、自分の感性を出すべきか悩むあたりは、感性を仕事にする難しさですね。 恋愛は何か大どんでん返し!でも…みたいな、相変わらずままならない感じで、やきもきします。頑張れ。 最初から、ももは奥手、というイメージがあるけれど、実は自分から告白してたりと、いつも自ら小さく前へ進んでいて、だから見ていて気持ちいい。じわじわと成長を実感できる、小気味良い物語だと思うのです。そんなももの周りはいつもキラキラしていて、前向きに頑張る人の素敵さが実感できるお話になっています。 ひとつ言えるのは、カラーで見てみたい、という事です。恋せよキモノ乙女着物は大人の変身ドレス!2わかるあうしぃ@カワイイマンガ1年以上前『重野なおき』をフォローをしました世界の真理に迷い込む子等屋根裏の私の小さな部屋 大庭賢哉あうしぃ@カワイイマンガ書籍で好みの挿絵に出会うと、いっその事、この絵で物語を漫画にしてくれたら、と思う事がある。 大庭賢哉先生の挿絵のお仕事は、物語を邪魔することなく、不思議な空気感やワクワクする世界観を伝える。しかし反面では、この絵で物語世界の空想が動き出す程の、強い魅力を持っている。 その魅力を漫画として(あのユリイカに!)連載し、単行本にした青土社の慧眼!名久井直子氏の端正な装丁に包まれ、送り出される世界観は、子供目線から見た世界の裏側、秘された真相、空想と現実のあわい。鋭く根源的な発見と、優しい読後感に満ちている。 その画面の質感と、闇と光のあわいを見据える表現は、例えば五十嵐大介先生や漆原友紀先生と比較されてもいいかもしれない。 今後も独特なポジションでの漫画表現を、見続けたい。 ●おるすばんと嵐 お母さんは僕より先に死なないよね?嵐の中、僕を脅し、唆す声に負けない! ●猫のリリー 気に入った猫を、結局飼わなかった。後日、その猫が友達に飼われたと知る。自分が選んだかもしれない可能性。 ●小人の小人の話 現れた小人には、さらに小人がいる。全ての小人にはその小人がいる?嘘だ!証明して! ●斜め前のヨシムラさん 学校でも家でも空想逞しいヨシムラさんは、嘘つき扱いされがち。彼女の空想に寄り添い、現実に繋ぎ止めるのは私だと、ぼんやり気付く。 ●ひみつのへや 引っ越しが悲しいタカコが、新居の自室を開けると……ここ前の家だ! ●となりのカナちゃん 僕は家族と似てるよね?クラスの女子に一番似てると言われ、不安になる。 ●かえりみち 公園に最後まで残っている転校生は、本当に家に帰ってる?みんなは? ●わたしの日 成長していく自分の、内面の成長を感じられず、落ち込む。周囲の方が変わっていく気がして……。 ●鳥の世話 学校で飼育する九官鳥の、本当の名前を巡る、飼育委員の女子と、二人の男子のお話。 ●朝の夢と夜の風 はじめて海に入る前に、母を振り返り安心するように、はじめての恋に踏み込む時、振り返る。 ●カミナリを捕まえる話 雷が落ちると言うなら、拾える筈じゃない?完全武装で嵐の中へ。 (画像は137ページより引用)闇に遊び、光へ帰る子等郵便配達と夜の国 大庭賢哉あうしぃ@カワイイマンガ日常に倦む子供達は、ふとそこに潜む闇……影、死角、秘密の空間……を見つける。自分だけの楽しい「夜の時間」は、本当は危うくて、触れてはいけないと知る。 ----- 大庭賢哉先生の二冊目の単行本は「ユリイカ」の青土社から。『トモネン』より線が整理された、親しみやすい絵。ハードカバーも漫画には珍しく、名久井直子氏の装丁で「大人の児童書」の雰囲気を醸す。 子供達は世界に疑問を持ち、見えない世界を空想し、その世界に迷い込む。現実への帰還を巡り、時にシビアな冒険と決断を経て、子供達は、現実世界を生きる勇気と希望を手にする。 子供も大人も、ちょっぴり怖い空想世界にドキドキした後に、前向きな気持ちになれる作品集だ。 ●今日、犬が届く 届いたプードルはやたらでかい。対して動物園の白熊が妙に可愛い。明らかにおかしいのに、名付けられ、定義された彼らに何も疑問を持たない人々の中に……。 ●郵便配達と夜の国 現実に倦んだ少女は郵便配達夫と旅に。見知らぬ場所に行けると思ったのに……。 ●森 弟が産まれてから、家族に構ってもらえない女の子は、家出して変な森に迷い込む。そこで会った少年は……誰? ●逃げたオオカミ 怖がりの弟に「狼と七匹の子ヤギ」の狼の最期を端折って話したら、弟は狼の行方が怖くなった。曲がり角の向こうには……? ●お引っ越し 幼稚園の先生は、僕らが帰った後、幼稚園を独り占め?確かめようと隠れていたら……。 ●隣のミミ子 裏山にフクロウがいるかも!翌日現れた転入生に、夜の森に誘われて……。 ●まねっこさがし ガサツなヨリ子が隣町で目撃された。どうやら自分の偽物がいるらしい。捕まえるため、ちょっとおしとやかに変装。しかし……。 ●きつねしばい 幼稚園の劇でキツネ役になりきったサチコ。役のままで道を歩いていると、動物の言葉が分かるように!そのまま動物のテリトリーへ。 ●6:45 地下坑道を抜け、日のもとへ。昼から夜、そして昼へと歩き続ける少女と犬の、見開きイラスト集。 ●ひきだしのなか 自分の机が欲しい少女は、海岸で古びた机を見つける。少しずつ自分の秘密を作っていく。 (画像は30ページより引用)
あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前ご紹介ありがとうございます! 試し読みしてみました。 確かに秋田で、お祭りも出てくるし、なんと言っても内容がいい! これは切ない話になるのかな…楽しみです。読んでみます!自由広場方言・訛りがいい漫画まとめ
あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前低学年には難しいかもしれませんが、 『郵便配達と夜の国』(大庭賢哉先生)などはいかがでしょう? 大庭賢哉先生は、児童書の挿絵がメインの先生で、親しみやすい絵で日常とファンタジーの間を描く作品は大人も必読の作品です。 3冊ある単行本の中で、郵便配達〜は一番平易だと思います。 漢字の振り仮名がないので、そこはフォローが必要です。 もし児童文学的なものがお好きであれば、ご自身で楽しんでからお子様に差し上げるのもよいのでは?自由広場小学校低学年が読んで面白い漫画10わかる
あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前ちょっと趣旨とは逆になってしまうのですが、児童書の挿絵、カバー絵を多く手掛けておられる大庭賢哉先生(シノダ!シリーズ、ティーン・パワーによろしくシリーズなど)は、漫画作品も描かれています。単行本も3冊あります。 私にとっては漫画家さんが挿絵に進出した感覚だったので、こちらで紹介させてください。 https://manba.co.jp/authors/19162自由広場マンガ以外のマンガ家の仕事まとめ2わかる
あうしぃ@カワイイマンガ1年以上前5巻読みました。 なかなか考えさせられる感じで、いいですね! 主人公ももは転職し、着物関連のお店で働き始めます。 何と仕事着が着物! そしてコーディネートを店長に厳しくチェックされる日々。 コーディネートは上達するも、自分の感性を出すべきか悩むあたりは、感性を仕事にする難しさですね。 恋愛は何か大どんでん返し!でも…みたいな、相変わらずままならない感じで、やきもきします。頑張れ。 最初から、ももは奥手、というイメージがあるけれど、実は自分から告白してたりと、いつも自ら小さく前へ進んでいて、だから見ていて気持ちいい。じわじわと成長を実感できる、小気味良い物語だと思うのです。そんなももの周りはいつもキラキラしていて、前向きに頑張る人の素敵さが実感できるお話になっています。 ひとつ言えるのは、カラーで見てみたい、という事です。恋せよキモノ乙女着物は大人の変身ドレス!2わかる
あまりにも有名なアニメ映画の原作にあたる、宮崎駿先生の漫画作品。映画上映後も連載が続いたこの漫画は、主人公ナウシカが世界の秘密に到達するまでを、緻密に活き活きと描いています。 映画版と内容が違うので、ちょっと世界観を整理します。 ----- 栄華を極めた人類文明は千年前、「火の七日間」と呼ばれる破滅的戦争と、突如として現れた毒を吐く森「腐海」により、多くの人命と住む土地を失い、技術も途絶えました。 千年の内に三回の、腐海の爆発的拡大「大海嘯」と、その後の土地を巡る戦争で、人類文明は黄昏の時を迎えます。 大海嘯に沈んだ古の大国エフタルの残存部族は、北のトルメキア王国の実質的支配下に置かれました。風の谷や工房都市ペジテも、そんな部族の一つです。 南には宗教国家の土鬼(ドルク)があり、首都のシュワにある「墓所」には、火の七日間や腐海に連なるロストテクノロジーが眠ると目されてきました。トルメキアは墓所を入手しようと土鬼に侵攻。さらに、ペジテで発見された生物兵器「巨神兵」の奪取を目論み、第四皇女クシャナを派遣します。 風の谷の族長の娘・ナウシカは、ペジテとトルメキアの巨神兵を巡る諍いに巻き込まれ、そのまま土鬼へ侵攻するクシャナの軍に従軍します。土鬼による蟲を操る作戦を止めた時に、ナウシカは大いなる蟲・王蟲の友愛に触れ、彼らの「南の森を救う」という声を聞きます。 ナウシカの奮闘虚しく、繰り返される愚行。王蟲への友愛と人類への絶望から、森の一部になろうとするナウシカでしたが、王蟲と愛する人間に生かされます。 探求の行軍を続けるナウシカが辿り着く、世界の深淵とは……。 ----- ナウシカの行動力の源泉は「すべての命への愛情」。常に彼女は生命の生きる意志を尊重して、生命を愚弄する存在に抗います。 まるで再生医療や遺伝子工学の危険性への警鐘のように私達に響く、ナウシカの怒りと生命賛歌、そして世界の秘密を、震えながら共有したい。 (画像は2巻79ページより。映画版とは、この台詞を言っている人が違うのが、おわかりいただけるだろうか?)